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仕事辞めた僕に起きた嘘みたいな出会いの話(2)

アイドルだと言う彼女と出会ってから、僕は誰に頼まれているわけでもなく、豊洲のレインボーブリッジが見える公園に行くようになった。

彼女がいるわけでもないのに。少し期待をしながら毎日訪れては、noteを書いて昼寝をして、
日が沈んだ頃に帰る。

あれから彼女が誰だったのか、調べるのは野暮だと思い調べていないがやはり気になってしまう。彼女は本当にアイドルなのだろうか。
どのくらい有名なアイドルなのか。
僕如きが彼女に話して良かったのか。
もし僕と話しているところを誰かに盗撮されて、週刊誌に載ってしまったら。
などあり得ない妄想までする始末だった。

でも僕が持っている情報は「彼女はアイドルである」くらいしかない。
アイドルに詳しい訳でもないのに彼女を見つけられるだろうか。
とりあえず知ってるアイドルから片っ端に調べて行った。

そういえば彼女は「アイドル始めて2年」って言ってたことを思い出した。
この情報は重要な情報だと思いこの情報から調べた。2年前だと2022年。
とあるアイドルグループがヒットした。
誰もが知る国民的グループだった。
そこに彼女はいた。
写真の彼女は幼なくて一瞬見落としてしまいそうになったが間違いなく彼女だ。

2年でこんなにも垢抜けるのか驚き、
2年間何も変わらない自分が情けなくなった。

彼女のことを調べてみるとかなりの苦労人だった。アイドルになってから色々な噂が出て来てファンの間で論争が生まれ炎上をしていた。

そりゃ1人なりたくなるなぁと思った。
彼女の知らない人達がネット上で言い合って
彼女が知らない間に炎上し、噂レベルのものが
誹謗中傷になっている。
これより怖いことはない。

彼女があの時一点を見つめて話した理由がわかった気がする。
彼女強いけど強くなきゃと思っている。
だからあの時1人でレインボーブリッジを眺めていたんだろと思った。

形は違えど、彼女と僕は似ているのかもしれない。彼女は今日もあの公園にいるだろうか。
また会ったら話したいなぁと思ったけど、
彼女の正体を知ってしまった僕は、知らないふりして話せるのだろうか。
そもそも話しかけちゃダメか。
色々考えてしまったが彼女と会ったら
また考えることにしよう。

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