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モロッコ暮らし*庶民ハマム

モロッコのハマム。

最近は「スパ文化のルーツ」「ナチュラルコスメの宝庫」的に日本でも紹介される事があり、特に日本人女性の間での知名度は高くなりつつある、伝統の蒸し風呂ですが、日本でイメージされる「スパ・ハマム」と一般モロッコ人が通うハマムはかなり異なります。

混乱しないように、日本でよく紹介されるハマムを「スパ・ハマム」一般のハマムを「庶民ハマム」と呼ぶことにします。

庶民ハマムはどんな場所

旧市街を歩いていると、女の人と男の人のヘタウマな絵を見かける事があります。他の国だと「公衆トイレ」かなと思うような看板ですが、モロッコの場合は大抵ハマムです。
間口1メートル以下の廊下を進むと、途中でL字になっていて、外から中が見えないようになっています。内装は超シンプル。裸電球が一つぶら下がっているだけ。一人で来ると心細くて「やっぱり帰ろうかなあ・・」となりますが、頑張って進むと・・・

番台のような所にすごい貫禄の太ったおばちゃんが座っています。彼女の周りには、パンツ一枚だったり、パンツに Tシャツ姿、パンチパーマ風の迫力あるおばちゃんが3、4人。ジロリと睨まれて帰りたい気持ちは最高潮になりますが、目が合ってしまった以上もう帰れません(涙)
「****++++;;;;!!!」
怒られているのか歓迎されているのか。

下着姿のおばちゃんの一人にパンツ一枚にさせられ、手荒くまとめられた荷物は番台の後ろの棚にギュウギュウ押し込まれ、よくわからないうちにハマムの中に導かれます。
指差された場所に座ると、ほとんど押し倒されるように仰向けに寝かせられ、ヌルヌルの何かを塗りたくられます。
・・・・・
ボロボロのバケツで頭からぬるま湯をかけられると、いきなり垢すりが始まります。(ええと・・・・このおばちゃんにお金払うんだよね?私何もお願いしていないんだけど・・・・)
イタタタタタ。うわ、そんなに激しくこすらないで。痛いから。
おばちゃんは構わず、全身を激しくこすります。
まな板の上の鯉っていうか・・・・タワシでこすられるゴボウ?
よくわからないけど、ここで反論してもおばちゃんやめてくれそうもないので、諦めてされるがままに。
ん。なんか私、注目の的になっているんじゃない?
部屋の中には、パンツ一枚の女性たちが20人ほど。
うわ・・・・・みんな迫力。
3ダンバラどころか、5段、6段のどこからどこまでがお腹でどこまでが胸なのかすでに判読不可能な人、手足と顔だけ見ていると結構ほっそりして居そうな人も80キロは軽くありそう。メロンみたいな球体をぶら下げている人。
髪、髪がみんな派手・・・・
普段はほとんどの人がスカーフで髪を隠しているので、頭をむき出しの女性の集団、初めて見ました。金髪の人や、メッシュの人も。以外とヤンキー系の髪の色が多い様です。
そして・・・・全員・・・・・・私の事を見て居ます。
チラ見じゃなくて凝視。
ハマムの中だからノーメークのはずなのに、顔が濃いから怖いよ。
あの、アジア人の薄い体が珍しいのはわかるけれど、そこまで激しく見なくてもよくないですか?
うわあああああ。イタタタタ、なんか、腕激しくこすりすぎて赤くなってる。
リラックスしに来たのにガチガチに緊張しながら思う事は、「早く帰りたい」のみ。
おばちゃん、もう良いよ〜
と思いますが、全身ゴシゴシが終わると、何やらマッサージみたいな事が始ままりました。「要りません」と言いたいけれど、もちろん英語は通じません。

そのうち、垢すりのおばちゃんと他のおばちゃんの間で口論が始まった様子。言っている事はわからないけれど、喧嘩している事はわかります。
マッサージの手はすっかりお留守になっていますが、うつ伏せに寝かされた私の背中の上に左手がしっかり置かれているので、動けません・・・・。
ええと・・・・どうしたら良いんですか。
もう、マッサージは良いから帰りたいです。
なんか、すごい勢いだし、ハマム中に声響いているし、ついでに私もすごく注目されているし、あれ、口論のテーマは私?もしかして。

結局喧嘩は唐突に終わり、全くやる気のないマッサージの続きらしきものが5分ほどあり、唐突にFin!と言われおばちゃんから解放されました。

ハマム数百円くらいって聞いていたのに全然高かった理由も、英語が通じないはずなのに、数字だけは英語だった理由もよく分からないけれどおばちゃんの垢すり&マッサージ代&外国人料金という事でしょう。
料金表とか見た覚えは無いのですが・・・・。

ちなみにハマムの中は、脱衣コーナー、ぬるめ蒸し風呂、熱め蒸し風呂になっていて、薄暗いので石だかコンクリートだかよくわかりません。
床が熱いので、下に何か通っている様子です。
垢すりやマッサージのための台のようなものがあって、おばちゃんがジャーっと水をかけて流してくれるのですが、ほんとにざっくり流しただけだからちょっと・・・・。
周りのモロッコ人たちは、マイマット、マイサンダル、マイバケツ、マイローブ、その他よくわからない荷物を山のように持って、陣取り合戦みたいになってます。
ここで脱毛したり、髪を染めたりしている様なので、清潔感が売り、という事ではない様子。薄暗くてよかったんだかわるかったんだか。
もう一度・・・・は来ないかな。

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日本人の旅行者が、「本物の庶民ハマム」に迷い込むと、こんな経験をする事になるかも・・・

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