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ビジネスを考える

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#日経COMEMO

AI発注の課題と可能性

 コンビニをはじめとした小売り各社が、一斉にAI発注へと舵を切っています。日経新聞電子版をざっと見ただけでも、次に掲げたような記事が目に飛び込んできます。    AIが発注に関与する、発注すべき商品とその数量を提案してくるという事は、使う側、発注者にとっては、当然そのAIの能力が気になってくるところではないでしょうか。AI=発注の神様ではない訳で、AIだからと言って無条件に信じることはできません。  そのAIの能力、レベルを決定付けるのは、そのAIがどんなアルゴリズムで作動

《親ペン雑記#9》仕事の『言い訳』10パターン

 ソニーの再建を題材にしたこの記事で『言い訳』という言葉が出てくるのは末尾の次のくだりだ。少し長いが引用してみると―― 「平井はエレキを知らないから、〝外〟から来た人間だから簡単に人が切れるんだ」とよく言われました。とんでもない。社内でも社外でも、つとめて笑顔でいたけど心が痛まないわけがない。誰だってそんな(リストラなどの)決断はしたくない。でも、私がやらないとまた先延ばしになってしまう。 言い訳や愚痴はなし。経営者はなんと言われても結果を出さないといけないんです。この時の

《親ペン雑記#8》プライオリティのクオリティ

 日本経済新聞社と日経BPが共同運営しているライフスタイルサイト『NIKKEI STYLE』の記事【脳を鍛えるコツ3つ 脳トレは筋トレより早く効果あり】はとても興味深い記事で、例えば次の一節などは「なるほど」と思う。 優先順位でToDoリストを作っていても、リモートワークでは仕事と家事がごっちゃに混ざります。優先順位で片付けようとしてもうまくいかず、いちいちやるべきことを考えるたびに脳のメモ帳が浪費されてしまう。シンプルに、時系列でやるべきことのリストを並べて、上から片付け

《親ペン雑記#7》面倒な人のイノベーション

 日経電子版は、何も最新の情報を得るためだけにある訳ではない。その検索機能を使って膨大な過去記事の中から「なるほど」とうならされる読み物を見い出すことのできる、まさに宝の山だ。  下に掲げた【シリコンバレーの神髄は「場所」ではない】なども、そんな珠玉の記事の一本だと思う  この記事では、世間でシリコンバレー、シリコンバレーともてはやされるそのシリコンバレーの神髄、イノベーションのエッセンスが、『場所』そのものではなく、そこに集っている『人』にあることを説いている。  面白い

《親ペン雑記#6》不老不死をめぐるディスクール

 暇を見て日経電子版の古い記事を読み返していると、面白い記事に出会うことがある。いろいろな意味で、最新の情報ばかりが必ずしも有益という訳ではない。  SF小説好きの筆者にとっては、下に挙げた2018年4月の記事【未来での蘇生を願う ロシアで冷凍保存され眠る人々】などとても興味深いものだ。記事によれば「遺体は完全に血液を抜かれ、マイナス196℃の液体窒素に逆さまに漬けられた状態で、100年先まで保存される」とあり、未来の科学の進歩に蘇生の可能性、夢を託したものだ。ちなみに、現時

《親ペン雑記#5》コンビニのトイレをめぐる奇妙な理屈

 コロナ対策でコンビニのトイレが使えなくなりだしてから、既にだいぶ経つ。下の日経電子版の記事などは、2020年の春に出たきわめて初期のものだ。  記事にもあるが、不特定多数の人が触れる箇所が多いトイレは、接触感染のリスクが高いことは明らかで、利用客同士、また、利用客と従業員間の感染リスクを避けるために使用中止とすることはやむを得ない処置と言える。トイレを使いたい切羽詰まった状況の利用客にとっては悩ましい問題だ。いきおいトイレを使いたい利用客と従業員の間でトラブルが起きること

《親ペン雑記#4》現代セルフレジ考

 スーパーやコンビニで自ら商品をスキャンしたり会計をしたりする姿、セルフレジもすっかり見慣れた光景になってきた。少し前の日経電子版の記事【セルフレジの利用客6割に スーパーも導入、民間調査】にもその普及拡大の様子が描かれているが、コロナ禍にあって顧客と店員の接触を減らす効果への期待などが背景にあるようだ。  しかし、このようなセルフレジの潮流は、コロナ禍で加速された側面は否めないにしても、そもそも商品を読み込んで(スキャンして)⇨会計するという時間のかかる旧態依然とした決済

《親ペン雑記 #3》プログラミング教育の必要性

 少し前の日経電子版の記事【IT人材育成、世界が競う】では、世界各国でプログラミング教育が広がる中、特にIT系人材の不足が深刻な日本の現状が憂えられている。  以前《親ペン雑記》で、コンビニという所には社会の縮図のような性質があって、様々な人間模様が観察できる、と言ったことがあるが、先日、まさにこのプログラミング教育の必要性を痛感させられるような現場を目撃した。  それは、私の前でお会計をしていたおばあちゃんなのだが、手持ちの電子マネーに残高が不足していたらしく、チャージす

《親ペン雑記 #2》一方通行のコミュニケーション

 日経電子版の記事【デンソー26年に倍増 東海の製造業、活躍進む女性管理職】では、官民で進む女性活躍への取り組みがリポートされているが、私が注目したのは、文中の次のくだりだ―― 21年度以降に手軽に育休中の女性が職場とコミュニケーションできるような「育休アプリ」の導入も検討する  人間の社会で、日常的な事に始まって大きなプロジェクトに至るまで、何事かをなすには、何にもましてコミュニケーションが、コミュニケーションの質量が重要になってくる。そこに十分な量のコミュニケーション

『自動運転』の現実路線

 日経電子版の記事【ボルボ「もうレベルの話はしない」 自動運転で大転換】は、ボルボが、米自動車技術会(SAE)が定めるレベル0からレベル5までの自動運転レベルという視点での開発やユーザーへの訴求をやめた、というリポートです。  確かに、記事にもあるように、自動運転レベルの区分はテクニカルな視点でなされており、これが(レベル0も含めて)6段階もあっては、ユーザーにとっては非常に分かりにくいものと言わざるを得ません。それどころか、自分の運転する車のレベルが正確に理解できないとリ

UXは資金でも施設でもなく、知恵比べ!

 日経電子版の記事【セイウチがビンタ 「ショボい」水族館、アイデア集客 古い・貧乏…弱点を武器に観客魅了】は、所謂「ショボ水」が独自のアイデアで来館者を集める逆転劇のリポートです。  日本は、国民1人当たりの水族館の数が世界一とのことで、独自の魚文化が息づく、四方を海で囲まれた島国ならでは、と納得のいくデータです。……ですが、水族館側の立場から見ると、そこには激しい競争が存在する訳で、集客のための差別化は喫緊の課題であるはずです。記事から、そんな水族館の施策をピックアップし

変化を生き抜く『高速開発』の仕組みと課題

 日経電子版の記事【エレコム、不断の高速開発 デジタル機器で首位4割】は、年間4千もの新しいプロダクトを生み出す『高速開発』で変化を乗り切る企業のリポートです。  記事から『高速開発』のエッセンスを拾ってみると―― ▶『高速開発』とは(1)『メール上申』・・・商品化を決裁する役員会議を廃し、メール1本で            決断。 (2)『企画書のフォーマット』・・・製品の規格・コスト・販売計画等を            まとめてメール上申、根回しは一切なし。 (3

『忖度』の使い分け

 日経電子版の記事【大人気「かめおか子ども新聞」 忖度なし 本質ズバっと とことん調査隊】は、メンバーは編集長一人を除いて全員子供というユニークな子供新聞に関するリポートです。  そもそも、子供と大人を分けるものは何か、様々な見方があると思われますが、その一つに、『他人の心情への想像力』という事があるのではないでしょうか?……もちろん、子供には鋭い直感力があるので、この場合の想像力というのは、想像力があるとかないとかの問題ではなく、『他人の心情への想像力』を常に敏感に働かせ

コンビニの魅力

 2月15日の日経電子版の記事ですが、【「悪魔のおにぎり」 120万個完売の破壊力 あなたの知らないコンビニ(2)】は、コンビニにおける食の分野の商品開発に関するリポートです。  そもそも、コンビニの最大の魅力とは何でしょうか?――24時間営業でしょうか?独自のスマホ決済サービスでしょうか?……どちらも、社会問題化すると、ブランド毀損となって自らの業績を悪化させかねませんが、だからと言って、それらがコンビニの魅力のコア部分かというと、それは明らかに違います。――小売店として