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23.バスで郊外へ

 Evoraを拠点に近辺の町へ少なくとも一か所は訪ねようと計画していた為、散歩の際事前に城壁外にあるバスターミナルを確認していた。
 バス移動は列車と違い一定時間どのバスストップにも停車するわけではない為、現地の言葉が不自由な旅行者にはハードルが高い。特に長距離バスでない路線バスの場合はアナウンスを聞き取れないと致命傷になる。
 いつも試みることは、乗車時に運転手さんに私たちの行先を伝え停車地に着いたら教えて貰えないか、と頼むこと。だが、経験から云うとこれも実は確実ではなく運転手さんの傍に座っていても忘れられたことがある。今回は始点から終点なので心配なく風景を見られる。

 視点の位置が高くなるだけで街の輪郭である城壁ももう一度楽しみながら、Evoraから街の外へ伸びている水道橋をくぐり田舎風景へ入っていく。
 不安になるくらいに段々と家々の数が少なくなっていき、本当に終点に見るべきものが待っているのか不安になるほど穏やかな景色が続く。

 車内に東洋人は私たちだけであるし、観光客らしき人も見受けない。至って普通の路線バスだ。
 車があると効率的に周辺の町を巡られることは解っていながらも、ホテル周辺の道路事情は極めて慣れ無い旅行者には難しく当初からレンタカーは選択肢になかった。ヨーロッパでの右側運転、尚且つ、標識の言語が英語ではないとなるとナビがあっても躊躇する。
 目指すはEstremoz エストレモス。


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