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「対価=お金を超えます」ギフトで循環する南伊豆コミュニティ

約8,300人が暮らす街、静岡県南伊豆。そこにひっそりと、だけど確かに存在している新たなコミュニティがある。

名前は『giFt(ギフト)』。”対価=お金を超えます“という宣言とともに、クラウドファンディングによって約一年前に立ち上がった。その名の通り、お金のやりとりではなく、「ギフト」で循環する場所を作ったという。

なんか素敵な感じはする。けどギフトで循環するって、一体どういうこと?私が差し出せるギフトは、何なのだろう?そんな疑問を胸に、実際に行ってきた。

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ことの発端は1年ほど前。私が自由大学でキュレーターとして『U29で仕事をつくろう』という講義を開講していたとき、2期目に参加してくれたうちの一人が、いってつさんだった。

講義が終わったあと、自分で新しいチャレンジをはじめる人も多かったのだが、いってつさんは中でもすごくて「僕、南伊豆に移住することにしました!」と言って、本当に移住してしまった。そして気づけばクラウドファンディングを成功させて、何やら新しい場をうみだしている。

何がどうなっているんだ?!とその様子を傍観していた矢先、なんと自分も東京・富山の二拠点生活を始めることになった。しかも富山でシェアハウスの立ち上げにも関わらせていただくことに。

「これはそろそろgiFtに行っとかなきゃ」直観的にそう思って訪ねたのが、今年のゴールデンウイーク。giFtが立ち上がってから約1年後のことだった。

もとはカフェだったというgiFtの内装は、とっても面白い。住民(ここではバディと呼ぶ)が自分で家具を作ったり、ここにあうアイテムを持ってくるので、部屋の中は個性であふれている。そして2Fにはちゃんと宿泊スペースも。

giFtにお邪魔しながら、これまたいってつさんが立ち上げた一対一の暮らし体験プログラム『南伊豆くらし図鑑』にも参加。なんと南伊豆で暮らす人たちの日常を体験できるらしい。

今回体験させてもらったのは、3年前に南伊豆に移住してきたという、よっしーさんご夫婦の暮らし。

詳しくは南伊豆新聞のこの記事を読んで欲しいのだが、どうやらよっしーさんは、もともと身体を動かしたり力仕事をするのは得意だったそう。

だから(という3文字で片付けられるレベルではないのだが)、ここに移り住むことを決めたあと、自分で山から水をひき、家具を自分でつくり、必要な野菜を庭で育て、自給自足の生活を始めたのだ。

そんな生活にお邪魔して、私も実際にお庭の野菜を収穫したり、山から水を引く水路を見せてもらったり、飼っているニワトリにご挨拶したり(笑)、普段だったら絶対にやらないであろうことをたくさん体験させてもらった。


その帰り道、ふと気になって聞いてみた。

「これから先も、南伊豆に住み続けるんですか?」


よっしーさんはこう答えた。

「いつまでここにいるかは、正直わからないんですよ。もしかしたら、住みたい街は変わるかもしれない。そんな時、どこに行っても自分で暮らしを作れるように、今その実験をしているんです。



そう言われて気づいた。きっと私は心のどこかで、「この街が好きだから、住み続けようと思ってるんです」という答えを期待していた。

そうして思った。たしかに私自身も、富山が好きだから二拠点生活をしているわけじゃない、と。(もちろん嫌いな訳ではなく好きだけど、それが一番の理由じゃない。)


住む場所を変えたり、やることを変えたりすると、「それが好きだからそうしたんだね」と思われることが多いように感じる。けれど、実際は違うことのほうが多い。


私もきっと今、実験をしているのだろう。仕事中心で生活を考えてきた自分が、自分にとって大事にしたいものを中心に据えて、そこから暮らしや仕事を組み立てても、やっていくことができるのかという実験。

大事にしたいものが変われば、暮らす場所は富山じゃなくなるかもしれないし、フリーランスでもなくなるかもしれない。

ただ、今後どうなったとしても、今の実験で得られることは、生きていく上できっと自分の糧になる。よっしーさんの一言は、そんな自信をくれた。

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泊まったのはたった一日。にもかかわらず、「せっかくだから南伊豆を楽しんでほしい」と、地元の綺麗な海や、ほっとやすらぐ銭湯、隠れ家的なバーなど、いろいろなところに連れて行ってもらった。

楽しく刺激的な時間はあっという間に過ぎ、気づけば帰路へ。結局最後の最後まで、なにをギフトに贈ろうか決められず、東京に帰ってきてしまった。

さて、どうしようか。悩んだ結果、私はこのnoteに綴った言葉をギフトとして贈ることにした。

正直、あそこで巻き起こっていることの面白さは、私の言葉では全然伝えきれない。

だからぜひ一度行って、体感してみてほしい。

「もう一度行きたい」そう思わせてくれる出会いが、きっとあるはずだから。


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