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ビジネスを考える

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2020年6月の記事一覧

《連続投稿542日目》プロダクトを巡る定説と先入観とイメージ

 日経電子版の記事【「浅漬けは発酵食品」 漬物のアキモが解明】では、シャキシャキ感を楽しむため漬ける期間が数日と短く、塩分濃度8~10%で漬ける通常の漬物と比べ2%という「浅漬け」が、「塩味のサラダ」という食品業界の定説に反して、味わいの変化を楽しめるれっきとした発酵食品であったことがリポートされています。  この記事の面白いのは、何と言っても、「えっ!浅漬けって発酵食品じゃない、っていうのが定説だったの!?」という点です。人によって違うでしょうが、私は「浅漬け」は当然のこ

《連続投稿541日目》どうなる、スーパーの食品加工部門?

 日経電子版の記事【スーパー、食品加工を中核店に集約 人手不足に対応】では、「(記事より)都市部への出店では従業員の採用が思うように進まないケースもある」など、スーパーの総菜・生鮮(青果・鮮魚・精肉)部門の調理・加工を今後どのように担っていくかという課題が論じられています。  はじめに、記事などからスーパーの食品加工部門が置かれている状況を整理してみると―― ▶スーパーの食品加工部門を取り巻く状況     ~崩れる需給バランス~① バックヤードの広い狭い、繁閑の差など、店

《連続投稿540日目》テレワークかオフィスワークか?~希薄になるコミュニケーションのエコシステムが鍵~

 コロナ危機が進行する数カ月を経て、日経新聞だけでも、【在宅勤務 評価割れる 伊藤忠は原則出社に、日立は継続】や【在宅勤務、つぶやきで和み・ため息に反応 現場の知恵 withコロナ 企業の現場】をはじめとして、テレワークの功罪を問う、在宅勤務の効果を検証しようという動きが顕著になってきています。  そこで、まず、記事などからテレワークのメリット・デメリットを割り出してみると―― ▶テレワークの功罪(1)メリット   ① 多様な人材が活用できるようになる。   ② 個人

《連続投稿539日目》需要の拡大する時~富士電機の電気式ドア駆動システムに見る~

 日経電子版の記事【鉄道向けで実績のドア、「イーパレット」に 富士電機】では、富士電機の「鉄道車両向け電気式ドア駆動システム」が、トヨタの20人乗りでバリアフリーに配慮した自動運転EV「イーパレット」に採用された旨リポートされています。  メーカーにとって、自社製品の需要拡大が大きな意味を持っている事は言うまでもありません。  そもそも、需要の拡大にはどのようなケースがあるでしょうか―― ▶自社のプロダクトの需要が拡大するケース① そのプロダクトの本来の対象となる顧客が

《連続投稿538日目》『自給自足型経営』を支えるものとそのメリット

 日経電子版の記事【中国、洗車機にAI活用 無人化で9割の店舗が黒字】では、AIを活用した無人洗車で知られる「1KMXC(駅公里智能)」の「(記事より)開発、生産、組み立て、運用、メンテナンスというライフサイクル全体に及ぶ完全に自給自足のスマート管理」がリポートされています。  この卓越したケーススタディーを、より一般化して、特定の設備でサービスを提供する企業、と捉えるなら―― ▶『旧来型経営』の例 =サプライチェーンの川上にある設備メーカーから設備を購入(設置も)  +

《連続投稿537日目》ウォルマートvs.アマゾン~ネット通販という名のショッピングセンター~

 日経電子版の記事【米ウォルマート、ショッピファイとネット通販で提携】では、ウォルマートが、ネット通販のノウハウのない企業にウェブサイト作成・在庫管理・決済・配送の独自システムをサブスクで提供して急成長し、「アマゾン・キラー」とも呼ばれるカナダのショッピファイと提携し、ショッピファイの利用企業が、ウォルマートのネット通販のマーケットプレイス(ウォルマートが第三者の商品をネットで販売する場)に出店できるようにする施策がリポートされています。  この記事は、ネット通販とは何なの

《連続投稿536日目》ESGは長期的に利益を生み、そのESGは会社と個人によって変わる

 日経電子版の記事【コロナ禍と社会分断の今こそ注目、ESG投資って何? 教えて山本さん!BizTechの基礎講座】は、昨今盛んに取り沙汰されるESGというものを改めて考えさせてくれる骨太のリポートだと思います。  さっそく記事から、様々なESGの事例を拾ってみると―― ▶様々なESGの事例① 新型コロナ感染者との濃厚接触の可能性を検出する技術。 ② SNSにおける誤情報の可能性を示すラベル付け、暴力を賛美している  ようなケースの非表示化。 ③ カーボンネガティブ(二

《連続投稿534日目》ウィズコロナ・アフターコロナの消費を読み解く

 日経電子版の記事【消費、郊外でワンストップ イオン社長に聞く新常態 コロナ危機・産業断面図】は、ウィズコロナ・アフターコロナの消費を読み解くヒントが溢れていると思います。  ウイズコロナ・アフターコロナで消費シーンはどのように変わるのか、この記事では、小売りの現場から見えてくるその姿が、オーソドックスかつ堅実に予測されている、との印象を受けます。  さっそく、記事などからそれらを整理してみると―― ▶ウイズコロナ・アフターコロナの消費シーン(1)消費は郊外に移る。

《連続投稿533日目》潜在的なニーズが顕在化する時~時間の優先順位~

 日経電子版の記事【「おうちごはん」 高級家電でこだわりの味】では、コロナ危機の外出自粛ムードが漂い巣ごもり消費が広がりを見せる中で好調な、家庭でも簡単にこだわりの一品が作れる高級調理家電がリポートされています。  この記事を一読してつくづく思うのは、コロナ危機のようなイベントリスクが起きようとも、一日24時間が変わらず流れ続け、また同時に、一日は24時間しかない、という現実です。  外部環境の激変によって行動変容等が起き、需要が減少する分野が出てきても、厳然として24時

《連続投稿532日目》老舗が模索する持続可能な経営~サスティナブルな経営の3ステップとは?~

 日経電子版の記事【老舗しょうゆのかめびし、伝統製法の体験ツアー】では、コロナ危機によって需要を初めとした様々な経営環境が不確実性を増す中で、「(記事より)規模にとらわれない持続可能な経営体制」を模索する老舗醬油メーカーが紹介されています。  さっそく、その施策(検討中含む)を記事から整理してみると―― ▶サスティナブルな経営(1)『体験ツアー』(全国的にも珍しい伝統の製法)でこだわりのある   消費者の需要を掘り起こす。 (2)(ツアー体験者に)ある種の『サブスク』の

《連続投稿531日目》アフターコロナにも通用するオンライン試食会のポテンシャル

 日経電子版の記事【シャトレーゼがリモート試食会 コロナで集合難しく】では、コロナ危機によって会場に人を集める従来のやり方での試食会(=消費者の生の声を聞ける貴重な顧客接点)が難しい中で、ブロガーなどに宛てて事前に商品を送り、後日ウェブ会議によって試食会を開催する、という興味深い施策が紹介されています。  この記事のタイトルを見た時、最初に感じたのは、「一体どうやってリモートで試食するんだ?」というものでしたが、何のことはない、試食する商品は事前に送るのでした。  記事に

ウェブ面接の意外な効用~見えてきた『ネットとリアルの融合』の有意性~

 日経電子版の記事【ウェブ面接、企業の秘訣は? 質問工夫し採用基準明確に】では、相手の全身の所作等が見えず、言語以外の得られる情報が少ないなど、その制約の多さからあくまで緊急避難的に行われていると思われがちなウェブ面接に意外な効用があるコトがリポートされています。  さっそく、記事から、そんな効用を見い出している企業の面接法を整理してみると―― ▶ウェブ面接の活用法① 自己PRは聞かない。 ② 採用基準を明確化し、そこを重点的に聞く。 ③ 例えば、応募者の日頃、あるい

消費者の身近になり、企業にとっては外せなくなるAI

 日経電子版の記事【シャープがAI洗濯機 洗い心地評価でより賢く】では、洗濯後に⇨専用アプリで仕上がり具合を評価すると⇨AIが学習して⇨使えば使うほど利用者の好みに合った洗い上がりを実現するようになる洗濯機がリポートされています。  このごく短い記事は、AIが、いよいよ私達の生活の身近に寄り添うようになって、①簡単に評価を伝えるだけで、②複雑な操作なしに、③自動でユーザーの好みに合わせてプロダクトをカスタマイズしてくれるようになってきた事を教えてくれています。  このよう

需要の開拓~ロングセラーが教えてくれる3つの要素~

 日経電子版の記事【なとり、42本入り大容量ドライソーセージ 在宅需要狙う】では、「なとり」がロングセラー商品の大容量版「ペンシルカルパス お徳用42本入り」を7月6日に発売することがリポートされています。  食品メーカーをはじめ企業にとっては、自らのプロダクトの需要をどうやって開拓していくのか、どのように商品開発すれば良いのか、どのように新たな用途をプロモーションすれば良いのか等は、きわめて重要な課題です。その意味で、記事の事例のように『ロングセラー』を続ける商品というの