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「サイレント・トーキョー」

監督:波多野貴文
製作国:日本
製作年・上映時間:2020年 99min
キャスト:佐藤浩市、石田ゆり子、西島秀俊、中村倫也、井之脇海、毎熊克哉、勝地涼

 日本で全くテロ事件が起きていない訳ではない。かつて多くの犠牲者が出た地下鉄サリン事件等などある。今作品では、平和ボケしている今の日本で爆破予告された場合に対応する政府と第三者と勘違いしている一般人、そして、テロを企てた犯人との攻防が描かれる。

 爆破予告は、恵比寿から始まり渋谷へ移行する。その間にも東京タワー見えるロケーションでの撮影と日頃見慣れた場所が作品舞台だった。だからこそ、東京在住者は対岸風景ではない分、若干の受け取り方の距離が異なるかもしれない。

サイレントトーキョー1

 前評判高かった渋谷ビル爆破シーンは、確かに見事だった。けれども、爆風を受け被害に遭う人々のシーンはスローモーション撮影が必要だったろうか。十分に現実感が出ていたこともあり、寧ろあざとく映って残念。

サイレントトーキョー2

 爆破シーンもセールスポイントではあるが、自分には災難は降りかからないと傍若無人なスマートフォン片手の傍観者の姿がまさに今の日本という絵で私はこちらも印象に残る。被害者を最小限に食い止めようと動く警察官までもスマートフォンに収める愚かな若者は決して映画という架空の世界の住人ではないところが悲しい。

 原作未読ではあるが、映画鑑賞後原作あらすじだけは確認する。確かに説明不足と言われ易い箇所は原作の部分と表現が異なる所が多かった。
 だが、100分を切りここまでタイトにまとめる以上は致し方ない。私自身は説明過多な叙情的過ぎる邦画が多い中ではこの潔いカット描写は好ましく映る。
 只、家族の過去を振り返るシーンにおいて子は成長で風貌が変化するため二役は必要だが、両親まで二役設定をされると作品としては折角のシンプルさに支障が生じる。同じ役者でメーク等で調整してほしかった。
 全く期待せず今日が最終上映日に滑り込んだこともあってそれほど裏切られず鑑賞。
★★★


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