アジア料理を通した香りの発見 | シェフレピ編集後記 | 2021/09
はじめに
こんにちは、シェフレピを運営しているefoo株式会社の山本です。
シェフの動画が学べる"スタディ型"ミールキット「シェフレピ」ではできる限り家庭での再現性が高くなるように意識しながら情報を整理し、お届けしています。
シェフレピでの学びの整理として編集後記という形で発信していこうと思いこのnoteを書いています。
シェフレピの撮影やレシピ起こし、試食やシェフとのやりとりを通して感じたちょっとした学びについてまとめていきます。
シェフレピを利用されていない人でも楽しい内容になるように書いていますので是非読んでいただけますと幸いです。
インドとネパールの対照的な香りの使い方
エリックサウス 稲田俊輔シェフの
「ハイデラバーディチキンカッチビリヤニ」
h.b.シェフの「カジャ」
この二つの対照的な香りの使い方が本当に面白かったなと思います。
h.b.シェフに以前、話していた時に「ネパール料理って素朴なんですよね」とおっしゃっていてその意味がようやくわかった気がします。
見た目とは相反するかもしれませんが、
「ビリヤニ」は華やかで複合的な香り。
一方で「カジャ」は素朴でシンプルな香り。
という印象を受けました。
ビリヤニは一つの料理を構成する要素が本当に多くて、なんやったら調理中にもどんどん香りが変わっていくのが魅力的。
シンプルな見た目ながら食べてみると面白いくらいに色々な香り、食感、味が五月雨式に突き刺さってきます。
チキンマリネ、香草、複数のホールスパイスの香りを纏ったバスマティライス、フライドオニオン、サフランミルクなど複数の層が重なることによる重層的な味わいをぜひ体験しいてほしいですね。
カジャは、ひとつひとつの料理の構成は非常にシンプルで素朴な味わいをしています。食べてて安心する味と言いますか...けどひとつひとつの料理のパンチ力もしっかりある。そんな料理たちです。
作った方は気づいたかもしれませんが、ラム肉以外ビーガン料理になっているのがまた驚きで、旨味の要素が少なくても味の下支えをしてくれるスパイスの凄さを感じさせてくれました。
発酵から生まれる新たな香りと楽しさ
今回、発酵を学べるミールキット「Ăn Đi風トムヤムクム」をĂn Đi 内藤シェフから提供していただきました。
タイの珍しい食材や調味料を学べるのも楽しかったのですが、中でもとても作っていて楽しかったのは(完全に個人の感想です)発酵のテクニックです。
僕自身も内藤シェフのレシピ撮影に同行してみて、何回か自分で作ってみて、発酵について調べてみたりしたのですがまぁ面白いですね。
調べてみて「食品の保存方法のうち最も古くて簡単な方法が発酵である[1]」
と書かれていたときはびっくりしました。
発酵の何が楽しいって、なんか「育ててる感」があるんですよね。
僕は、ビカクシダと鷹の爪を育てているのですが、しっかりお世話をして成長していくことがすごく楽しいと普段から感じているのですが、それと同じ感覚があって、「自分のお世話によって香りがどんどん変わっていく」さらに"食べられる"という嬉しさがあって完全にハマってしまいました。
調べていると、今回はキャベツの発酵、レモンの発酵について内藤シェフが教えてくださっているのですが、他にも、バナナ・根野菜、ニンジン、オリーブ、未熟なマンゴーなど面白そうな食材の例[1]もあって(作り方はそれぞれの食材に対して異なるよう)また挑戦してみたいなと思っています。
辛味の中に複合的な香りを忍ばせることでの奥行き
味坊の梁宝璋シェフからは、「粉蒸羊肉(フェンジャンヤンロウ)」という料理のレシピを提供いただきました。
これは本当になんかまた食べたくなるというかある種の中毒性がある料理です。※注文される際はご注意ください
実際にお店でもおいている料理ということなので、ぜひお店にも行ってみてくださいね!
4月からシェフレピが始まって今までのレシピの中で一番レシピを初めて見てどうやってこれ作るんやろ?という印象を受けた料理でもありますねw
さて、本題なのですが、この料理は食べてみるとすごくわかりやすいストレートに「辛い!旨い!」みたいな感想が出る料理なのですが、作る時に八角、ローリエ、ウーシャンフェン、花椒、ニンニク、紹興酒など香りの要素となる食材がたくさん隠れています。
前へは出てこないけど、料理の下支えをする香りの重要性が学べる料理でした。
そして、米粉を手作りするのですが、米を炒めてミキサーにかけるときに一緒にスパイスも回したり、僕の中の常識の範囲外の料理でもありました。
この複合的な香りが「また食べたい!」と思わせる要因になっているのかもしれないなとそう感じます。
(絶対また作って食べる。もしくは食べにいく)
最後に
今回の「アジア料理特集」個人的にどの料理も楽しくて美味しい料理でした。
スパイスって本当に奥が深いし、まだまだ知らないことっていっぱいある、そう感じさせてくれる料理でした。
レシピを考えてくださったシェフの方々には本当に感謝です。
やっぱりこういった文化や知識というのはしっかり保存したり、受け継いでいくべき情報だと思うので、シェフレピがいつかは食のデータベースとして「現代版ル・ギッド・キュリネール」として機能する未来を実現したいと強く思う今日この頃です。
その知識を伝承してくれるシェフの方々へのしっかりとした還元システムもいち早く構築したいものですね。
料理初心者の人に一番おすすめしたい料理でいうと難易度的にも「ビリヤニ」ですね。
注文できる日もあと数日ですので、ぜひ挑戦してみてくださいね。
(宣伝すみません)
おわり
参考文献
[1] マギーキッチンサイエンス 食材から食卓まで 、Harold McGee、共立出版、p282-283
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