ASD向け 会話の基本 (元ギフテッドによる自助研究・補足)

前の記事、「元ギフテッドによる自助研究①ADHD・ASD特性について」でさらっと述べた、雑談における正しい応答の話。

あまりにさらっと書きすぎた気がするので、例を交えてもう一段階わかりやすく噛み砕いたものを残しておこうと思う。

私含め、ASD特性を持つ人は、目的のある会話は支障なくできる反面、雑談が苦手な傾向にあるように思う。
目的のない会話が苦手で、雑談からできるだけ情報を収集しようとしてしまったり、何を話せば良いのかわからなくなってしまったり…。

しかしそれは、雑談に対する認識が曖昧だから起こることかもしれない。


雑談とは、「言語を介したヒト-ヒト間の毛繕い」である。

雑談の目的は情報収集ではなく、「私とあなたは安心して話していい関係だよ」ということを互いに実感することだ。

この前提をインストールしておくだけで、だいぶ心構えが変わるように思う。

それでは、実際どう話せばよいか。


まずは自分がよくやっていた失敗例から。


A「年末年始沖縄行ってきたの!」
B「沖縄か〜、昔行ったことあるけど綺麗でいいよね。沖縄のどこ行ったん?」
A「◯と、◯と、◯かな〜」
B「なるほど。おすすめある?次行く時の参考に教えて!」

うう…本当に自分の会話あるあるで、書いていておなかがキュッとなってしまう。
NGポイントは、反射的に自分の体験を話していること、会話の場を自分のための情報収集の場にしてしまっていることだ。

これでは相手は満足感を感じてはくれない。

それではどうすればよいか?

私が考える正解例を示す。

A「年末年始沖縄行ってきたの!」
B「沖縄か〜、ええやん!どこ行ったん」
A「◯と、◯と、◯かな〜」
B「へ〜、どこが楽しかった?」


おわかりいただけただろうか。

失敗例では相手の始めた話を自分主体で引っ張っているのに対し、正解例では「相手の表現したい気持ちを話してもらう機会を引き出す」のに終始している。

ポイントは、相手を話の主人公で居させ続けることに注力することだ。

気づけば自分の体験を連想し、そのことを話してしまいたくなるのだけれど、自分のことは意識して思考から一旦外す。
雑談中は自分の思考を、相手の話した「相手の体験」に意識して限定させておくとよい。

また、話へのリアクションは、その体験に関して「あなたはその時こんな気持ちだったのでは?(うれしい/かなしい程度のざっくり感でよい)」「あなたの好きなものに関して、こんな補足知識はいかが?」といったものを出すと喜ばれる傾向にあるように思う。


本来の思考の癖を抑えて会話するのはしんどいし疲れる。数をこなすことはできない。

それでも、「わからない、できない、苦しい」と「頑張ればできる、自分を守るために回数をセーブする」では大きな違いがあると思う。


まだまだ試行錯誤中ではあるものの、同じ苦しみを持つ人が少しでも救われますように。

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