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始まりの黄金と、終わりの黄金?

 私が覚えている最古の夢の話である。幼い私は夢の中で死に、大好きだった祖父にまで見捨てられ、自分自身の葬式の様子をながめていた。私の魂は、かつて祖父と住んでいた家の隣りにある空き地の上を飛んでいた。金色の空気が輝く春の暖かさの中、蝶になったかのような魂は、孤独に漂っていた。
 そして、50代に入ってからの私は、あの『ウマ娘』を経由して競馬に興味を持つようになったが、私自身はある夜、奇妙な夢を見た。
 私は前述の子供の頃の夢と同じく、札幌市内を低空飛行でさまよっていたが、ある工業団地の上に魂が浮いていた。多分、母方の叔母一家が昔住んでいた工業団地の記憶が元になった世界観だろう。あるいは、若い頃某清掃会社の従業員として働いていた頃の記憶が元ネタかもしれない。私はある箇所の上に魂が浮いていた。季節は、雪が積もる冬だった。
 すると、一頭の黒い馬がいた。そう、あのステイゴールドだった。

 あのステイゴールドの夢とは、私が子供の頃見た夢と対になっているのだ。私はもう長くはないのかもしれない。そして、私の黄金時代は多分、とっくの昔になくなっている。あの空き地がとっくの昔になくなっているように。

【椎名林檎 - あの世の門 ~Gate of Hades~】


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