車は動く1Rマンションかもしれない
通勤、通学、趣味、日常使用...
車を所有する理由はさまざま。
かくいう自分も1年前まで田舎暮らしをしていて、日常生活で必須だったため、大学卒業と就職にあわせて新車を購入した。
小回りがきくコンパクトカーで...
仕事でも使えるように派手じゃなくて...
純正ナビがついて...
知識のない自分の条件を満たし、納車された車は、TOYOTAのヴィッツで、なんと150万円。
安い...!
買ったのは9年前だけど、安すぎる...!!
ただ、もうちょっと良いグレードにすれば良かったなあ...とか、寒冷地機能をつければ...とか、妥協と後悔をちょっぴり乗せて走り出した。
就職した会社は実家から1時間半くらいで、実家から通えないため会社の寮に入ったが、ほぼ毎週、車に乗ってはるばる実家に帰ってきたのは良い思い出。
彼女が出来てからは、週末は車を走らせ、洗車して、デートする習慣になった。
油膜が張ると見にくいからと高めの油膜除去剤を買ってみたり...洗車しやすいスポンジを買ってみたり...汗だくになりながらタイヤ交換をしたり...すっかり忘れていた車検で急に10万円飛んでいったり...。
仕事で大変だった夜は、マックのドライブスルーで持ち帰り、広い駐車場に車を停めて、ぼーっとポテトを摘んだこともしばしば。
その頃にはすっかり愛着が湧き、ヴィッツは"ヴィッツ君"となった。(笑)
ある時、彼女(現妻)が転勤になり、これまで片道1時間で行ける距離だったのが、片道2時間になった。
さすがに遠いなあ...
高速道路を使うとお金がかかるし、下道でゆるゆる彼女の家に通う週末となった。
毎週往復4時間…この時間、何かできないかな...。
音楽を聴くだけじゃなく、なにか自分の為になることをしたくて始めたのが、YouTubeでのインプット。
主に、フェルミ研究所の読書要約動画(1本15分程度)を聴くことから始め、インプット不足をやんわり解消できた気がする。
そして、もうひとつ。
会議に上程する予定がある時は、発表の練習を車の中ですることに。
より端的な言い回しに、誰でもわかるように、ゆっくり発音して...と誰にも邪魔されない環境で、何度も試行して、アウトプットを積み重ねた。
そんな生活を2年送った頃、転勤を命ぜられた。
転勤先は都会で、通勤や仕事に車は必要なく、日常生活も公共交通機関で十分足りる環境だった。
新車で購入して8年、そろそろガタが来ているし、仕方ないかあ...。
こうして、転勤と同時にヴィッツ君を手放すことに。
思い返せば、いつも何かをしたい時に自分を色んな場所へ連れて行ってくれた。
もうマックを車内で食べることも、目的もなくドライブすることもなくなるのか...。
手放す直前、急に寂しくなった。
最後くらい...綺麗にしよう。
手放す前日、徹底的に洗車して、油膜をとって、内装も綺麗にした。
そうだ、思い出に綺麗な写真を撮ろう。
ヴィッツ君に有終の美を飾ろう。
手放す当日、朝イチで地元の桜の木の下で写真を撮った。
今はもう手放しちゃったけど、お金と手間を掛けてメンテナンスして、勉強もできて、悩んだ時は立てこもり、ご飯を食べることもできる。
自分にとっては、安心して過ごせる動く1Rマンションだった。
またいつか、買える日が来るといいな。
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