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イタリア建築紀行 渡辺真弓 著

読書感想文です。

今回は『イタリア建築紀行 ゲーテと旅する7つの都市』です。

主題の通りゲーテが『イタリア紀行』に記述している、彼が実際に訪れた都市を西洋建築史を専門とする著者が様々な角度から記述した内容になっています。

ゲーテのイタリア紀行の中での文章を引用しながら説明したり、著者の新たな解説が加わったりと非常に構成として面白く、一気に読み進められる軽快さもある内容だと思いました。

特に、ローマの成り立ちを物凄く分かりやすく整頓して説明しておられるので、現在のローマがどの様な積層の上に成り立っているかを改めて理解することができました。私は古代ローマ帝国崩壊以降のローマがどの様な道を歩んで行ったのかを、そこまで詳しく知らないので、この本によって基本的な骨格を把握することができました。

また、ナポリでの章でゲーテの『ローマにいると勉強したくなるが、ここではひたすら生きたくなる。』と『人々が何と言おうが、語ろうが、絵に描こうが、ここの景色はそのすべてを越えている。』という言葉に深く深く共感しました、
私自身もナポリを訪れ、遺跡や博物館、教会などを行き来していると、いつの間にか、考えることを止め、ただひたすらに美しい景色を眺め、南国の穏やかな気候、街の言葉に言い表せない魅惑的な雰囲気に身を委ね、身体がどんどん怠惰になっていぬ感覚を幾度も味わいました。

特にエルコラーノの海岸線からナボリ湾に沈む夕日を眺めていたときは、まさに恋に落ちた。と言えるほどに、その景色に深く心酔していました。

悪魔的な風土ですね。


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