一月三十一日@ブダペスト

昨日の授業の発表をかなりギリギリまで準備しなかったため、昨日寝不足だったが今日も朝から先生とのミーティングなので、早めに起きて、今データを集めている実験のプロットなどを描く。朝ごはんはコーヒーとチョコレート。

大学に行って実験室に行き、先生とスカイプミーティング。スキルレベルが高い人だけ分析すると綺麗なデータで先生と喜んだ。実験を始めるまでは、ピアノのパフォーマンスのデータを分析するなんてどんなに大変で、しかも人によって様々で何の傾向も現れないんじゃと思ったが、とりあえずデータをみた感じだと、いくつかの変数にパターンが見られたようだ。とはいえまだ数が少ないので、このまま音大生のサンプルを集め続ける。

新しい実験のために作った実験材料を先生と見て確認する。一応方向性が見えてきそうなので、来週までに誰かに頼んでデータ集めてきたら?という。正直プログラム書くだけでも来週までで終わるかわからないのに無理かもと思ったが、とりあえずそのつもりで予定する。無理だったら無理でしたといえばいいだけだ。

午後は論文の輪読会。ほぼアブストラクトしか読まずに行く。直前までのSNSのやりすぎと、まあ興味がなかったし発表じゃなかったのでという気持ちのせい。良くない。

そのあとはピアノの練習を小一時間ほどして、明日のレッスンに備えるが、まあいきなり弾けるわけがない。今はドビュッシーのベルガマスク組曲の最後に残った曲、第三番をやっているが、先生は簡単だ簡単だと言っていたが、そんなに簡単ではない。

部屋に帰るとさっきまでいたラボメイトはもう帰ってしまっていたので一人。一人だと余計にSNSをしてしまい、最近立ち上げた音楽グループ関係のメールを返したり、論文をざっと見つつも、ほとんどSNSに入り浸る。

フォロワーさんが、SNSの中毒性とか、特にADHDの人は過集中などで一旦始めるとやめられないようなことを言ってる方がいて、そうだなとウンウンうなづくが、頭でわかっていてもやめられないのが中毒である。この問題が根深くて研究に差し支えあるので、二月の月曜日に心理カウンセラーを予約した。

大学のウィーン移転に関して、委員会などが複数立ち上がって色々情報が飛び交い、本当に精神的に辛くなってきた。私はこんなことをしたくないが、他の博士学生だってこんなことしたくないのもわかる。しかし権利を主張しなければ、ちゃんとした待遇を受けられるのかわからないので、ちゃんと自分の未来は自分で考えなければならない。これは大学側が非協力的だというわけではなく、学生が直面するだろう問題は結局学生が一番わかっているのである。言わなければ悪意なくそれに気づかない。

何でも声を上げなければ無視されるんだなぁということは、日本にいるときはあんまり考えなかった。何となく周りが配慮してくれるようなイメージもあったし、まぁどうせ世界は変えられないし現状もそんなに悪くないじゃん…という考えがこびりついていたように思う。

昨日の夜は、家の近くで唯一お気に位入りの蒼い馬(意味的には青いだが、何となく蒼い感じ)というパブが今月で閉まるということを突然知り、先輩とそこに行くことにして待ち合わせしたが、いざ行ってみると人が多すぎて会うことはできなかった。いっぱいだけビールを何とかオーダーし、こっそりと飲んで店内を見る。こんなに愛されてるパブ、あんまり見たことないんだけど、何かしらの理由で閉まってしまうなんて悲しすぎる。もし存続のために誰かの助けで何とかなることだったら、彼らは声を上げていたのだろうか。(全く事情を知らないので、実際何かしていたのかも知らないが)

今日はポスドクの先輩を私の家に招くか適当にご飯を食べに行く予定。いよいよ本格的に自分の研究が始まっているのに、本当に中毒的なネット生活をやめたい。が、しかしこのSNSの会話を通して、何かクリエイティブな営みがある気がして(それは誰かから情報をもらえるとか、誰かと会話して楽しいとかいうことではなく、私自身がオンタイムで流れながら発言し続けること)、絶え間なくある種自分との対話を続けている気がして、しかしこれも言い訳なのかもしれなくて何となく辛い。とりあえず週末はブダペスト外で過ごすことにした。