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人が焼けるにおい

インドに行った友人が、ガンジス川で人が焼かれる匂いを嗅いだと言う。
それが何と、バーベキュー的な匂いがして、うっかり食欲が湧いたという真偽不明のギャグにしていた。

さて、3月10日、東京大空襲。ラジオ好きには3月9日の深夜から未明。オールナイトニッポンとかジャンクなんかがやってる頃。
史上最大級、未曾有の空襲が行われた。

東京大空襲に限ったことではないと思うけど、戦中の日本人には人間が焼かれる匂いを嗅いだ者が多くいるだろう。

小学生の一時期、祖母と一緒に住んでいた。髪の毛や爪が燃える嫌な匂い、あの匂いに対する嫌がり方は尋常でなかった祖母。
だからどんなバカガキの私だって「人が焼ける匂いってどんな感じ?」なんて聞かなくても分かっていた。

もちろん人が焼かれたら肉の焼かれる美味しそうな香りがするのも事実かもしれない。
しかし祖母の記憶にはしっかりとこびりついていたんだ。髪や爪の燃える匂いが人の燃える匂いだ、と。

そして米軍が行った空襲を「空襲」と表現することの違和感がある。あれは虐殺だよ、虐殺。