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「楽しい仕事はあるのか?」→ないけど楽しみ方は2つある

この質問を聞いて「ある」と思うか、「ない」と思うか人それぞれですが、私が大学二年生に講義の中で聞いたときの答えをまず載せます。

ある 76%
ない 24%

もちろん、純粋にただ楽しい仕事があるとは皆、思っているわけではないです。この質問をしたときにも、自分が好きだと思えることや趣味を仕事にしている人などにとっては、「楽しさを感じることができる」と書いている人が多かったです。

私がこの答えを言う時には、
「楽しい仕事などない」
と答えます。

 本文に入る前に簡単に自己紹介をします。私は、塾を起業して10年になり、理系の大学でもキャリアデザインの講師を行って7年目になります。その前は、放送機器メーカーやIT企業にて足掛け10年、エンジニアとして働いていました。

 もちろん、どの仕事もただ苦痛で困難しかなく、楽しさを感じることがまるでない、ということを言いたいわけではありません。

 まず、受け身の状態で楽しめる仕事はないということがお伝えしたいことです。

「楽しい映画」「楽しいアニメ」「楽しいゲーム」はあります。
 それは作り手が見ている人を楽しませようと思ってくれているからです。
 誰かが仕事をするときに、お客さんが、店員を楽しませようとかあったらそれはそれでちょっと怖いですね。どっちが客なんだかわかりません。上司や先輩が新入社員にとって働きやすいようにはしてくれるかもしれませんが、楽しませようとは決してしないはずです。
 そういう意味で、「楽しい仕事」はないとお伝えします。

 私が伝えたいことは、どうやって仕事を楽しむのか、これがここでお伝えしたいことです。
 嫌な仕事をイヤイヤやっていい成果など当然でません。そういう状況であるのならば、自分にとっても、世の中にとっても無駄だと考えます。
 情熱を持てない仕事などやっているヒマはありません。一生なんて、たった100年程度です。仕事が一切選べない国や社会にいるのならば仕方がありません。ただ、現在、多くの先進国に住む人たちは仕事を選ぶことができるようになってきています。
 仕事を楽しむには次の二つの方法があります。

・好きなものと関わる仕事を選ぶ
・仕事を好きになる

好きなものと関わる仕事を選ぶ

 これができればシンプルでいいです。
 一般的に選ばれる方法のようでいて実はあまり選ばれていない方法です。

 例えば、ゲームが好きだからゲーム会社に就職することや、料理が好きだから食に関わる仕事を選ぶといったような形です。
 他にも車が好きだから整備士になることや、自動車メーカーに就職するといった方法です。

 ただ、案外この方法で進むことは難しかったり、趣味は趣味でとっておきたいという人もいたりして、この方法を使えない人が多いのは事実です。
 その理由は、企業を選ぶときにその分野の有名企業を選ぼうとする人が多いからです。有名企業であればあるほど、みなその仕事を選ぼうとします。理由は安定していることや、企業に偏差値はありませんが、学校を選ぶときと同じような感覚で選んでしまう人が多いからです。外から中身はなかなかわかりませんので、少しでも規模や給料が大きい方がいいのではないか、という選び方ですね。
 そのため、有名企業になると、出身大学も国公立や難関大学からも集まりやすくなります。また、企業もはじめからそれを意識して、大学によって説明会を開示する時期をずらしたりして、難関校からの学生を集めているところもあるようです。
 大企業や有名企業で求められる人材は、優秀な人を集めているのではありません。会社の方向性にそって、ストレス耐性が強く、きちんと歯車になることができる人を求めています。
 もちろん、一概言えるものではありませんが、規模が大きくなると、今度はその規模を保つためにミスや失敗がないことが求められます。失敗をしてもいいからリスクをとれ、ということは社長が言っていても、本当にそれをやると痛い目になる可能性もあります。

 好きを仕事にといいますが、好きなことだけで仕事になることはあり得ません。大変だなと思うことも多いものです。
 ただ、その分野にさえ関わることができれば自分は幸せだというモノがある場合はそれで問題ありません。車好きが、車の何かにさえ関わることができればそれでいい、というような場合ですね。アクセサリーが好きな人がその分野の販売に関わったりするというようなこともあるでしょう。アクセサリー作りは好きだけど、販売は嫌いだというような場合もありますが、組織が小さいと両方行う必要があることもあります。

仕事を好きになる

 実はこちらのパターンで働いている人が多いかもしれません。そもそも、自分はこの分野だけが好きで、子どものころからその仕事しか考えていなかった、というような人の方が少ないです。

 多くの場合は、〇〇の分野にはもともと興味はあった、ということや、複数の分野に興味を持っていたりします。
 そのため、接客に向いているとか、教えることに向いている、というようなある程度の方向性は重なっていても、本当にこの仕事が自分の使命だ、という仕事を行うことはほぼないでしょう。
 そうすると、もともとはその分野に特に興味もなかったのに、就職することでその仕事が面白くなってきたり、興味を持つようになることがあります。実はこの考え方ができる人が強いのです。

 新卒で就職した場合は、ほとんどの場合、自分の希望している仕事に就くことはできません。なぜなら、仕事は、あなたのために仕事をつくるのではなく、ある企業の仕事を行うためにあなたを雇ったからです。

 このあたりの勘違いを直さないと、就職してから困ります。
 自分のやりたい仕事をやらしてくれ、なんていうことは、よほどの1000人にひとりの天才ならそういうこともできるかもしれませんが普通はありません。
 そもそも、本人がやりたいと思っている仕事が本当にその人に向いているかだってわからないわけです。自分が大学でその分野を研究してきたから、その分野に就職したいというのはほとんどの場合は通りません。
 ただ、その分野を本当に求めていた場合や、非常にニッチ(市場が小さい)の分野の場合は、その分野に就職することができることもあります。
 そのため、自分はこれがやりたいから、という気持ちはわかりますが、それよりも、目の前の仕事を好きになることができる能力の方が重要です。
 これは柔軟性ということができます。
 どんな分野でもそうですが、頑固な人は苦労します。天才なら別ですが。普通はありません。その時その時の環境に合わせて姿を変えることができる人が強い人です。

 二つのタイプを書きました。多くの場合は後者、「仕事を好きになる」方が手っ取り早いでしょう。ところが世の中にはそれができない人がごくまれにいます。
 そういう人は前者の「好きなものと関わる仕事を選ぶ」しかできないのです。
 その場合は、非常に苦労をする可能性はありますが、その仕事に突き進むしかありません。
 「好きなもの」でないと興味を持てない人が一定数いるのです。
 自分がどちらのタイプなのかを考えてみてください。

 案外この問は難しいようですが、本当は、どちらの傾向なのか、小さい時からもっているはずです。それをむりやり自分を押し殺して働こうとしたりすると、ストレスで体を壊したりします。
 これは他人にはわからないのです。その人によって働き方や仕事に対する考え方が異なるからです。
 自分が好きなことで働くといったら、仕事を好きになれるような人からしたら、ただのワガママだと言われたりもします。

 合わない働き方かどうかは、本当は自分がわかるはずです。

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