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退屈な時こそ『暇と退屈の倫理学 増補新版』を読もう

こんにちは!audiobook.jpのインターン生、スワッキーです。

ついに、期間限定の聴き放題にあの名作『ヒマリン』が登場!
おや?略称にピンと来ない?
『暇と退屈の倫理学 増強新版』(以下『ヒマリン』)ですよ!

\やったー!!/

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作品紹介の前に『ヒマリン』を5割増しで楽しむにあたり、わたくしから注意事項がございます。

・倍速再生機能を使わないこと!
・『ヒマリン』を聴いている間は、「ながら聴き」をしないこと!
ただし、外をあてもなくのんびり歩きながら聴くことはOK。感染症対策を忘れずに。

(どうしても時間がないよ!という方は守らなくてもOKですよ)

「倍速を使わないで聴く“暇”なんてないよ~」
「聴いている間、何もしないなんて手持ち無沙汰で“退屈”!」
「audiobook.jpの売りである、ながら聴きや倍速再生をしないことをなぜすすめるの?」

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とお思いになる方、いらっしゃるでしょう。

なぜこのようなことを私がいうのか。
それは、本書のテーマである「暇と退屈」にかかわるからです。

「暇と退屈」は違うこと?

数年前のこと。
俺は歌舞伎町が好きなフランス人の友人といっしょにあの界隈をぶらついていた。
(太田出版/國分功一郎著 『暇と退屈の倫理学 増補新版』まえがき より引用)

こんな切り出しからはじまる思想書、見たことありません(笑)。
しかも一人称が「俺」って!

『ヒマリン』は小難しい思想書のように見えますが、中身は秀逸でやさしい哲学の入門書。
著者の國分功一郎さんは、現代社会に生きる私たちを悩ます「暇と退屈」を切り口に、主に20世紀に活躍したドイツの哲学者ハイデッガーの時間論を基に、フランクな言葉づかいで哲学の世界へといざなってくれます。

『ヒマリン』では暇と退屈をイコールで結ぶことはありません。

本書の前半部では、我々が感じる「退屈」の正体を突き止めるべく、人間が退屈を感じるようになった起源を探るところから始まり、パスカル、ルソー、マルクスなどなど数多くの思想家の論考を検討するだけにとどまらず、フォードの大量生産方式や映画にまで「退屈」探求の糸を見出します。

そして、ハイデッガーの退屈論『形而上学の根本諸概念』をもとに「退屈」の考察を深めていきます。
ハイデッガーの分類では、退屈は二つに分類されます。
一つは「暇があって退屈している」状態の第一形式、
もう一つは「暇はないが退屈している」状態の第二形式。

人間はおおむね第二形式の退屈を生きている、というのがハイデッガーの考えです。

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「退屈」は人間の自由の証?

本書の後半部で著者は、ハイデッガーの”人間は退屈できるからこそ自由という可能性を持っている。だから決断によって自由を発揮せよ”という結論に疑問を投げかけます。

ハイデッガーは他の動物と人間を「退屈」の有無によって区別しているのではないか、と考えた著者は、

・日向ぼっこをするトカゲ
・血を吸うために18年間獲物である哺乳類を待ち続けるダニ
・おなかいっぱいになるまで延々と蜜を吸い続けるミツバチ

といった動物の行動を分析して、人間と動物の違いを見出そうとします。

そこで判明するのはなんと、

“人間は、自分たちを含めたあらゆる存在が同じ時間、空間感覚を共有する世界で生きていると考えているが、実はそれぞれの動物がそれぞれ全く異なる時間と空間の感覚をもって生きている”

ということ!

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人間を含めたそれぞれの動物が感じる世界が異なることと、人間の感じる「退屈」とはどうかかわるのでしょうか?

その続きはぜひ、本作をゆっくり聴きながら、一緒に考えていきましょう。



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