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【詩】梢の神鳴

秋は心中を決意した
 
後悔はないの
ただ私はもう、手遅れ
そんな言葉を残して
紅葉は真っ赤に燃え落ちた
 
遺言が伝わると
夜でも色がわかるほど
黄色く盛る炎となって
公孫樹は無言で後を追った
 
見事なまでに 秋は全焼
 
間に合わなかった
わたしもなりたかった
手遅れなくらいの激しさに
闇を貫けるほどの明るさに
 
すっかり命をなくした梢では
十月を留守にしていた神様が
知らぬ間の皆の心変わりを嘆いて
一人きり、木枯らしに鳴いている



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