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「千と千尋の神隠し」

監督:宮崎駿
製作国:日本
製作年・上映時間:2001年公開 124min 
キャスト:(声)夏木マリ、菅原文太、神木隆之介、内藤剛志、沢口靖子、安田顕

 小学生の千尋は転居に伴い新居へ行く途中、家族共々異界に紛れ込む。
 トンネルを境にその両端が次元異なる設定は取り立てて新しいことはない。湯婆婆が営む神様専用の銭湯の設定も、神様専用こそ仮想世界のように見えても日本にはそもそも八百万の神々が存在するあたり許容範囲内である。銭湯を仕事場として囲む情景は今では遠い日の日本社会のよう。

千と千尋の神隠し

 上のポスターのキャッチコピー通りに宮崎駿監督の作品には分かる人のみがクスリと笑えたり納得するメタファーが多く組み込まれている。
 だが、その謎解きをする為に観る作品ではないことは当然のこと。年少者は不思議ワールドを素直に享受し一方おとなは知識総動員して監督が仕込んだキーワード解く、そういう意味では作品鑑賞者の年齢を問わない。再読のように繰り返し観る楽しさもそそうした部分が影響している。

千と千尋の神隠し4

千と千尋の神隠し1

 難しい謎解きが出来なくとも注意深く観ているご褒美も仕込まれている。

千と千尋の神隠し2

 宮崎駿監督いわく「カオナシなんて周りにいっぱいいますよ。(中略)ああいう誰かとくっつきたいけど自分がないっていう人、どこにでもいると思いますけどね」。
 相手の欲望を叶えることで取り入ろうとする人は悲しいかな確かに実社会に存在する。幼い子にとっては不気味に見えるカオナシもおとなから見ると神様だらけの油屋に紛れ込んだカオナシの人間的な俗部分は現実的だ。

千と千尋の神隠し5

 この作品が国内興行収入もよく、海外で評価を受けていることは承知している。ジブリ作品の中でもアジア東の果てにあるキリストではない八百万の神が描かれる世界は外国からすると面白いに違いない。
 それでも、私は今回TOHOで「風の谷のナウシカ」「もののけ姫」「千と千尋の神隠し」と三作品観たがこの作品は好きになれなかった。

千と千尋の神隠し3

 声優陣が纏まりなく、特に中心となる筈の千尋とハクの声は絵に合わず奥行きがない。
 窯爺役の菅原文太氏の声と夏木マリさんの声で全体が辛うじて締まった印象を受ける。

 「天空の城ラピュタ」をスクリーンで観たかった。
★★★

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