九月二十九日・三十日・十月一日@ウィーン

九月二十九日

こっちにきてから一ヶ月ほどAirbnbのアパートに滞在していたが、ネット環境が悪すぎる(WiFiが悪いのはもちろん、モバイルのテザリングも使えない)のと、あまりにも寒いので本当は水曜日に引っ越す予定だったが、急遽今日引っ越すことにした。

荷物は少しずつ移動させていたのでそこまで多くなかったが、60Lのバックパックと紙袋を持ってトラムに乗る。大体このアパートから二十分ぐらいで着く。普段は大学にも歩いて行き公共交通機関を使わないので、何となく早く降りたい気持ちになる(もちろんコロナだから)。

荷物を置いて早速買い物に出かける。寝具を買わないといけないので、ウィーンの買い物街であるマリアヒルファー通りに行く。ベッドとマットレスはあるので、枕、布団、マットレスカバー、布団カバー、シーツを買いに行くが、種類が多すぎるのとなかなか高いのでどれにするか悩んでかなり苦労する。とりあえず最初に枕、布団、マットレスカバーを購入し、柄と色に迷った布団カバーとシーツは後ほど買いに行くことにする。

一旦これらを新居に運んだ後、中古の自転車を見に行く予定をしていたので、譲ってくれる人のところへ行く。めちゃくちゃ遠いわけではないが移動が多いので疲れる。自転車は買ってもいいぐらいのものだったが、生憎タイヤの空気が入っておらず、今すぐ乗って帰れる状態じゃなかったので保留にして結局買わないことにする。

寝具屋さんに戻って布団カバーとシーツを買う。カバーは特に迷ったが結局多少高くても柄が気にっているものにした。何でこんなに高いのか頭を悩ませたが、IKEAじゃないからかもしれない(とはいえもうIKEAの雰囲気には飽きた)。

帰るついでに家の下にあるオーガニック系のお店に寄って野菜とかくるみとかを買う。店のシステムを教えてもらう(いろいろ量り売りをしてくれる模様)。どう考えても私好みの店でこれから通うことになりそうだ。

再度荷物を置いて最後に大学にあるスーツケースを取りにいくかとても悩む。疲れ切っているが公共交通機関乗り放題の券が今日だけ有効なので最後の力を振り絞って取りに行く。疲れて夜ご飯を作る気力がないので、先週朝にカフェをした場所に行ってビールとカマンベールとライ麦パン(+クランベリーソース)のトーストを頼む。

すると一週間前に来た時には何も言われなかったのに、紙を渡されて名前と電話番号とEメールアドレスを書けと言われる。もちろんコロナ対策の一環で、何かあった時に(例えば従業員がコロナになるなど)芋づる式にその場にいた人に連絡できるようにするシステムのようだ。全く外食しないので知らなかったが、周りの人たちは何も気にせずに記入していたのでどうやら当たり前に浸透していることのようである。もう入ってしまったから記入したが、これでは一人であっても外食がしにくい。

九月三十日

今日も朝から自転車を見に行く。自転車はWillhabenというオーストリアの中で中古品の出店サイトがあって、そこで直接売ってくれる人を見つけて交渉するという場所である。その前に朝ごはんがてら気になっていた近くのカフェに行くと、やはり昨日と同じく名前を書けと言われる。どうやらテイクアウトしない限りはカフェとかバーとか関係なく名前を書かされるようだ。一人カフェならいいかなぁと考えていたりしたが、もう来ないと決める。

自転車を見に行くが写真より古くてこれでこの値段かという感じである。一応乗ってみるが、また必要だったら連絡しますと言ってその場を後にする。新品の自転車はびっくりするぐらい高いので買えないが、中古探しはなかなか骨の折れる作業である(中古屋さんもあるのでそこに行く手もあるが…個人から譲ってもらうよりはやはり高い)。

昼からラボミーティング。議題はラボでTwitterアカウントを作るかどうかについて。後輩が科学コミュニティーでのTwitterの使われ方、良いところ、悪いところなどわかりやすいまとめを作ってくれて、うちのラボでどうするかなどを検討する。私個人はTwitterを使いたくもないし使う気もないが(ちなみに10年ほど前に使っていた)、アウトリーチのことを考えるとラボで使うのは良いなぁと思いつつ(多少自分もやった方がいいのかなぁと思いつつ)、SNSのことについて色々考えたりする。

夕方はコロキアムのためまたズーム。今日のスピーカーの話はとても興味があったが連日疲れていたので(そのせいにする)、何だかあまり集中できずボーッとする。

十月一日

実際に引っ越したのは少し前だが、正式に引っ越したのは九月三十日なので、この日付で大家さんから署名をもらい、住民票を登録にしに行く。オーストリアでは住民として住み始めたり、転居したりすると三日以内に住民票を提出しなければならない。

三日というのがなかなか短い期間で、とはいえ実際誰もそこまで細かくチェックしてないので一ヶ月以内ぐらいにいけばいいものらしいが、私はビザの申請にこの住民票が受理されている必要があるので、指示通り三日以内に行こうとする。役所のHPをみるとコロナのため直接来る必要はなくて、役所のポストに必要書類のコピーを投函するかメールで添付して送ってもよいと書いてある。その通りに書類を添付してメールで送ったら、初めての登録は役所に来ないとダメだと言われる。何でそれを書いておいてくれないのか(読み飛ばしている可能性も高いが、ドイツ語なので)。

役所の予約をしようと思うと、どの区の役所の状態をみても早くて二週間後しか取れない。三日以内に登録しないといけないのに二週間後しか空いてないとはどうしたものか。もしかしたらそういうことも見据えて予め予約しておくべきだったのか?と考えるが、まさかそんなこと全員がするわけもないしおかしいと思い、念のためメールで「二週間後しか空いてないので予約なしで行ってもいいですか」と聞くと「予約がないとダメ(ダメの部分が大文字で強調)」と言ってくる。

多分三日以内じゃなくても怒られないのだろうし(じゃ何なんだこのルールはと思うが)、日本だったらここで大人しく二週間待つところだが、そういえば友達が予約なしで行って受理してもらえたと言っていたので、「わかりました」と返事して大学近くの役所にアポなしで訪問したら、何も聞かれず中に通されて、五分で提出が終わる。担当者によっていうことが違うことも多いらしく、ドイツ語圏だから事務手続きなどは効率的で合理的かと思っていたが何だかどうも怪しい(知り合いのドイツ人に聞くとそのイメージは間違っているらしいが)。

住民票の提出なんて結局後から見れば大したことないのだが、すっかり疲れてしまって早々家に帰ることにする。途中、ドイツ語の授業で使うテキストを買いに行く。相手がお釣りを間違って私は0円でその本を手に入れた気がするが、私もお釣りをチェックしなかったので自信がなく何も言えずに帰る(私の認識間違いでちゃんと払っていたと思いたい)。その足でついでにナッシュマルクト(ウィーンで有名な市場)に寄って、アジア食品、Sturm(ワインになる前の発酵ブドウジュース(アルコールが既に含まれている))などを手に入れ夜はカレーうどんを食べる。あとは最大の難関ビザ(滞在許可)の申請が残っている。