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mumasaka
2019年8月6日 17:52
アスファルトに投げ出されたライを、同じように這いつくばった私とカイが、助けようと立ち上がり駆け寄る。 その私達とライとの間になにかが割って入る。 真っ黒で、馬のような大きさのそれは、犬の後脚に猫の四つ脚、計六つの肢を持ち、頭部は自転車用のヘルメットのような曲線と凹凸だが、目鼻口のようなものはないように見えた。 ふと見ると、空には大小様々な黒い塊が群れをなして飛んでいる。 なるほど、こいつ
2019年7月25日 17:40
アレが追いかけてくるなか、私たちは三階建ての小さなビルへ近付く。 一階はまるまる車庫になっていて、壁の一面が開けている。 敷地内に丁度いいバケツが転がっていたので拾っておく。 車庫の隅には二階へ続く階段があり、そのすぐそばの壁には小さな四角い金属板がある。「カイ、この金属板を壊してくれ!」 私はバケツから水を噴射して、触手の動きを捌きながら叫ぶ。「わかった!」 カイが壊した金属板の
2019年7月6日 18:21
コンビニのガラス越しに、車道に突っ立っていたソレは、今まで見てきたなにものにも例えられないシルエットをしていた。 その背はビルの二階にとどいていたのではないだろうか。 玉子のように丸い胴体に比べて、妙に平べったい腰からは、色は真っ黒だが人間の脚を思わせるものが三本生えていて地面を踏みしめている。 その胴体の肩の位置にはバイクか自転車のようなタイヤが左右から突き出ている。 その左側のタイヤ
2019年6月20日 18:12
カシュンカシュンカシュン! 突然、機械的な音が響く。 私とカイは身構えて周囲を見渡す。 公園の入り口にバイクに股がったヘルメットをかぶった人影。ワイン色、アシンメに斜めのラインが入った細身のライダースジャケット、両手でライフルタイプのエアガンを構えている。「セイ!空だ!」叫びながら、カイが指差す。 カラスのような黒い羽を生やした、ゴムホースサイズの真っ黒なミミズ。エアガンに撃たれたのだ
2019年6月10日 14:59
「世界、終わってんな」 と、背後から唐突に声をかけられた。どちらかというと、声をかけたというより独り言に近いニュアンスだったかもしれない。 この辺りでは一番高いビルの屋上。 眼下には、人の動きのない時間の止まったかのような街並みが、白い自然光を反射しながら広がっている。 振り向くと給水塔に腰を掛けている線の細い人影。 装飾品をジャラジャラ付けた、露出の多いボディラインのはっきりした格好