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テクノロジーと社会

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#デジタル化

見えてきた『未来の工場』の姿~3つのデジタル化が作るアフターコロナのニューノーマル~

 日経電子版の記事【シーメンス、「未来の工場」変幻自在 生産性が14倍に ビッグBiz解剖(上)】では、独シーメンスの戦略を通して、デジタル化による『未来の工場』の姿が描かれています。  今般のコロナ危機は、テレワークの普及・オンライン診療の導入など、様々な分野でデジタル化の潮流を加速させていますが、工場にとってはどのような意味を持っているのでしょうか―― ▶コロナ危機が生産現場に迫るもの(1)サプライチェーン上のリスクを見直し、先進国の生産回帰が起きる。 (2)その場

デジタル化の体力~デジタルも受けるコロナの影響~

 日経電子版の記事【スマホ決済低調、巣ごもりで「かざせず」 クレカ最多】では、キャッシュレス化の寵児とも言えた『スマホ決済』が、コロナ危機のもたらした行動変容によって、対面決済における「かざす」という利用シーンそのものが伸び悩み、シェアを減らしている――「(記事より)2月10日~3月8日と、直近の5月4日~17日のデータを比べると、最も利用が多かった決済手段はクレジットカードの36.2%で、1.9ポイント増えた。現金は2.8ポイント減の31.7%、「ペイペイ」や「LINEペイ

コロナで分かったIT化のベネフィット~ウィズコロナからアフターコロナに繋がるITの利便性~

 日経電子版の記事【コロナが変える不動産ビジネス 時間限定カギや時間貸し】では、新型コロナウイルスの感染拡大によって、不動産ビジネスの現場でスマートロックが活躍する状況がリポートされています。  この記事から浮かび上がってくるのは、(例えばドアのカギ本体とスマートフォンなどからなる)物理的な鍵のないスマートロックという存在が、ウィズコロナの現場だけでなく、アフターコロナのシーンでも重宝されそうだ、という事ではないでしょうか。  さっそく、記事などからそのベネフィットと使用

《連続投稿500日まであと5日》漱石のビッグデータ~思考という名のビッグデータ~

 日経電子版の記事【漱石を最新技術で後世へ 東北大、デジタル化を開始】では、東北大付属図書館が、損傷が激しいなど、これまで一部の研究者のみに公開されていた資料も含め、所蔵する漱石文庫(直筆草稿・蔵書など)を、クラウドファンディングで募集した資金で高画質デジタルデータ化しようという事業がリポートされています。  記事で取り上げられた漱石はもとより、数多の『知の巨人』の歩み、その迷宮のような思考の履歴を辿ろうとすれば、いささかSF小説めいていますが、その脳をスキャンするのが一番

《連続投稿464日目》『知の巨人』のアーカイブの未来

 日経電子版の記事【「知の巨人たち」の個人アーカイブを残す意味】では、各方面の『知の巨人』が残した書籍・ノート・(アイデアなどを記した)カード類・(著作のための情報の)ファイル・写真・草稿などのアーカイブのポテンシャルが語られます。  記事から浮かび上がってくるのは、『知の巨人』の個人アーカイブを残すことの重要性、そして、そのアーカイブのデジタル化がポイントである事です。  さっそく、記事などからそのようなデジタル化の事例を整理してみると―― ▶個人アーカイブのデジタル

IT企業がデジタル部門を無くす!?

 日経電子版の記事【IT大手アクセンチュア、デジタル部門を無くした理由】は、米IT大手のアクセンチュアがデジタル部門を無くしたという、一見しただけではまるで禅問答のようなリポートです。 (問い)IT企業がデジタル部門を無くしたら、IT企業じゃ無くなっちゃうんじゃないのか? (答え)デジタル部門の人材全てを、各事業領域の部門に組み込む、という事。  ――一見禅問答のような問いに対する答えは、この短い記事を読むとすぐに判明します。  現在進行形の第4次産業革命の時代の企業

くら寿司に見る『伝統とデジタルの融合』

 日経電子版の記事【くら寿司、握れ海外市場 浅草の新型店で訪日客取り込み 帰国後の現地利用狙う】は、くら寿司が新たに開いた和の内装を特徴とするグローバル旗艦店をリポートしたものです。  イノベーティブ(革新的)なものが次々に登場する変化の激しい時代に、伝統的なものはいかにして生き残ってゆけばいいのか?  伝統の良さを生かしながら、現代人、そしてインバウンドの心にも刺さる尖ったサービス、ユーザーのインサイトに肉薄するサービスをどのようにデザインしてゆけばいいのか?  ――

データがデジタル化され共通語となる時に何が起きるか?

 日経電子版の記事【ヤフー・LINEが狙うスーパーアプリ 上海で体験】は、記事から引用するなら「現金による支払いをキャッシュレスに置き換えるモバイル決済アプリ。しかし決済だけが目指すゴールではない。タクシー配車やモバイルオーダー機能を組み込み、サービス利用から支払いまでをシームレスにつなげる」という『スーパーアプリ』に関するリポートです。     そもそも、このような事が可能となるのは、個人情報・決済・配車・予約など様々なデータがデジタル化され、共通の情報基盤として活用可

成長のエンジン~経営統合よりデジタルトランスフォーメーションか~

 日経電子版の記事【スシロー、進化形回転ずしで挑む一人勝ち】は、経営統合の交渉中止が株価下落に繋がった件を考察したリポートですが、具体的な事例はさておき、『経営統合』=正論とは限らない事だけは明白です。  ここで、改めて『経営統合』のメリット・デメリットを考えてみると―― ▶『経営統合』のメリット・デメリットの例(1)メリット   ①『調達力強化(スケールメリット)』・・・大量仕入れによる原価    低減。   ②『海外共同展開(スケールメリット)』・・・海外展開加速によ

イノベーションのアイデアが生み出されるエコシステムを構築する

 日経電子版の記事【ビームスを壊せ 社内事業コンテスト密着】は、新規事業、イノベーションのアイデアを生み出すための取り組みとしてのコンテストに関するリポートで、とても参考になります。  新規事業に繋がるイノベーティブなアイデアを生み、そして育てるにはどうしたらいいのか?――コンテストは確かに一つの施策ですが、一般論としては、課題もありそうです―― ▶『イノベーション・コンテスト』の課題(1)『やらされ感』満載    せっかくの『イノベーション・コンテスト』も、『やらされ感

フレキシブル・シンキングのすすめ~3つの謎と3つの柔軟思考~

 日経電子版の記事【1日800個握るおにぎり 味の決め手は大粒のコメ】は、新規参入(2009年、農業法人ライスボール設立)にもかかわらず6次産業化を軌道に乗せるライスボールについてのリポートです。  記事からは、新規参入なのに何故6次化が軌道に乗れたのか、その『3つの謎』と、その謎、課題をクリアにできた『3つの柔軟思考』が鮮やかに浮かび上がってきます―― ▶3つの謎と3つの柔軟思考(1)第1の謎~何故、おにぎりに合うコメを生産できるのか~  ⇨(普通の発想)おにぎりに合う

徹底的なDXとは~『事務』を効率化し、『創造』に集中する~

 日経電子版の記事【ネットで社内も変革 ストライプの中国巻き返し戦略 ストライプの中国「新小売戦略」(下)】は、改めて、コト消費の時代にスモールマスな顧客のニーズをプロダクト(モノ・サービス)に反映させるのに必須のDX(デジタルトランスフォーメーション)が、まだまだ不十分な事を思い起こさせてくれます。これだけモバイルやクラウドが普及して、ITが日進月歩なのにもかかわらず、記事に登場するケーススタディのレベルには到底達していない、という企業が多いのではないでしょうか。 (追記

シーサイドライン逆走が教えてくれる『モノづくり』の失われない重要性

 日経電子版の記事【運輸安全委「事故前の断線が原因」 横浜の新交通逆走】によれば、今回の事故は、杉田駅から金沢八景駅方面に向かう信号を伝える配線が「車体内部の骨組みに長期間接触し、損傷したとみられる」ことが原因と報じています。  この記事を読んで改めて痛切に感じるのは、現在進行形の第4次産業革命の真っ只中にあっていかにIT化、デジタル化が進もうとも、生身の人間である私達が生きているのはリアルの世界である、という事です。  プロダクト(モノ・サービス)のデジタル化にばかりス

コト消費の時代のPOP~顧客の気付きと共感へと繋げる~

 日経電子版の記事【サイバーエージェント系、来店客ごとに広告配信】は、小売の売場にある棚札・説明カード・ポスターなど様々な媒体、POPの世界で起きている新しい潮流について、改めて考えさせてくれます。  そもそも、コト消費の時代のPOPは、単に価格を表示するだけでなく、その商品によってもたらされる体験価値を訴求するものでなくてはならないはずです。POPは、その商品によって今までと違う新しい体験がもたらされる事の『気付き』を顧客に提供し⇨顧客の『共感』を獲得して⇨『購入』へと導