小説連載始めます、予告編‼️
I will never know, 'cause you will never show
Come on and love me now, come on and love me now…
午後2時。カーディガンズの「カーニヴァル」がラジオから流れるのを聴きながら、あたしはパンケーキにメープルシロップをかけていた。店内に漂うココナッツオイルの匂いと、滑り止めのニスが塗られたテーブルの感触。がらがらの店内と、暇そうに突っ立っているウェイター。窓から見える雲ひとつない青空、半袖でちょうどいいくらいの少し生ぬるい空気。五感で感じられるすべてのものに意識を傾けながら、シロップでひたひたの甘いパンケーキを食べる。目をせわしなくきょろきょろと動かしながら。耳は最大限クリアに澄ませながら。いつでも動けるようにいい姿勢で、かかとはきちんと床につけたままで。
いつも一緒のあの子は、今頃ボーイフレンドと一緒にいる。あの子といないときは大抵ひとりだ。いつもあの子とおしゃべりするときに使う神経を、今はすべて「あたしの周り」へと向ける。そうして「カーニヴァル」を聴きながら、こんなことを考える。
I will never know, 'cause you will never show.
あなたが見せてくれなければ、あたしは知ることはない、絶対に。あなたが教えてくれなければ。
あなたがいなければ、あたしはずっと知らないままなのだろうか。あなたなしじゃ、知ることはできないんだろうか。世界はあなた中心で、あたしひとりじゃなんにも知ることはできない?見ることも?聴くことも?なんにもできないの?
できるはず、って心のどこかが囁く。あたしにもできるはず、チャンスが訪れれば。知れるはず、見れるはず。だからこうやって最大限の自由を行使しながら、あたしは機会を待っている。静かに。たったひとりで。
外には何があるんだろうか。
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