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19.街の概略を掴む

Ⅱ:◇城壁 Muralhas
 以前、荒れ地から町を造るonline‐gameをしていた時に過去の記憶DNAが人種にはあると実感したことがあった。私を含めアジア系の初期の土地には「囲い」が生じない緩い土地の管理に対し、ヨーロッパ系の人たちは初期の資本金も少ない頃からしっかりと自分の土地を囲い先ず「境界線」ありきだったのが面白かった。
 他民族に侵攻されながら流動的に国境を書き変えてきた国と海と云う自然の壁に守られてきた島国の大きな差。

 Evora旧市街1307㎢はこの堅固な約6kmの城壁にすっぽりと現在も守られ続けている。紀元前57年、エヴォラは共和制ローマの支配下に入る。初日に神殿跡を見た時の強烈な印象はこの地までローマ支配が来たことを地図上ではなく視覚で現実として確認したことからだろう。
 ローマ帝国の要塞都市として建設されたのち8世紀からはイスラム教徒支配下で商業都市として発展する。12世紀にはキリスト教徒が奪還しポルトガル・ルネサンスの中心地として繁栄を極めるという濃縮された歴史の街だ。
 それは二重城壁にも跡を残していて興味深い。

 単に城壁なのだ。しかし、時間制約がない私たちは気の向くまま、納得するまでと外壁沿いに歩く。時にその壁の高さを見上げながら街の大きさを感覚で確認していく。

 観光スポットの点と点を結び「ハイ、終了」の旅行は淋しい。その街、或いはその季節にしか見せない顔がある。「歩くスピード」で見える風景は只の城壁ではなく其処には弾痕があったり、修復後を見つけたりする。ガイドブックには記載されなくても、これも街の風景だ。

 

 

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