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『夜明けのすべて』(2024)感想

当たり前だけどネタバレあり。

本日2024年2月16日、横浜ブルク13にて『夜明けのすべて』(2024)を視聴。

去年、いや一昨年か、『ケイコ目を澄ませて』で、全て持っていかれた私は今回も三宅唱監督に期待を膨らませて映画館へ。

前回もそうだけど、題材が良い。題材。そして、それだけじゃないのよ。三宅唱監督の長回しも、ショットも光も、そして言葉選び。全てが洗練されすぎている。あまりにも洗練されすぎている作品に対して「祈り」が生じたという表現をしたくなるが、まさに今作には「祈り」が生じていた。

私自身ずっと苦しんでいるPMSだったので、どんな風に映し出すか、ドキドキしていたんだけど、個人差はあるといえども非常にリアルで良かった。本当に炭酸のプシュッと音でもぶん殴りたくなる。わかる。

今作を機に少し自分の体験と絡めて言及したい。そしてnoteの匿名性をありがたく思う。身の回りの人間のプライバシーが守られるので。

今でこそ、PMS(月経前症候群)と症状として名称がついているが、私の幼少期はまだそのような言葉もなかったので、小さい頃から母が機嫌が悪くなると母は生理が来るということを認識していた。私が小学校に入って姉たちも生理が来るようになり、生理前に酷く機嫌が悪くなるので、私は、反面教師だと思って、絶対自分はそうはならないぞと心に誓っていた。「PMSって機嫌が悪くなるってそれだけじゃないとか、思われる方いるかもしれないが、身近な人のプライバシーを尊重したいので詳しく症状を書くつもりはない。

で、話を戻すが、実際自分がその立場になると、無理。ええ、全然無理。こんなんね、どう頑張っても無理だよ。無理〜。無理無理。全然無理。ふざけないでいただきたい。無理だから。

ただ私の場合は身近な人のPMSによって当たられていた幼少期のトラウマ自身のPMSが葛藤していて、そもそもその期間は他者と関わらないことで、周りに撒き散らさない努力をしてどうにか過ごしている。家族はPMSということが世間で言われる前から、「生理前に荒れてしまう、体調崩すのは仕方がない」という認識だったので、お互いに「また来たわね」くらいで距離感がわかっている。爆発していても「生理前?」って聞かれるくらい。家族構成は三姉妹と母と父であるが、1番大変で1番理解している父は本当に先進的で素敵な人間である。とことん頭が上がらない。

で、映画に戻るが、やっぱそういう現状を映し出すって意義がありすぎる。そして説教くさくなく、引き込まれる。ここまで表現できる、ミヤケショー監督……。

パニック障害についても、知っているか知っていないかだけで生きていて世の中の見方は全く変わってくる。また、何も抱えてなさそうな社長や上司のつながり方とか見ると、地位とか階級とか、そんなことだけで他人を理解できるもんじゃないよね、全て見えても理解はできないと思っているが。
映画って自分の生きている世界の見方を変えてくれるから好き。というかそういう映画が好き。

あと社長の弟の残したカセットテープ。プラネタリウムでのナレーション。心が心が…包まれた。

人間の死とか、不十分さとか、恐れとか、1人で抱える必要ない。もっとこうなんとなくでもいいから寄り添えたら素敵だなって。

そんなことを思わされる作品だった。

放送部?の中学生2人もほっこり。

動かない太陽だけど、映画内で光を与えずっと包み込んでいてくれた。夜の意義については映画を見た人なら言わなくても通じるでしょう。

自分のできる範囲で近くにいる人を改めて大事にできたらいいな。


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