見出し画像

『天使の翼』第12章(60)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~

 わたしとエリザは、顔を見合わせた。
 言うまでもないことだが、この期に及んで、わたしは、怖じ気づいていた。空を飛ぶこと自体もさりながら、一体彼女の体のどこにつかまれというのだろう。振り落とされるとしか思えなかった……わたしには、デビル・ハンターのようなボディ・スーツも装備もない……耳をつまんで進む方向を指示するとか言ってなかったろうか……無理よ!
 エリザが、笑んだように見えた。
 『私達の赤ちゃんが、空に慣れるために母親の体にしがみついて一緒に飛ぶ、って知ってた?』
 「えっ?」
 『同じようにすればいいの』
 

この記事が参加している募集

#宇宙SF

6,030件

#SF小説が好き

3,120件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?