今も胸に焼きついている、3年前のあの日の風景
ふとした瞬間にいつも思い出す風景がある。
3年前のこの景色だ。
3年前、会社で働く傍ら毎月第3土曜日にイベントを開催していた。コンセプトは、想いある個人が挑戦する実験の場。
「珈琲を淹れる楽しさを知って欲しい」「食について考えるきっかけを提供したい」「日本酒の美味しさを味わってほしい」。好きなこと・伝えたいことがあり、表現する場を求めている人をゲストに迎える。そのテーマを知りたい・学びたい人を参加者に呼ぶ。そんな場所を企画していた。
開催するきっかけになったのは、デンマークの学校に訪れたこと。北欧諸国にはフォルケホイスコーレという、18歳以上であればだれでも通える学校がある。
当時「日本からも会社からも離れた場所にいきたい!」と思っていた私は、ゴールデンウィーク期間だけとある学校に飛び込んだ。そこで目にしたのは、何歳になっても、今の仕事がなんであろうと関係なく、自分の学びたいことを学ぶ大人たちの姿だった。
こんな場所が、もっと身近にあったら。
興味のあることを知れたり、好きなことを誰かとシェアできたりする場所が近くにあったら、きっと楽しいだろうな。
そう思って帰国後につくったのが、冒頭に書いたイベントだった。
ありがたいことに一緒に企画するメンバーにも恵まれて、開催スペースに貼るポスターも毎回つくっていた。
1年半の活動をまとめたZINEもつくった。
仕事をしながら毎月イベントを企画・開催するのは、正直大変なときもあった。でも、誰かの好きや得意が溢れる空間に立ち会えることは本当に楽しかった。そのことは、この写真の私の表情がよく物語っている。笑
ただ、楽しかった記憶のなかに、一つだけ悔いが残っていることがある。イベントに出てくれたゲストたちに、さらなる表現の場をつくれなかったことだ。
ゲストのなかには、イベントでシェアしたコンテンツを本格的に仕事にしていきたいと考えている人もいた。実際に、この場でヨガ教室をやったあと、ヨガインストラクターになった人もいる。
けれどそれはごく一部で、本当はやりつづけたいけれど、本業や生活との兼ね合いで辞めざるを得ない人たちもいた。そんな人たちに、もっと何かできることがあったんじゃないかと、今でもふと思う。
もしかしたら私はそのリベンジのために、「だれもが創作をはじめ、続けられるようにする」というミッションを掲げている会社で、働いているのかも知れない。
今も胸に焼きついている3年前の風景を塗り替えるような、そんな瞬間に、いつか立ち合いたい。