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「スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム」大人になるピーターと僕

 今年1月の日本公開で観てからnoteで書こうと思いつつ、溢れる思いに何も書けずにずっとサボっていた。この前「THE MORE FUN STUFF VERSION」を観たのでようやく筆を取る(なお観たのは2週間前)



 映画が好き。アメコミ映画が特に好き。その中で一番好きなヒーローがスパイダーマン。サム・ライミ版の一作目からずっとスパイダーマンが好き。コミックもにわかではあるが数冊だけ翻訳版を持っている。どのシリーズが特別好きというわけでもなく、全部好き。スパイダーマンで育ったと言っても過言ではない。


大人に翻弄されるピーター

 MCU版の3作にそれぞれ好きなシーンがある。ホーム・カミングの車内でバルチャーことエイドリアンに正体がばれ、脅しを入れられるシーン。ファー・フロム・ホームでミステリオことベックの仲間たちがバーでその正体を明かすシーン。そしてノー・ウェイ・ホームでグリーン・ゴブリンが不敵な笑みを魅せるシーン。これらのシーンは彼ら大人による恐怖が描かれ、物凄く怖いので好きだ。
 またこれ迄に至るキッカケもそれぞれトニー・スタークやニック・フューリー、スティーブン・ストレンジらの大人のお節介から事件が勃発する。彼らはピーターを子供扱いしている。そう、彼は常に周りの大人に翻弄されているのだ。それによって事件が起こる構造がMCU版スパイダーマンである。ましてや今作ではスパイダーマンの正体が明かされ、子供扱いする大人も描かれる。しかし、それでもピーターは常に誠実だ。彼の行動原理はあくまでもMJやネッド、メイおばさんらにあり、そして人の為である。親愛なる隣人の役割を真っ当する姿は、前2シリーズにも繋がる部分であり、それがスパイダーマンの本質と言ってもよいのかもしれない。

 スパイダーマンの好きなところに人助けをするヒーローという部分がある。純粋に人を助けるシーンがスパイダーマン映画にはあって欲しい(「THE MORE FUN STUFF VERSION」ではカットされた映像にひったくり犯を捕まえるシーンがあった)その純粋さこそピーター・パーカーだ。そして今作では今までのシリーズのヴィランすら救おうとする。ストレンジ(大人)に反発しながら自分の意志を通そうとする姿がとても眩しい。とはいえ大人たちに騙され、そして悲しいことにメイおばさんを失くしてしまう。

ウィレム・デフォーが本当にイキイキしてその狂気っぷりが最高


大人になったピーターたち

 失意の中、彼に手を差し伸べたのは”大人になった”二人のピーター・パーカーであった。彼らはそれまでに幾つもの困難を経て成長し愛する人を失う悲しみも知っている。メイおばさんを失くしたピーターの苦しみを共有できる存在が彼らだった。彼らはヒーローとして、スパイダーマンとして、そしてピーター・パーカーとしても先輩なのだ。二人がグリーン・ゴブリンにとどめを誘うとするピーターを止めたり、落下するMJを助けるシーンはそれぞれ余計なセリフを入れずにその表情だけで描かれる。その背景にある彼らの成長や物語を僕らは知っている。そしてまた彼らもここで一つの救いを得たのかもしれない。

”いろんなこと”を経て大人になっていけ


そして大人になるピーター

 物語終盤では様々な多元宇宙からピーターを知る者が大勢集まり、事態を収拾するためにピーター=スパイダーマンということを皆の記憶から消し去ることをストレンジに嘆願する。この選択は彼からMJやネッドとの別れを与える。そして最後、彼は小汚いアパートの一室で自作のスーツを作り、アベンジャーズ(スターク社)のサポートを失い、ヒーローとして改めて自立することになる。一人になったピーターであるが、これまでの経験が彼を大人にし、そしてスパイダーマンとなった。
 冒頭にも述べた通り、自分はスパイダーマンと共に育った。子供の頃に見たスパイダーマン、そして大人になった自分が大人になるスパイダーマンの成長物語を間に受け、改めて自分を顧みるいい機会になった。今作は今までのスパイダーマンの大人になる物語を20年かけて紡いできた映画だ。リンクした時代に生まれて良かった。

ずっと一人だったピーターたちがようやくチームをみつける。これを観たかった。
このシーンを何回も観てその度に泣いてる。


その他

・「THE MORE FUN STUFF VERSION」のエンドロール後には、ベティが高校の思い出をビデオにした映像が流れる。しかしその思い出にピーター・パーカーは存在しない。とても悍ましくもあり、悲しい。
・先日公開された「アントマン&ワスプ:クアントマニア」のトレーラーでピーター=スパイダーマンが忘れ去られていることが明示されるシーンがある。悲しい。
・SONYスパイダーバースが今んところ、微妙な出来になっていて悲しい…ピーターはアベンジャーズ(MCU)から自立したが、果たしてSONYは…不安だ…


おわり。

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