九月六日@ウィーン

こちらについてから疲れていたので二、三日は住まいのことを考えなかったが、しかし九月に入ると学生も帰ってきてどんどん部屋が取られるのでボーッとしてられないと思い、毎日部屋の募集広告が出ているfacebookページとそれ用のサイトに張りついてどんな物件があるか暇があれば見る。

次の火曜日に先生とミーティングなので、本当に本当に最低限の分析だけは済ませておいたが、それ以外の時間はまともに働くこともできず、ひたすら募集を見てはどんな家賃か、どこにあるのか、どんな部屋か、その他必要条件などを確認する。その中でもとりあえず値段と場所、どちらも広めの設定で良さそうだと思ったところに連絡をするが、ほとんどの人から返ってこない(よくあるので多めに送る)。すぐ返ってきたのは一人だけで、その人のところには今日の一時に見に行く。

一時の人のところに向かっている間に複数人から連絡が返ってきたので今日か明日に見に行く予約を取る。日本で物件を探しているときにはあまり焦ったことはなかったが、ヨーロッパだとシェアハウスのためか競争率が高く、うっかりしていたらもう他の人に取られるのがザラである。イギリスにいた時、学期開始直前に全然部屋が見つからなくて苦労したので、以降はなるべく早めに探すことを心がけていたが、今回は突然前の物件が無しになったのでまたイギリスの時のように急いで探す。

とはいえAirbnbで家を一ヶ月確保しているのだからゆっくりすればいいのだが、やはりいいものから売れていくのと、いつどんな募集が出るのかわからないので(職探しと一緒である)、いくらあと三週間以上猶予があるとはいえうっかりしていられない。SNSと一緒かもしれないが、この常に新しい情報を追い続けるのは快楽でもあるが同時に苦痛である。特に部屋探しの場合はいろんな条件を頭で考えながら見るのでむしろかなり負担が多い。翻訳機を使うがドイツ語しかなくて読めないものが多いのも不安かもしれない。

本来ならば600ユーロで小さい家具付きの一人用のアパートを借りる予定だったがそんな物件(特に家具付き)なぞ滅多に見ないので、この際単身暮らしは諦める。その代わりシェアだと安くなるので、前のところは大学から果てしなく遠かったがもう少し近いところにターゲットを絞る。

一時になったらすぐ大家さんが出迎えてくれる。ソフトウェアエンジニアらしい。わたしと一緒でコンピュータに張り付いてるから妙に連絡が早いんだなと納得する。後ほど調べるとそこそこ有名なフリーランスなのかウェブページがたくさん出てきた。また英独のバイリンガルであらゆる質問に的確に答えてくれる。もう一人の同居人はどこの人か聞かなかったが女の子。住むことになったら三人になるようだ。雑談などをして楽しむ。本当に二人はいい人だったが残念ながら部屋が好みではなかった(わたしはそこそこ内装を重視する)。しかしコミュニケーションに関しては今まであった大家の中で一番早くかつ適切だった。住居証明のせいでビザか何かで問題が出たらこの大家にしとけば良かったと後悔するだろう。とりあえず保留にして去る。

大学で次の人とビデオチャットの予定だったが大学が閉まってる。金曜に聞いたら開いてるって言ってたのに。よく見ると電気はついてたのでたまたまセキュリティーがいなかっただけかもしれない。急遽カフェに移動してモバイル回線で話す。十歳ちょっと年上の綺麗なお姉さんが出てくる。既に良さそうである。もうウィーンにいると知ると、今から見にきてもいいよというので見に行く。さっき行った物件の近くだから無駄足を踏んだがしょうがない。

簡潔に言うと結局ここに決めた。内装は今まで住んだところでダントツ良い(古いものと新しいもののバランス、清潔さ、植物 - ちなみに今のAirbnbはその次に良い)。大家さんが建築家であるのも納得である。また大学へのアクセスもいい(地下鉄で一本)。あまりに素敵なところなので移り住んだらまとめて記事にしようと思う。大家さんに関していうと若干不安要素があったが(さっきの人が良すぎたせいもあるかもしれない)、まあ悪い人という意味ではないので、とりあえず数ヶ月様子を見たい。同居人は大家さんとフランス人の女の子。

とりあえず住むところが見つかってよかったが(正式な返事は一応一睡して翌日した)、疲れが溜まって家に帰って放心状態になる。もうルーティンになっているがキッチンに行ってラジオをつけてクラシックかオペラを聴きながら、適当に何か作って食べる。今日は好きなだったん人の踊りが流れてきた。音楽の起源に関する二本の論文を読まなければならず少し頑張ったが結局一本目の半分で寝る。

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オーストリアで博士学生をやってます。専門は認知科学(認知心理学)。将来の夢は雑貨を売る科学者です。https://atsukotominaga.com/

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  • 13本

ブタペスト・ウィーン滞在中の暮らしについて書いています。2020年9月〜現在:博士課程4年生

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