十二月三十日・三十一日・一月一日@ブダペスト

十二月三十日

久しぶりに朝はジムに行ってスピニングのクラスに参加する。三ヶ月ぶりぐらいなのでまた筋肉痛になりそうだなぁと思いながら程々にする。普段汗をかかないので、汗の出が悪い。

今日は後輩から誘われて外に出かけることにする。行き先はどこがいいかと聞かれたので、今まで行ったことないEsztergom(エステルゴム)かVisegrád(ヴィシェグラッド)が良いという。街歩きというよりは、ハイキングに行きたいということで、Esztergom近くにあるPrédikálószék(プレディカロセーク、多分)という山の頂上まで行くことにする。Prédikálószékは山の名前なのか場所の名前なのかはわからない。

朝十時に後輩の家まで行く。今日は車を出してもらえるので、彼女と犬と合流し、Esztergomの方へ。最初にトラブって車がなかなか市内から出れなくなるが、なんとか対処し一時間半ぐらいで山の麓までつく。

あとはひたすら歩き続けるだけ。他愛のない話を続け、一時間半ほどで一番上までたどり着く。

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頂上まで行くとドナウ川が曲がりうねっている部分が見えて良い。

下山しながら、将来のことについて話したりする。後輩だけど、少し年上で働いていた経験も私よりある人なので、色々お姉さん目線で聞いてくれて少し心が軽くなった。

そのあとついでにEsztergomに行ってちょびっと観光する。暗くなっていたので、また日を改めて訪れてみたい。

十二月三十一日

大晦日だが、日本の大晦日と違ってブダペストはパーティーモード。特にやることもないなと思いつつ、流石に一日中家にいるのは身体に悪いと思って外に出る。ジムが今日お昼まであったので、スピニングのクラスに行くと、いつも五人ぐらいなのに今日は三十人ぐらいいてすごく蒸し暑かった。

帰り際、近くのコーヒーショップでカフェラテを買って歩きながら帰る。なんだか無性にランゴシュが食べたくなって、市場のランゴシュランドといういかにもな名前のランゴシュ屋さんに行くが残念ながら年末で閉まっていた。家に帰ってソーメンチャンプルーみたいなものを作って食べる。

夕方、ふと思い立ってカフェに行って夏目漱石の『こころ』を読む。今まで読む機会が何回もあって全然ハマらなくて読み切ったことはないのだが、今はやけに面白くて読み進めている。

一年生の時にストレスでやたら食べまくっていたナポリピザ屋さんが近くにあるのだが(一年生の時は大学の近くだったので、帰りによく買っていた)、最近健康的になってから久しく行っていなかったので、年末だしたまには良いかということで久しぶりにクアトロフォルマッジをお持ち帰りして家で食べる。いくら徒歩十分とはいえ寒い中持ち帰ると冷めるし、その場で食べた方が絶対美味しいなぁと思いつつ、一人で食べるのは恥ずかしくて結局持ち帰りにしてしまう。

適当にだらだらSNSとか通話をしながら年越しをする。だんだん年末が何も特別ではなく、普通の一日として過ぎるようになってきた。

一月一日

今日まで大学が休みで閉まっているので、思いっきり休んで何もやらないと決める。なんだかんだ何かしなければと思って三週間ほど何も読んでないし書いてもない。私は本当にこの道でやっていける気がしないが、やめて何をしたら良いのかもわからない。

一日中部屋で過ごすかと思っていたが、思ったより外が明るかったので太陽を浴びようと思ってお昼ご飯を食べたあと外に出かけることにする。適当に歩いていると、Széll Kálmán tér(セール・カルマン広場)まで出て、ふと目の前のバスの行き先を見ると『Normafa』と書いてあって、この前一緒にハイキングに行った後輩やポスドクの先輩に、とてもきれいなところだから行った方が良いよと勧められていたのを思い出し、全く予定してなかったがいきなり一人ハイキングに出かけることにする。

大体バスで三十分弱ぐらいで着く。ハイキングの場所だけど、そこまで自然という感じではなくてちゃんと山道が舗装されているので、地図などなくても迷わない。しかし、ブダペストと比べると遥かに自然が多く開放的だ。適当に歩いていると、前住んでいたアパートのお隣さんに会う。お別れの時にあげた日本のウィスキーがとても美味しかったと教えてくれる。

三十分ぐらい歩いて、見渡しのよいところまで行く。色々コースもあったが、大体一時間ぐらい歩き回ったので、適当なところでやめておく。何か考えていたような、何も考えていなかったような、そんな時間。

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自分が何が嫌で研究ができないのか、本当にわからなくなってきたが、とにかく昔みたいに単純に「頑張るぞ」という気持ちが全くなくなってしまった。受験勉強も嫌だったが、勉強自体やると決めたら一直線にテキストを解き続けていたのに、今はSNSをみたりネットサーフィンをして、全然集中できない。いっそパソコンから全く離れてしまえば良いのだろうか。

この前の課題のエッセイですごく納得のできないものを出してしまって、後悔しているし、自分の論文ではこうならないようにしたいと思っているのだが(つまり過去の失敗をバネにして頑張りたい)、そんなことは一日二日経ったら忘れてしまって、今はまたどうでも良い気持ちになっている。

一番近いポスドクの先輩は、多分研究以外の道を考えたことがなくて、プライベートもほとんど研究に費やしていて、研究することに疑問を持っていなくて、常に(非常に辛い時があっても)楽しいと思って実験したり解析したりしていて、なんでそんなに真っ直ぐなんだろうと思う。私ももっとこの仕事が向いていれば、疑問を持たずに頑張ることが出来たのであろうか。

かと言って今すぐやめて前みたいに雑貨屋になりたいと思うわけでもなく(雑貨屋的なことは何かしらの形でやってみたいが)、人生で何をしたら良いのかよくわからない。博士号が欲しいわけでもなく、ただ自分への挑戦として博士課程をして(結果的に博士号が手に入ればよい)、次はまた考えようと思っていたが、そろそろ具体的に何をしたいのか決めなければならない時期である。