Study86_5.旨味を最大限に引き出した「ひらきなめこ」の唐揚げをつくるには(揚げる時の衣は何つける?編)
これまでに行った「ひらきなめこ」の実験記事はこちらから
Study86_1.下調べ編
Study86_2.下処理・洗い方のコツはある?編
Study86_3.下処理・洗い方のコツはある?編2
Study86_4.加熱速度でおいしさは変わる?編
前回の実験では、煮込みの場合「とにかく冷凍するとおいしくなる」「加熱しすぎない方がいい」ということが分かってきました。これまでは、油と共に食べると繊細な味の違いが分かりにくくなるので、「揚げ」以外の方法でひらきなめこの性質を探ってきましたが、今回からやっとこさ「揚げ」の実験に移っていきます。
今回目指す唐揚げの方向性はこの2つ。
1、存在感のあるサクサク衣を目指す
2、中身は旨味が染み出すようジュージーに
ひらきなめこの特徴として、大きく肉厚なカサと茎の食感を楽しめること、強い旨味を感じられること、があります。衣をサクッと噛んだ後に旨味がジュワッと口の中に広がる…という状態を目指します!この条件を目指すため、「卵」は使わないと最初から決めています。卵を入れるとフワフワな食感に近づくからです。今回用意した衣はこちら。
大豆粉は中々ご家庭にないかもしれませんが、最近はスーパーでも販売されています。大豆製品を摂取する機会が増えっていったらいいなと思っています*小麦粉と水に加え「米油」を混ぜたのは、これまでの経験上こうするとサクサク感がアップするためです。パン粉はサクサク感に一役買ってくれるのでは、という想定で選んでいます。
全て冷凍した状態のもの。つける量はわりとたっぷりめです。油の温度は水で溶いた衣が3秒ほどで上がってくる程度(170〜180℃)で、1分15秒揚げます。揚げたものがこちら。
衣によって揚げている最中の「油跳ね」のタイミングも違っていました。いずれもひらきなめこの「カサの裏のヒダ」から蒸気が吹き出し油跳ねしやすいので、途中蓋をして加熱します。(この現象、後々の実験から「冷凍」が原因ということが分かってきます)
衣はあった方がいい。
まずはっきりしたのは、衣はあった方がいいということでした。見た目からも分かりますが「素揚げ」は、ひらきなめこ自体から水分が抜けきって素晴らしい個性だった「肉厚さ」「ジュージーさ」がなく、食べ応えもありません。衣がない分なめこの味は一番感じやすい気もしたのですが、ここまで個性が消えてしまうのであればやっぱり衣はあったほうが良さそうです。
一番ザクザクになったのはパン粉
でも小さいひらきなめこには向いてない
一番衣がザクザクになっておいしかったのは「パン粉あり」の2つでした。ただし、ひらきなめこのサイズによっては向いていません。ひらきなめこは1つの袋の中に大小様々なサイズが入っています。大きく肉厚なひらきなめこであれば衣のザクザクにも負けずキノコの旨味と存在感を感じるのですが、小ぶりなひらきなめこだと衣に負けてしまい、まるで衣を食べているような状態になってしまいます。
ジューシーさを保てるのは小麦粉+水
でもサクサク感はない
「小麦粉:水 」「小麦粉:水:米油」は衣でしっかり守られている分キノコの肉厚感を感じやすかったのですが、衣がもちもちしてしまいました。いわゆる「フリット」ですね。また、今回に関しては衣に「米油」を入れるかどうかの違いは感じられませんでした。
衣の付け方にもう少し工夫が必要
ほとんどサクサク感がなかったのが粉だけでつけた「大豆粉」「小麦粉」でした。衣の存在感はほぼないのですが、ひらきなめこが小さくなるのを防いでいる様子はありました。素揚げと同様、衣が少ない分ひらきなめこ自体の味は感じやすいように思いました。また、他とちょっと様子が違ったのが「大豆粉+水」でした。
見た目からも少し違うのが分かりますが、控えめな衣の食感ではあるものの、ある程度の食感があっておいしく感じます。衣の凹凸が立体的な食感をつくってくれていて、おいしさに繋がっているように感じました。また、大豆独特の香ばしさがあるのでそれも好きなポイントでした。
今回の気づきと次回に向けて
この点を踏まえ、引き続き実験を行っています。次回もお楽しみに*
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