若手エース教員はどう読むか?新刊「未来の学校のつくりかた」

大学生のころからの友人、宮川たくちゃんがすげえ先生を紹介してくれた。大阪の中学校で教鞭をとる徳留さん。「こんなにもエネルギッシュな先生がいるなら日本の教育はイケイケじゃん」と率直に思った。だって、みなさん、いきなり初対面の僕に自分の書いた「教員の心理的安全性を高める組織マネジメントについて」について送ってくるんですよ。その当事者意識と前のめりな姿勢は、きっとベンガル人もびっくりです。徳さんのパッションはそれだけでは終わりません。自身の学校の「学力向上に向けた指針」まで共有してくれました。その内容の分厚いこと、濃いこと、細かいこと、熱量がこもってること。こんな真っ直ぐな方がいるんですわ。大阪の学校には。そんな徳さんと、たくちゃんで来週4日に拙著「未来の学校のつくりかた」で第1章を飾る「みんなの学校」の木村泰子先生を囲む会をzoomで開催します。興味のある人は連絡をください。ちなみに徳さんは「みんなの学校」の舞台、大阪住吉の大空小学校そばで育ちました。どんだけ縁があるねん。

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「学校ってどんなところですか?そして私たちはどんな姿を目指しますか?この問いの答えを1年間みんなで考えていきましょう。」
全教職員に対し、2020年、年度のスタートに私が投げかけた。

本校は、3年前から大阪府教育委員会指定のSE事業推進校である。
SE事業とは、スクールエンパワメント事業の略称で、府内公立小中学校のうち、学力向上に向けた取組み等を保護者・地域と共有しながら、新しい時代に必要となる資質・能力を育成する取組みを積極的に推進する学校に教員を配置し、開かれた学校づくりをすすめ、子どもたちの「学びに向かう力」を育み、「確かな学力」の定着を図り、学力向上を目指すことを目的としている。
私はコーディネーターという立場でこの取組みの旗振り役を務めている。
「教職員が100%の力を発揮できる環境でこそ、素晴らしい教育ができる」との信念のもと、教員同士がつながり、互いに支え合える関係性の構築や心理的安全性の向上により、教員が孤立せず、学び合える職場環境が形成されている。
先生方の多大な協力のおかげで、本校での変革のうねりは大きく、活気に満ち溢れている。
そんな中で、私たちの学校、そして地域にとって新たな視座を与えてくれたのが本書である。

本書は、「未来の学校のつくりかた」というタイトルだが、
決して今の学校現場やシステムを否定するものではなく、
未来の学校の理想論、はたまた絵空事を並べているわけでもない。
確実に私たちのこれからを示す羅針盤となるメッセージがたくさん込められたものである。

5つの教育現場を訪ね、著者が感じたことをまとめているが、
どの現場も、血の通った人々の熱い思いがたくさん詰まっている場所であった。
特に、私の地元にある大空小の話は、何度聞いても心が熱くなり、涙があふれ出そうになる。今回もそうであった。
「この5つが特別だからできるんでしょ。」そういった話ではないと私は考える。
子どもたちがいて、地域があって、学校がある。これはどの場所でも同じである。
「学校は船、地域は海だ。地域が豊かじゃないと、学校は沈んでしまう」
「ふるさとが教育をつくり、教育がふるさとをつくる」
「町づくりは人づくりにあり、人づくりは教育にあり」本書で述べられている言葉だ。
子どもたちにとって何が最善なのかに軸足を置き、大人も子どもたちとともに学び続ける。これこそが5つの現場が根っこの部分でつながっているものであると感じた。
だからこそ、一人ひとりが当事者意識を、いや、一人ひとりが主人公の、町づくり、人づくり、そして教育づくりを行っていきたいと願う。

私は常々、自分自身に「どう在りたいか、どう生きたいか」を問う
それは一人の人として。
本書に出会えて、改めて「学び続ける人で在りたい」と心から思えた。

「素敵な学校があるんやな。日本もまだまだ捨てたもんちゃうな。」で読み終えてしまうにはあまりにももったいない。本を閉じたときが始まりへの一歩である。
「若者が今立ち上がらなければ子どもの未来は誰が保障するのでしょう」
木村泰子先生からいただいたこの熱きメッセージをバトンとし、教育現場をつないでいきたい。

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德留宏紀
1990年、大阪府出身。公立中学校理科教諭7年目。
2018年より大阪府教育委員会指定、SE事業コーディネーターとして、学校改革や組織マネジメントに携わる。同時にEdcampやGEG-Osakacityの代表を務め、フィンランドElämäプロジェクトなど幅広く挑戦している。
https://www.facebook.com/hiroki.tokudome.31
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