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アルテンプス宮にて

ローマには国立博物館が合計4館あります。
日本語で記すと「国立博物館」と全て一括りにされるので、知っていないと、「この彫刻がみたいから、国立博物館に来たのに無いじゃないか!」という悲しいことになってしまいます。
私はまだその内の3つにしか行った事がなく、それぞれの呼称は「パラッツォ・アルテンプス」、「パラッツォ・マッシモ」そして「ディオクレティアヌス浴場跡」だったはずです。

どの博物館も素晴らしい展示品の数々なので、全てを訪れる事をオススメします!

今回はその中の1つである「アルテンプス宮=パラッツォ・アルテンプス」について書きます。
専門的な知識は特にないので、楽な気持ちで読んでくださいね!

この博物館はパンテオンやピアッツァ・ヌオーヴォの近くにありますが、如何せん周囲に世界的に有名な観光名所があるので、あまり人気はなく、物凄く有名という訳ではありません。

なので、私が訪れたときも館内には10人程しか居ませんでした。
もしかしたら、それ以下の人数でした。そんな事もあり、街中のざわつきからは隔絶された空間になっています。日本でこの博物館の中にある彫刻や工芸品で展示をしたら記録的な来館者数を記録することでしょう。

1階には多くのローマンコピーが各々の部屋に1~3体ととても品良く展示してあるので、非常に優雅な気持ちで拝観することができます。

こちらはそのローマンコピーをスケッチした中でも特に出来映えの良いスケッチです。個人的に破損した彫刻やトルソー、残欠が物凄く好きで見つければ必ずと言って良いほどスケッチします。
この博物館はその様なものばかりでまさに天国そのものでした。

また、各階の同じブロックにテラコッタ、ブロンズ小像、ローマングラスにギリシャ陶器や種々様々な工芸品が展示されており、なんとピラネージの「ローマの景観」シリーズまでもが特別展として展示されていたりと心から歓喜してしまう素晴らしい空間になっていました。
異化にその展示空間の写真を載せます。

写真がありすぎて載せきれないので、とりあえずこのくらいにしておきます。
個人的な感想では一日中ここに居られる。と思いました。

またこの博物館は彫刻の美しさを存分に引き出す展示方法になっておりました。
日本の博物館のように、ただどんな来歴か、どの時代のものか、何が凄いのか、を理解する事が第一目標になり、それを示す標本になってしまい、そのモノの持つ美しさや、造形的な素晴らしさには、とても疎くなってしまっている展示とは、どの様に展示品を見せるか、という根本的な意識からの違いを感じました。

けっして、日本の展示方法が悪い訳ではありませんが、博物館等で観賞している、キャプションを読み、そして写真を撮って次の展示品に移る、そしてまたキャプションを読み、、と何の流れ作業だ。と思ってしまうような人は多々見かけます。
そんな見方で楽しいのだろうか?それなら、図録や本買った方が良くないかな?と思ってしまいますよね。

話が横道にそれてしまいました。

この博物館では、とても有名なギリシャレリーフや彫刻とローマンコピーの彫刻があります。

和辻哲郎の「ヨーロッパ古寺巡礼」でも記載されている古代ギリシャレリーフは、視界に入ってきたときに感動のあまり鳥肌が立ち、涙が出てきそうでした。
像の素晴らしさは言うまでもなく、このレリーフの前に和辻哲郎が立っていたのか、そして、このレリーフを観ながら様々な事を思考していたのかと思うと興奮しずには、いられませんでした。

軍神アレスの彫刻に対しては、なんて凄い感覚で彫っていったのだろうと思うほど、形のキレが良かったです。

ガリア人の自殺の彫刻は何故かあまり感動しませんでしたが複雑な造形を観ながら、良くこんなに造れるなぁ~、と感心していました。

一つ一つの彫刻に対する感動について書いているときりがなく、とても大変なのでこのくらいにします。
(そんなに書いていませんが、幾分素人なので。。)

ローマは観るべき遺跡や博物館、美術館が多過ぎて、1つの場所をじっくりと観察するという余裕が中々持てません。
もっと多くの時間を割くべき場所はたくさんあります。
なので、いつかはローマに長期滞在をして、その歴史を存分に味わいたいと思います。

また、この街(というか国)はどの博物館にも有名な彫刻が至極当然かのように置かれているので、一つ一つに感動している暇もなく、また見続けていると感覚も麻痺してきて、「あぁ、またローマンコピーか。」「なるほど、これはギリシャ彫刻なんだね。へぇー。」などとよく分からない感覚に陥ります。

あり得ない質と量とはまさにこのことかと。

一生居ても飽きないでしょう。

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