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『天使の翼』第12章(68)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~

 『他のデビル達が、私の背中にいるあなたに気付いたみたい――』
 彼女が言い終わるか終らぬ時、彼女の言葉を待っていたかのように、わたし達の頭上に影が差した。
 ぎょっとして見上げると、エリザより一回りは大きい、毒々しい赤みを帯びた鱗のデビルが、カッと目を見開いてわたしのことを見下ろしていた……5標準メートルもない……
 エリザとその巨大なデビル――わたしは、オスに違いないと思った――は、大空に同じ曲線を描いて飛んでいく……エリザが被膜を傾ければ巨大デビルも被膜をかしげ、首を下方に突き出せば、そのものも首を下げた……
 その間、彼は、ひたとわたしの顔に視線を据えたまま……
 わたしは、直感の告げるままに、ゴーグルを持ち上げてひさしの上に戻した――わたし自身の目で彼と見詰め合う――
 その刹那、彼はぐっと首を引いたように見えた……巨大な目の色――底なしの球体の表面が、すーっと和らいだように見えた……

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