Study86_3.旨味を最大限に引き出した「ひらきなめこ」の唐揚げをつくるには(下処理・洗い方のコツはある?編2)
これまでに行った「ひらきなめこ」の実験記事はこちらから
Study86_1.下調べ編
Study86_2.下処理・洗い方のコツはある?編
前回に引き続き、下処理と洗い方についての実験です。前回は洗い方を変えたひらきなめこを煮込んで比較しましたが、今回はより旨味や味をダイレクトに味わえる「焼き」で比較していきます。「洗い方」と「下処理方法」の条件は前回と同じです。
基本は全て生の状態からスタートし、比較のためにDだけ冷凍しました。Bは水を張ったボウルに5秒浸水し、少し振りすぐに水を切る。Cは1分間手で混ぜながらよく洗い水を切る。Dは洗わずに8時間冷凍したものです。
加熱方法はカサを上にしてフライパンに入れて中火にかけ、蓋をして蒸し焼きに。1分半で焼ける音がしてきたところでトロ火に落とし、7分半経ったところでひっくり返します。今回は、加熱途中でも違いが出てきました。
「ゴシゴシ洗ったひらきなめこ」からは、ほんの少しフライパンに触れた茎の先端から水分が染み出しジュワジュワ焼けています。
「洗わず冷凍」は、フライパンに触れた茎の先端から「ゴシゴシ洗う」よりもさらに多くの水分が染み出し、染み出したものがフライパンの表面に焼き付いていました。ここから少し長くなりますが、このことからどちらも細胞内の成分が溶出しやすい状態になりその水分がフライパンに焼きついたのかと一瞬考えました。しかし、それだと前回の実験の筋が通りません。前回は「ゴシゴシ洗う」は煮汁に出た旨み成分が少なかったためです。
そこで新たな考察として、「ゴシゴシ洗う」は表面に付着した水分量が多く、なめこ表面の成分を溶かしながらフライパンに焼きついた。「洗わず冷凍」のひらきなめこは細胞が壊れ細胞内の成分が溶出してフライパンに焼きついた。と考えました。これなら、前回の結果とも筋が通ります。完璧な真相までは辿り着けませんが、一旦前に進みます。焼き上がったものがこちら。
「洗わない」は、見た目からカラッとしているのがよくわかります。「さっと洗う」は カサの裏が少しドロドロしていいますが、触ったところ弾力は残っています。「ゴシゴシ洗う」もカサの裏が少しドロドロしていて弾力も少し減っています。最後の「洗わず冷凍」は見た目も一番ドロドロとしていて、弾力もありません。
旨味の初速度は「洗わない」がダントツで強い
「洗わず冷凍」もトータルの旨味は強い
「洗わない」は、水っぽくない分旨みを感じる初速度が一番早いように感じました。次に旨味が強いと感じたのは「洗わず冷凍」。噛んだ時弾力がないことが少し水っぽく感じさせていますが、旨味は「洗わない」と同じくらい強く感じます。「さっと洗う」「ゴシゴシ洗う」は舌に触れた時水っぽく最初のガツンとした旨味は弱くなりますが、噛んでいくとしっかりと旨みを感じることができました。
弾力を残すには「洗わない」もしくは「さっと洗う」
弾力の強さ順に並べると、洗わない>さっと洗う>ゴシゴシ洗う・洗わず冷凍 の順となりました。これまで高評価続きだった「洗わず冷凍」が「ゴシゴシ洗う」と同順位に陥落です。
「ひらきなめこ焼き」を楽しむなら洗わない・冷凍もしない
BBQやホットプレートなどでシンプルな「ひらきなめこ焼き」を楽しむ際などは、「洗わない」を徹底した方がよりひらきなめこの旨味を感じられそうです。塩をちょんちょんとつけて食べるような時ですね。
もしくは、どうしても洗いたい時は「さっと洗う」。手早く洗えば弾力が破滅的に無くなる訳ではありません。
「洗わず冷凍」は確かに旨味はあるので、ある程度食感を保たなくても良い「煮込み系」の料理か、単体の食感の弱さは気にならなくなるであろう炒め合わせる系の料理であれば良いかもしれません。
「ゴシゴシ洗う」は食感の面でも味の面でもいいことがないので、なんにせよ行わない方が良さそうです。
ここまでで、「冷凍は旨味がまして良さそうだけど、料理によって使い分けた方が良さそうだぞ」ということがわかってきました。また、「洗い」はできる限りしない方がいいことが多そう。次回はいよいよ「揚げ」に移っていきます。この実験の目的は「おいしい唐揚げをつくること!」であることを忘れてはいけません!では、次回もお楽しみに*
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