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ロンドンの高齢者

2022年のコメント
 高齢者よ街に出ようなんて思ってはみても、今日の状況ではそうもいかない。一方で、街に出様どころじゃないこの国の現状がある。海外から来る人が、驚くくらい高齢者が働いている国になっている。働かざるを得ない経済状況ということ。高齢者が活動するのはいいことだと思うけど、賃労働のためじゃなく、それぞれの趣味や問題意識を活かした活動ができる世の中にしたい。
 タイトルの写真は、2008年5月、リバプールのポール・マッカートニー生家で遭遇した小野洋子さん。もうみんな高齢者ね。

2011年2月16日
毎日通って、パブでジョッキを傾ける。

 ロンドンの街中は、実に高齢者が多い。そして皆元気だ。スーパーに行くと、カートを歩行器代わりのようにして押して歩くおばあさんが、どでかいカートいっぱいに、食料品を買い込んでいる。いったいどうやって持って帰るのかしら……。
 両手に杖をもって、数メートル歩いては、建物に寄りかかって休み休み歩くおじいさん。そんな一人のおじいさんと顔見知りになって、毎日挨拶をするようになった。彼は、毎朝、パブに行って、毎日同じ窓際の席に座る。毎日その外を通る私たちと、手を振って挨拶するようになった。昼にはご飯を食べにか、一度帰って、午後また出てくる。そして午後4時には必ず帰宅する。両手の杖にすがって、休み休みゆっくり歩いて……。
 おじいさんの名はジョージ。とっても大きい。手も大きい。とってもにっこり笑う。大ジョッキがいつもテーブルにある。
 
 私たちも何度かこのパブでパ、ビールを飲んだ。おいしんだなこれが!
 見回すと、おじいさんがたくさんいる。歩行器を側に置いている人。彼も、毎日同じ席で、ジョッキを傾ける。
 パブはたいていセルフサービスなので、彼のかわりに若いお客さんがビールを運んでくれるのだけれども、それが、何ともさりげなくて、ごく自然な行為に見える。

 もっとも、バスでも、どこでも、高齢者の手助けを、ごく当たり前にみんながしているし、される方も、ごく自然にあたりまえという様子。その雰囲気は、日本にはないものだと感じた。

 パブの中では、あっちでも、こっちでも、盛んに話をしている。何を話しているのだろう? 天気の話が多いと聞くけど……。

行きつけのパブ。

 あるとき、パブの外に電動車いすが置いてあった。車いすに乗って、パブに行って、ビールを飲む、なんて素敵な!
 この国で年をとるのは、幸せなことかもしれないと、思う。
 日本でも、もっとみんな外へ出て、好きなことできればいいのに……。
 デイサービスじゃなくて……。 
 


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