夜連れ出してくれた母と

街灯の明かりが私の目の奥を鈍く突き刺す。
その痛みで そうだ、外へ出るのは久しぶりだった と思い出す。

およそ10日ぶりに靴を履いた私は引きこもりではない。
高校3年の冬、塾の自習室へ行くのも嫌で自宅で勉強をして(いるつもりをして)いた。

夜は眠れず、食欲も湧かず、体重は7kg落ち、色白の肌は青白くなった。
きっとあれは受験うつだったんだろう。

そんな私を見かねてか、ある夜、ゴミを捨てるのを手伝ってと母に頼まれた。
母と並んで歩きながら外の冷たい空気を吸い込む。
家の前の建物は取り壊されてすっかり更地になっていた。
長い眠りから覚め、未来に驚いている原始人の気分だった。

結局その後浪人することになるのだが、もう引きこもることはなかった。
あの夜、外に出られてよかったと思っている。


急に夜の話を書きたくなった。
そろそろイルミネーションが街を彩るが、受験生はくれぐれも風邪に気をつけて欲しい。
そして、体だけではなく心にも栄養をチャージしてあげて欲しい。

眩い光があなたの目を突き刺しても、布団にくるまって泣いていても、自分自身への怒りを家族にぶつけて自己嫌悪に陥ったとしても、きっと大丈夫。
そんな言葉を5年前の私にかけてあげたい。

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