七月八日・九日・十日@ブダペスト

七月八日

ブダペスト大学の中国人の友達の、その彼氏の友達が企画しているハイキングに参加するため、朝早く起きてブダペスト西駅(Nyugati pályaudvar)に行く。八時ぐらいに駅に着き、サンドイッチを買っておく。水は1.5リットルを家から持参。駅で売っている500mlのペットボトルがスーパーの四倍ぐらいの値段がしていて驚いた。

着いてみると、ハンガリー人が八人ぐらいプラス友達と私。西駅からピリスチャバ(Piliscsaba)という町まで40分ほどかけて行き、降りてそこか北へまっすぐ、山(丘)を登って超えてスロバキアの国境近くの町ドログ(Dorog)まで行き、また電車で西駅まで戻ってくるというコース。

ハイキングは順調に進み、初めて会った人たちと喋ったり、中国人の友達と近況を報告しながら楽しく登る。企画者のハンガリー人の人が、十一月に日本に行くらしく、何かと質問をしてくれる。二時間ぐらい歩いて、途中でお昼ご飯を食べる。ドログ駅の近くにアイスクリーム屋さんがあり、みんながハンガリー語の意味を解説してくれる。私はレモンとパインの二段アイス。400フォリント(約160円)。

久しぶりのハイキングだったが、たまに走ったりしているおかげか太ももあたりが筋肉痛になることはなかった。少しお尻周りと足首周りが痛いので、普段使ってない筋肉を使ったんだなと実感。

七月九日

今日から土曜日までの約一週間、サマースクールに参加する。”Thinking about the Possible”という題で、反事実の論理づけ(counterfactural reasoning)について、認知科学・哲学・言語学・計算科学などの様々な分野からアプローチし、議論するというもの。だいたい一日あたり二人のゲストスピーカーが講義をし、フロアディスカッションやグループディスカッションなどをする流れ。

宿題で事前に呼んでくるべき論文があったのだが、ほとんど読んでなかったのでざっと目を通すために、朝一で大学近くのカフェに行く。とても一時間ほどで読める量じゃなかったので、目を通してキーワードだけ掴んでおく。

九時からオリエンテーションだったので一応参加しておくが、全く行く必要がないような内容であった(大学の紹介など)。九時四十五分から講義が始まる。夕方五時ごろまで。

一日目はまず、基本的な反事実の考え(もし〜していたら、〜だろうに)の例や役割などを検討した。例えば、過去に起こった出来事の因果関係を特定したり、未来に向けてより良い意思決定をするために過去から学んだり。それに付随して生じる感情(後悔、失望など)や道徳的な判断(○○すべきなど)がどう関わってくるのかなど。

午後の部では、こういう起こり得なかった反事実について考えることが、どういう面で有用なのかを計算モデルを元に考えてみる。意味のある反現実と意味のない反現実の違いや、後悔するロボットは作れるのかなど。

夜はマストドンをしていっぱい喋る。なんだか心が虚しい。

七月十日

二日目の今日は、九時から早速講義なので早起きして大学に行く。二日目は反事実について考えることが、実際の因果関係の学習に役立っているんじゃないかという発表。ということで子どもを対象にしたごっこ遊びの実験などの紹介。

午後は、多分このサマースクールで一番メインの研究者の発表で、反事実の研究をごっこ遊び、道具の使い方の学習、仮想の生き物(例:現実世界にいない人 - 頭が二つある人間とか)の描き方の発達などの研究。子どもはイマジネーションの世界で生きているとよく大人は言うが、意外とこれはわかっていないことで、現実世界を理解して初めて、あり得た現実(現実からの乖離)が理解できるようになるんではとのこと。

全然知らない分野のことを、色んな方向から考えてみるのでいいトレーニングになるけど、本当に疲れる。今のところは、どのように反事実的な考えが役立つのかという話が多いが、創造性への役割の話も考えたり聞いて見たいものだ。