「すずめの戸締まり」
監督:新海誠
製作国:日本
製作年・上映時間:2022年 121min
キャスト:(声)原菜乃華、松村北斗、深津絵里、染谷将太、伊藤沙莉、松本白鸚
「九州の静かな町で暮らす17歳の少女・鈴芽(すずめ)は、「扉を探してるんだ」という旅の青年・草太に出会う。
彼の後を追って迷い込んだ山中の廃墟で見つけたのは、ぽつんとたたずむ古ぼけた扉。なにかに引き寄せられるように、すずめは扉に手を伸ばすが…。
扉の向こう側からは災いが訪れてしまうため、草太は扉を閉めて鍵をかける“閉じ師”として旅を続けているという。
すると、二人の前に突如、謎の猫・ダイジンが現れる。
「すずめ すき」「おまえは じゃま」
ダイジンがしゃべり出した次の瞬間、草太はなんと、椅子に姿を変えられてしまう―!それはすずめが幼い頃に使っていた、脚が1本欠けた小さな椅子。逃げるダイジンを捕まえようと3本脚の椅子の姿で走り出した草太を、すずめは慌てて追いかける。
やがて、日本各地で次々に開き始める扉。
不思議な扉と小さな猫に導かれ、九州、四国、関西、そして東京と、
日本列島を巻き込んでいくすずめの”戸締まりの旅”。旅先での出会いに助けられながら辿りついたその場所ですずめを待っていたのは、忘れられてしまったある真実だった。」*公式ホームページより
監督のインタビューに「人々の思いや記憶が眠る廃墟を悼む、鎮める物語」を意図したとあった、それが今回の作品「場所を悼む物語」なのだと。
そうした核に基づくのであればロードムービーになっていくことは理解は出来る。作品で描かれている場所は現実に1995年1月未明に起きた阪神淡路大震災、2016年4月熊本城が崩れた熊本地震、311の言葉で多くの人に記憶されている2011年東日本大震災と大きな自然災害を想起させる。
それにしても、この場所を悼む物語に要石を持ってくる必要があったのだろうか。
全く、新鮮味に欠ける。
どうしても万城目学の「鹿男あをによし」が頭の隅から消えなかった。この小説でも神話の世界と地震・要石が絡んでいる。
そもそも、要石の話は昔からあり、実際関東圏では鹿島神宮と香取神宮に要石が存在し祀られている。
要石の存在を知らない人にとっては引き付けられる話の展開ではあったかもしれないが、ロードムービーに要石を絡め寧ろ場所を悼む趣旨は希釈されたよう。現にロードムービーにしては途中に関わった人々の印象も薄い、主人公の成長が描かれているとも言い難い。
人物で印象に残ったのは叔母の環と友人の芹澤くらいだった、主人公さえ存在感が希薄。
新海監督の作品では毎回明確に印象に残るシーンがあるのだが、それさえ無かった。
楽しみにしていた新海監督の作品だっただけに残念。
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