#自己理解プログラム を経て得た気づき④:本当にやりたいことの守備範囲
こんにちは!
本日は自己理解プログラムを通じて得られた重大な気づきの4つ目「本当にやりたいことの守備範囲」のことを書きます。
自分のやりたいことを探す途中で得意なことのパターンを見つけ、そのおかげで己は何を積極的にすべきか、何をしなくても良いか識別できるようになりました。大まかに言えばそのような話です。
守備範囲の喩え
表題に書いた守備範囲とは、野球からの類推で考えたことです。
例えば自分が二塁手か遊撃手として守備に就いたとして、打球が飛んだら
☐ その球を捕りにいくか、
☐ ベースカバーに入るか、
☐外野手から送球を受ける中継ポジションに向かうか
などを瞬時に判断しなければなりません。
その判断を正確にするには自分の役割と守備範囲を把握しておく必要がありますね。もしそれがないまま外野手の頭を越えていく打球を一緒に追っかけて行ったり、自分の半径5m以内に打球が来ても塁に向かって走り始めたりしては活躍はできないし、そもそも守備が守備として機能しないでしょう。
自己理解をする前にはそれに近いことをやっていた気がします。
野球ならばグラウンドがあって、ボールがあって野手がいてと、目に見える対象があるため守備範囲は分かりやすいです。しかし人の集団や社会の中で自分が担うべき役割は大抵そうではありません。
今になって振り返ると、私の過去には「得意でもなく大して関心すら持っていないのに体面を気にして選んだことをやろうとして疲弊した体験」や、「ある程度まで上手くできても嬉しく思えなかった体験」が少なからずあったように思います。それらはいずれも自分の守備範囲みたいなものが分からないまま選択していたことでした。
資質の話
このようなことを意識し出したのはつい最近のことです。
ストレングスファインダー資質(正確には「クリフトンストレングス34」の診断結果)を知ったことで考えるための材料を得ていましたが、自己理解プログラムのワークを進めて大詰めに近いところに差し掛かった頃にようやく先述のような守備範囲の発想に至りました。
ここでいう資質とは「無意識に繰り返し現れる思考、感情、行動のパターン」を表す34の要素を指します。診断を受けると各資質の相対的な強さが評価され、ランキング形式で結果が返されます。
自己理解プログラムではこの中の14位までを「上位資質」と呼びます。
Step4でそれらの組み合わせと自らの体験を照らし合わせ、Step5にてそこから自分の得意な思考・行動のパターンを見出すというワークをします。
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私の診断結果を見ると、8位が「回復志向」となっています。これは他の人が見て見ぬふりをしたり、気付いていても仕方がないと諦めたりする問題を見つけ、本来あるべき状態に戻そう(回復させよう)とする資質です。
自己理解プログラム受講期間の前半ではこれをあまり重視せず、以前の投稿で取り上げた「個別化」と「自己確信」といった意外性のある資質、それに「指令性」や「戦略性」等のより強そうな資質に関心を寄せていました。
ところがオンラインイベント(Zoom上での勉強会・交流会)で他の受講生さんたちとお話しするうちに、お相手との対比から
どうやら私は問題を見つけ出して解決することに熱意を持つらしい
という感触を得て、そこから急激に「回復志向」への関心を強めました。
実体験から分かること
自己理解プログラムでは、過去にとりわけ夢中になれたことや、しなくていいのについつい焼いてしまったおせっかいの体験を振り返ります。
そのエピソードを挙げたところで「なぜそれをしたいと思ったか」、「それができてなぜ嬉しかったか」のような問いが投げかけられます。
そこで最初に「なぜって言われても、そうするしかなかったに決まっているでしょう」と思いつつ、よくよく考えると、
「そうか!!私は○○をしたかったんだ/○○に喜びを感じるんだ!」
のような発見(いわゆる気づき)に至ります。
視点・着眼点を変えてこのようなプロセスを繰り返すのが自己理解プログラムの基本的な作りだったように思います。
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さて、これまでに私が熱心に取り組んだ体験を思い返すと、大体が何らかの問題を解決したいとの姿勢でやっていたことでした。
趣味でやっていたことはさておき、私が仕事でとりわけ熱心に(少なくとも自主的に)やろうとしたのは何らかの問題を解決する、というか何らかの支障を取り除くようなことでした。
私は4年前から工場の製造現場にて、工作機械を操作して部品を製造する仕事をしています。機械の仕組みや加工のプロセスを理解し細かいコツを覚えなければならなくて、社内でもスキルの習得が難しいとされる工程です。
初めの1年は基本的なこともなかなかできなくて苦労もしましたが、その後効率を悪くする要因や不明瞭で分かりにくい部分(要するに属人化している業務の領域)に関心を向けて改善活動に精を出すようになりました。
そこから自己理解プログラムの受講を始めるまでの期間には
☑ 規範・ルールをまとめた掲示物を作って現場に張り出したり
☑ 管理業務で複雑ながらも一定のパターンのある操作を自動化したり
☑ 未経験者向けに手取り足取り説明する研修資料を作ったり
といったことを実際にしてきました。これらの動機を思い返すと
「大事なルールが目に見える形になっていないのはおかしい」
「ここが属人化されていて時間を取られるのはまずい」
「参照すべき資料がなく新人に毎度同じ説明をしていては無駄が多い」
という具合に現状への不満が起点になっていたように思います。
この種の不満を抱いたのは私だけではなかったかもしれません。しかし大抵は不満ながらも仕方がないこととして受け入れられてしまいます。あるいは関心すら持たれないかもしれません。
そうした事柄を私は放置しないで私の思う本来あるべき形に作り替えようとしてきました。取りも直さずこれは前述した「回復志向」資質の持ち主らしい姿勢だったと、私は自己理解プログラムの途中で自覚しました。
複数の上位資質の組み合わせ
この点に気づくと同時に、私の持つ他の上位資質とのつながり・関連性が格段に高い解像度で見えるようになりました。
まず他の人が気づかない、あるいは気づいても解決を諦めるような問題を見つけられるのは回復志向と個別化の特徴です。この中で回復志向については先述の通りで、個別化とはこの場合個々の場面や自身と関わる一人ひとりをよく観察して優れた点や改善できる点を見つけ出せることを意味します。
次にそうやって見つけた問題の原因を探ります。これには原点思考や分析思考が関わっているように思います。私の理解では原点思考とは時系列を、分析思考とは因果関係をそれぞれ遡って「なぜ今このようになっているか」を考えることを指します。
そこから問題解決の方法を考えるところで戦略性や着想が効いてきます。戦略性とは目的を果たすまでの道筋を見通して手段を考えられるという資質で、着想とはそこで独創的なアイディアを思いつく能力のことです。
問題の原因や解決方法を考えるには予備知識が必要であり、これには必要になり得る情報を予め頭に入れておこうとする学習欲と、そうした情報を手元に集めておこうとする収集心が働いています。
そうして問題を解決する見通しが立つと、責任感を持ってやると決めたことをやり抜きます。
反対に解決方法が定まるまでは不用意に手を下さない、その場しのぎの手段に頼らないのは慎重さの現れで、自分なりに解決方法を見出したときに「これでいこう」と自信を持てるのは自己確信の資質そのものです。
さらに自分一人で完結する問題でなければ他の人の協力を得る必要があり、そこでは言いづらいことを言葉にして伝える指令性が役立ちます。そして実際に始めてみれば必ず何らかの不測の事態が生じるので、それに対応するところで適応性が発揮されます。
さらに付け加えて言えば難しい問題を解消することで人々に記憶されたいと思う気持ちもあり、この点で自我が動機の源にあると言えます。
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このような具合に、自らが何らかの問題解決に取り組んだときの一連のプロセスを辿ることで私の1位から14位までの資質がもれなく登場します。
その中には複数の長所パターン(その人にとってうまくいきやすい思考・言動・行動のパターン)が含まれています。自分のワークシートにはそれらをもう少し詳しく書いてありますがここでは省略します。
ここで強調したいのは、問題解決を軸にして考えたことで「ここに集中すればいいんだ」とはっきり分かったということです。これが分かったときに、私は自身が受け持つべき守備範囲が見えたように思いました。
やらなくて良いこと
何らかの範囲を定めるとは、裏を返せば何がその中に入らないかを決めることでもあります(これはつい10日ほど前に分かりました)。
私の場合、それは特に最上志向、成長促進、活発性といった資質が関わることだと言えます。
最上志向とはより高いクオリティー・完成度を追求する姿勢を意味し、その呼び方はストレングスファインダーでしか見かけない用語ですが、日本人の診断結果では上位に入りやすいポピュラーな資質だと言われています。
成長促進とは誰でも磨けば光るものを持っていると信じて他人の能力・可能性を伸ばそうとする資質です。パフォーマンスの低い人でも見限ることなくその人の成長を見守ることにこの上ない喜びを感じます。
活発性とは物事に取り組むスピードに象徴される資質で、慎重なのとは反対に良いと思ったらすぐにやってみよう、良いかどうか分からなくてもやってみなければ分からないと思ってやり始められるという特徴を指します。
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これらの資質はいずれも私の診断結果で下位に入っています。各資質の特徴を知ったところで自分の体験を振り返ると、このような姿勢は確かにあまりなかったと気づきます。
私は先述のように問題だと思った事柄を解消することに熱心になります。しかしそれが実現して一通りのことが難なくできるようになると、その熱意が薄れてしまいます。そこからより高いクオリティを目指すよりも他の問題、あるいは他の分野の事柄に関心が向きやすいです。
同様に私は積極的に人の活躍ないし成長の妨げになっているものを取り除こうとするものの、その後で実際にその人が活躍・成長するかはその人の意向次第だと思って手を引きます。
私は他人を高めようとしても却って邪魔になりそうな気もします。そもそも自分の手で人を活躍・成長させることへの関心が薄かったからそのあたりのセンスが磨かれなかったのでしょう。
それから私はよほど高い熱意がない限り、慣れないことにすぐさま手を出さないように思います。情報を頭に入れるとか、新しい体験をして感覚を掴んでおくというような収集心に突き動かされるアクションなら即時に取れるものの、基本的には一旦リスクのことを考えてから決めます。
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これらの資質が求められるような行動は私の得意とすることではなく、自分の守備範囲の外だと感じます。
野球で言えば「このボールは他の人に捕ってもらって、自分はベースカバーか後逸したときのためのバックアップに入ろう」という判断するような感じです。このように自分で捕るべき球とそうでない球とを見分けられるようになったのは、自己理解を深めたことによる変化の一つだと思います。
他方で下位の資質が求められる場面も人生にはあるかもしれません。
そのままだと不本意な結果、後悔するような結末になりかねないので、何らかの対策を考えねばなりません。私は特に「活発性の高い人が当たり前に動ける場面で尻込みしてしまうこと(=行動力の低さ)」でせっかくの機会を逸するようなことが多かったです。
これらについては何らかの方法で悪い影響が大きくならないようにするのが課題だと思っています。
守備範囲を変える
続けてもう一つ大事な点に触れておこうと思います。
野球では各ポジションに定位置がありますが、状況によってはそこから前進したり、後ろに下がったり、左右どちらかに寄ったりもします。そうすることで捕れる打球の範囲、つまり守備範囲を変えることができます。
外野手が普段より前方の位置に就くことで奥の打球を捕れなくなる代わりに本塁への返球を少しでも早めるとか、やや右に寄ることで定位置では抜かれてしまう方向の打球に追いつくようにするとか。
同じようなことは野球以外のところでもできます。一見自分の守備範囲の外に見えることでも、捉え方次第で守備範囲に含められるということです。
これは先ほどの最上志向や成長促進といった下位資質を補うために有効な考え方になります。
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例として仮に仕事でものづくりをしていて、一見大きな問題がなくても改良の余地があって品質をさらに高められる状況だったとします。
そうしたところで自然と品質を高めたくなるのが最上志向の持ち主で、私のように最上志向が上位になければ大抵はそのままで良いと思うでしょう。
しかしながらその「より高い水準」が本来あるべきもので、それが実現されない現状に問題があると捉えれば話は別です。
ここで回復志向の資質が呼び出され、(他の人の期待以上に)品質を高めることが(まだ発揮されていない)真価を発揮させるのに妨げになっている要因を解消する取り組みに変貌します。こうなれば回復志向が最上志向の代わりになったと解釈できます。
同じような考え方を製品のクオリティではなく人のパフォーマンスに向ければ、回復志向が今度は成長促進の代わりになります。
つまりそこそこの成長・活躍をしている人により高い水準を求めることで、そこに届かない現状を問題と捉えて回復志向を効かせられるわけです。
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そのような再解釈をしてからは先ほどの「複数の上位資質の組み合わせ」を再現してクオリティやパフォーマンスを高める活動ができます。
これはちょうど野球の守備で、投球の前に野手が位置を変えることによって守備範囲をずらすことに似ています。自分のやりたいことと野球の守備との対比を考えたときに気に入ったのが、野手のつく位置によって守備範囲を変えられるという点です。
自分の資質を知って物事の捉え方を変えると、そのような調整が野球以外のところでも自然にできるようになりました。
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ただしここには2つの注意すべき点があります。
1つ目に守備範囲を変えられるといえどもやはり限度があるということです。野球でいえば内野手がある程度後に下がったとしても、ショートがレフトの定位置まで下がりはしません。
同様に回復志向でカバーできる範囲にもおそらくは限度があり、その外では最上志向や成長促進の資質を持つ者に敵うわけがないのです。それならば私は潔く手を離して必要な資質を持つ誰かに託した方が良いでしょう。
それから2つ目がより重要で、大前提として物事の捉え方を変えて自分の守備範囲を変えるのは大事なことを果たすという目的に限るべきです。
自分の価値観にそぐわない仕事でも、得意なことの範囲から少し外れる業務を解釈し直して上位資質で補うようなことはできるでしょう。私も過去にはそれに近いことをしましたが、はっきり言って苦痛でした。
頑張っているのに報われない、上手くできても嬉しくないという不健全な自己犠牲をすることになってしまいます。
これら2点は気をつけようと思っても、守るべきコースから逸脱したときに一人ではなかなか気づけないかもしれません。
その点で「自己理解プログラム」は本当によくできていて、
☑ しっかり好きな分野を見極めてから
☑ その中で大事だと思う事柄を実現するために
☑ 自分にとって得意なことをしよう
とする方向に導いてもらえます。なのでそのメソッドを理解しておくことでここで述べた注意すべき失敗例も回避できるのです。
最後に
今回のnoteは、こちらのXでの投稿内容(スレッド)を詳しく書いたものでした。この日のオンラインイベントに出てから漠然と思っていたことでしたが、背景から本題・応用・補足を余すことなく書いていったらこれほどの文字数(6700字以上)にもなりました。
自己理解プログラムを受講された方か、少なくともストレングスファインダー診断を受けられた方でないと細部を正確に読み取れなかったと思います。しかしながら基本的なメッセージは明快で、
自分の得意・不得意を知ったおかげで、己は何を積極的にすれば良くて何をしなくて良いか見分けられるようになったよ!
ということです。
これだけでもまさに「己を知る」ことが体現できたように思います。本当に意義深い体験でした。
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