九月四日・五日・六日@ブダペスト

九月四日

長い日本での夏休みが終わり、気づけばブダペストである。ドバイ経由で午後一時頃にブダペストに着く。いつもならずっと住んでいたところに帰るだけなのだが、今期からは引っ越しをしたので新しい部屋に行くことになる。

ミニバスという乗合タクシーに乗って新居へ向かう。これまで住んでいたペスト側の家の時は近かったので一番最初に降ろされたが、今回は一番最後までなのでとても時間がかかった。

新居に着くと世話人の人が出迎えてくれる。移民局に出さなければいけない書類を諸々準備しないといけないことに飛行機の中で気づいたが、新居に着くと全て揃った状態で手配されていた。お土産のクッキーを渡して、早速スーツケースを開けて荷物を部屋に設置する。まだ残りの荷物は大学の研究室に置いてある。

寝るつもりがなかったが眠すぎてうっかり仮眠してしまう。夜の九時ごろ大学に向かうと、部屋に後輩がいて論文を読んでいた。時差ぼけで頭が痛いのに、さらに頭が痛くなるシチュエーションである。必要な荷物を整理して、新居に持って帰る。

最寄駅からはライトアップされた国会議事堂をはじめとして、ブダペストのとっておきの景色が見える。

九月五日

時差ぼけもあまりないが、少し早く起きる。同居人とはまだ会っていない。今日は移民局に住所変更の手続きをしに行かなければならない。

朝八時につき、八時半からだと思っていたのに移民局に行くとすでに長蛇の列である。どうやら業務時間が変更になったようで、今日は八時からだった。ついでに言うと移民局の中でも外国人の事務手続きの部門は場所が変わって隔離されていた。番号をもらうところまでは以前と比べて非常にスムーズだったが、ここから長い待ち時間が始まる。

だいたい私が今まで移民局に来て待たされるのは平均して二時間ぐらいだろうか。今日はなんと四時間待った。パソコンを持ってきていたがまだ頭がはっきりとしないし、外国人(自分も含め)が箱詰めにされた場所で開く気にもなれなかった。あらかじめダウンロードしておいたポッドキャストの聴けてなかった分を聞く。

やっと番号が呼ばれるとそこからはスムーズに事が進むが一点、持ってきた用紙(普通の紙)があまり良くないので内容を全部こちらのハードコピー版の正式な紙に書き移せと言われる。愛想の良くない人だったが、最後にハンガリー語でありがとうございますと言うと少しニコッとしてくれた。

今日は午後に他大学の授業のためのミーティングがあったがこの移民局のせいで間に合わないのでパスさせてもらう。ニュガティー駅のデカトロンで新しいバックパックを買う(日本にケシュアのバックパックを持って帰ったら父が気に入っていたのであげた)。久しぶりにオクトゴンのFunky Phoというベトナムフォーのお店でフォーを食べる。

大学に向かうと昨日こっそりキッチンに置いておいたお土産のキットカット(栗とさつまいもの二種類)と扇子(弟が仕事で大量にもらったがいらないと言ってくれた)が全てなくなっている。いつも日本のお菓子を何を持っていっても評判が良いようだ。キットカットはSNSのハンガリー人の知り合いが教えてくれたアイデア。

なんとか身体を本調子に戻そうとするが、結局パソコンの前でだらだらネットサーフィン。ピアノを久しぶりに弾いてみる。

九月六日

今日もまた早く起きる。家事を済ませて大学に行く前に、家のすぐ近くのパン屋さんで世話人の人がとても美味しいと教えてくれたところに行く。朝から並んでいたが、並んでシナモンロール(ハンガリーではCsigaというかたつむりロールがある、Csigaはかたつむりの意味)。

公聴会は十時から。今日の先輩は六年目での提出となった。正直この大学院に来た時に、なぜほとんどの先輩が五、六年かかって卒業できるのか疑問に思っていたが、こうやって先輩たちが卒業していく姿をみると年数ではないし、こだわり抜いた研究はとても素敵だなと思う。

日本の学部生だった時、博士課程の先輩の知り合いもいたがほとんどの人が三年で卒業していた。時に三年以上かかりそうな人に、無知な私は三年目以降ってどうするんですかというような質問をしてしまったことを不意に思い出した。一度口にしたことは撤回できないしもうその人に会うこともないのだろうが、とても恥ずかしい気持ちになった。

午後、月曜日からの学会用のポスターの再調整をするもやる気出ず。SNSの使用頻度はましになったと思うが、それでもネットを見続けてしまう(研究の作業がほぼパソコンのため開かざるを得ないのが原因でもあるが)。なぜか一生懸命やる気になれない。