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「ここならもう一人じゃない」神椿市建設中。βテストに参加して

12月5日~12月9日までの5日間、人気バーチャルシンガー「花譜」などで知られるKAMITSUBAKI STUDIO(神椿スタジオ)が開発中のインディゲーム「神椿市建設中。」のクローズドβテスト(以下CBT)に参加してきました。

CBTという性質上、ネタバレはできませんが、公式HPやSNSで出ている公開情報に肉付けする形で感想を書いていこうと思います。すでに出ている他の参加者の感想記事と内容が被る部分が多々ありますがご了承ください。

コロナによって方向転換を迫られたプロジェクト

2019年から開発が行われている本ゲームは

プレイヤーはスマートフォンを利用して、神椿市に潜む様々な「ナゾ解き」に挑戦。
中には、1人だけでは解決出来ない、
仲間達と協力をしなければならない謎も立ちはだかります。
また、スマートフォンの位置情報を活用し、外に出て移動することがナゾ解きの鍵になるような仕様を組み込んでいく予定でした。
このプロジェクトは2020年の初頭にはその一部を公開予定でしたが、
世界全体を覆っているコロナウイルスの感染拡大状況を鑑み、
公開、サービスの提供予定時期を全面的に見直すこととなりました。

公式HP「ABOUT」より抜粋

と書いてあるように、基本的な内容としては「ナゾ解き」であり、当初は大ヒットした位置情報ゲームアプリ「ポケモンGo」のような、現実空間での移動を前提としたゲームシステムだったそうです。ですが

このコロナウイルスの未曾有の状況下で、世界は物凄い速度で変化を遂げています。
これまで私達にとって当たり前だった、リアルな空間での人と人との繋がりは、むしろ忌避されるものとなり、自分のために、周りのために、お互いのために「距離をとること=ソーシャル・ディスタンス」を
ポジティブに捉える世界へと変化をしつつあります。

私たちが実現しようと思っていた、リアルとバーチャルの境界線を曖昧にする、現実の世界で皆さんに楽しんで頂ける新しい「遊び」は、
急速に変化しつつある「新たな時代」のために、作り直していく必要があると考えました。

今必要なのは、「離れていても繋がっている」体験と物語。それを生み出すべく、鋭意開発を行っています。

公式HPの「プロジェクトの方向転換」より抜粋

と、新型コロナによって変容を迫られた社会に合わせて、ゲームの仕組み自体も変えることになりました。

実はこの感想記事を書くまで、公式HPも運営が書いた上記の文章もしっかりとは見ていなかったのですが、CBTを終えてみて振り返ってみると、ここに書かれている「離れていても繋がっている」体験と物語という開発側の目指していたコンセプトは多くのプレイヤーに届いていたと思います。(※個人の感想です

成功の要因はいくつかあると思いますが、その一つは運営が提供したクローズドのDiscordだと思います。ほぼ全員が参加していたDiscordでは、協力してのナゾ解き、考察、交流、雑談、二次創作などが活発に行われ、このことが体験の質をものすごく上げていました。まさに「離れていても繋がっている」という感じで。当初不安だったプレイヤーの治安もほんの極一部を除き平和でした。

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↑Discordではよく「運営を相手にしたレイドバトル」的な言葉が出ており、協力していかにナゾを早く解くか(瞬殺するか)という熱い協力プレイが展開されていました。

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↑一方、ナゾによってはプレイヤー同士が…という場面もあったり。とある理由で心理戦が展開されることも


ただ、今回のCBTは抽選で選ばれた300人という少人数であり、正式リリースで少なくとも数千人規模はあろうアクティブの神椿ファンが参加した場合、どういう運用になるのか気になるところです。

仕組み上、人数が増えることによってコミュニティのコントロールが難しくなったり、集合知によってよりナゾが解かれやすくなることは想像に難くないので。

ゲームのクオリティは大前提として、運営がこのコミュニティをどう運用するかということが今後の成功のカギを握るような気もします。(少なくともCBTではかなり力を入れていた印象でした)

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リアルとバーチャルが交差する神椿市建設中。

「神椿市建設中。」は「ARG」(Alternate Reality Game、代替現実ゲーム)といわれるジャンルのゲームで、調べてみると「日常空間と物語空間が交差すること」がその大きな特徴の一つだそうです。

花譜が「リアルとバーチャルの境目」をコンセプトに進んできたことを考えると、まさにピッタリのゲームジャンルといえるでしょうね。

この日常(リアル)と物語(バーチャル)の交差という要素は、ストーリーの根幹はもちろん、プレイヤーが解くことになる各「ナゾ」にも自然な形で含まれており、当初の「リアルとバーチャルを交差させるための位置情報ゲームという仕組み」が失われた後でもきちんと作用していると感じました。

また、ARGというと「Team Project:;COLD(都まんじゅう)」が最近話題ですが、映像監督が花譜と同じ川サキケンジ氏、主題歌MVの制作が理芽の「クライベイビー」を担当したこむぎこ2000氏と、関係者が神椿と近いこともあってか、こちらの謎解き・考察にも多数の観測者が参加しているようです。

こうした観測者の動きを見ていると、ARGというジャンルと神椿のファンコミュニティの相性はかなりいいのではという印象を受けました。


神椿市建設中。のストーリーについて

ストーリーについて、具体的なことはもちろんここでは書けませんが、公式HPに

KAMITSUBAKI STUDIOは、立ち上げ当初から「音楽と物語」の可能性を模索して来ました。
今年、ひとつめの物語がようやく見えてきたところでした。

それは、「魔女」たちの物語。

仮想都市「神椿市」に生きる「魔女」たちが出会う、新たな崩壊と再生の物語。

その物語が、「神椿市建設中。」です。


KAMITSUBAKI STUDIOが擁する物語創造プロジェクト「NBM by KAMITSUBAKI」から、この物語をみなさんに新しい体験として提示していきたいと考えています

「プロデューサーメッセージ」より抜粋

と書かれているように、花譜たち魔女が登場する物語のようです。

同ゲームのテーマソング「痛みを」を使ったPVもすでに出ており、イラストなどからその世界観の一部を垣間見ることもできるかもしれません。

ゲーム内にはナゾとは別に様々な情報がちりばめられており、CBT終了後もDiscordで延々と考察が続けられているくらい考察好きの人にはたまらないコンテンツとなっています。

一方で、ストーリー展開は完全新規のファンにも楽しめる導入となっており、ゲームを入口として深い深い「KAMITSUBAKI沼」に沈んでいく可能性は十分あるなと感じました。

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↑一足先にストーリーを見たCBT参加者はDiscordでよく料理について議論を交わしていましたが、その理由は正式リリースで分かるかもしれませんw

また、ゲーム中で披露される花譜の演技も素晴らしく、感情の込め方や抑揚の付け方などにはちょっと感動しました。歌だけでなくそちらの方面での活躍も今後期待できそうだという感想を抱きました。(個人的には同じ高校生でVRミュージカルに挑戦した東雲めぐと、演技という部分でどこかで交わることがあったら嬉しいなと思ったりしてます)

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神椿市建設中。のナゾ解きについて

ゲーム内で提示されるのは「クイズ」ではなく、「ナゾ解き」なので知識というよりは頭の柔軟性が必要な内容になっています。そもそもリアルの閉鎖空間ではなく、スマートフォンで行うゲームということもあり、知識に関しては検索すれば補うことが出来てしまうという事情もあると思います。

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↑細かい内容は書けませんが、結構勉強になるナゾもあります

ナゾの作り方、出し方にしても、神椿市の独特な世界観を壊すことのない丁寧な作りで、中には観測者にはたまらない設問もありました。(正式リリースで出てくるかはわかりませんが)

一部解くのが難しかったナゾも、説明されるときちんと納得できる内容になっており、その部分で不満を抱える可能性は低そうだと思います。

神椿市建設中。の参加アーティスト

これは予告編に名前が出ている公開情報ですが、ゲームのアートワークには花譜・理芽をデザインされたPALOW.さんと、5人目の魔女「幸祜」のキャラデザを担当されたSWAVさんのほか、一色さん、焦茶さん、orieさん、ちゃもーいさん、オクソラ ケイタさん、もの久保さんなど有名かつ実力派のアーティストが名を連ねており、彼らの作品に触れるだけでもテンション上がること間違いなしです。

これを目的にプレイをするのもありだと思います。

なぜかしっくりくる花譜の「アンサー」

予告動画を見てもらえれば分かるように、このゲームのテーマ曲は「痛みを」なのですが、CBTをプレイした後に一番しっくりきた花譜のオリジナル曲は「アンサー」でした。

もちろんこの曲はアニメ「ブラッククローバー」のED曲であり、ゲームとは直接関係のない曲なのですが、本記事のタイトルにも入れた歌詞の「ここならもう一人じゃない」や、「間違いを間違いで終わらせないで」「やればできるから諦めちゃダメだって」「その度にあなたがいるから」といった言葉が、自分の中で「神椿市建設中。」をプレイした感想に重なる部分が多々ありました。

前述のように、本ゲームはコロナによる方向転換後、「離れていても繋がっている」体験と物語を生み出すべく開発されてきましたが、その目論見通り、このアンサーの歌詞のような「ここならもう一人じゃない」という感想を持った参加者も多かったのではないかと思います。

神椿市建設中。の問題点

もちろん、問題点や改善点もいくつかあり、ここで書ける最も大きなものとしては、やはりプレイできる時間帯だと思います。私のようなフリーランサーやオンライン授業中の学生等であればまだいいですが普通の人が普通に参加することはなかなか難しい部分もあり、上の感想とは逆の「孤独感」を感じた人も正直いたと思います。

ただし、これは当初予定していた位置情報ゲームという前提であれば起こり得なかった問題だろうなとも思えるので、正式リリース後には別の工夫で乗り越えていくのだろうなと思ってます。

最後に

本ゲームは、花譜にまつわる物語や世界観にどっぷりハマれるコンテンツであるとともに、コロナによって引き離されてしまった人と人とをつなぐ可能性を秘めたゲームというのが私の感想です。今から来年の正式リリースが楽しみです。

また神椿市で観測者の皆さんとともに「アンサー」を見つけるのを楽しみにしています。

それでは。

P.S. 
PIEDPIPERさん、今回はCBTに参加させていただきありがとうございました。花譜ちゃんに続く他の魔女たちと「ホロモデル」のコラボも待ってます!

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