六月十二日・十三日・十四日@ブダペスト

六月十二日

今日は課題の提出日で三時からは音楽の輪読会。ざっと最低限見直して提出する。RMarkdownで論文を書いているのだが、Rのプロットの一部がコンパイルするたびに何かの値が異なるようで(何も変更してないのに)、gitが変更のあるファイルとして記録する。ネットの人にそれとなく聞いたら、タイムスタンプとかメタ情報がその度に変更されてるんじゃないかと言われて確かにそうかもしれないと思ったが、それだったら全てのプロットがそうなってもいいのにそうでもない。気持ち悪いが、明日TeXのアップデートをしてそれでも直らなかったらもう一度Rに立ち返ってみようと思う。見た目の図に変わりはないのでそのまま提出する。

なんだかんだ時間がかかって、輪読会まで三十分しかなく急いで論文を読む。昔一度読んだことがあったが、細かい方法はよくわからなかった。先輩が方法に興味があったようで、その話を輪読会では詳しくして、私は疲れていたのもあってついていけなかった。七月末まではとりあえず輪読会を続けることにする。

一応一年間の中で一番大きな課題だが、特にやり切った感もない。このチャプターを元にした研究発表会がもうすぐあるので、もう少ししたら発表用のスライドを作って先生に提出する予定である。その前に次の実験の刺激作成をしてセッティングまで終わらせたい。来週の月曜日からラボに行くので、久しぶりにカレンダーを予約しておく。

夜散歩をしに行く。まだスーパーが空いてる時間だったので、もしかしたら何か買うかもしれないと思って一応小さなリュックを背負って出かけたが、それがどうもカラスか何かの鳥から食糧の入った袋と誤解されたようで、危うく攻撃を受けそうになった。昔鴨川でパンを食べていたら目を離した隙に後ろから鷹に盗まれたのを思い出した。

六月十三日

課題も終わったしだらだらしていいのだが、昔みたいに昼まで寝るみたいなことはなくなったので、朝早く起きて朝ご飯の準備をする。お米を炊き忘れたので蕎麦の実(そば米)を主食にして、久しぶりにだし巻きを作る。

お昼からはボードゲーム仲間とテラフォーミングマーズを引き続きやる。毎週やっていたが、来週からはラボが開いて自分の実験や引越し作業(そう、自分だけでなくラボの引越しも準備なければならないのだ)のため行けそうにない。テラフォーミングマーズは根気のあるボードゲーマーなら必ずハマると思うので、学部の友達とも一度やってみたいなと思う(物理的に用意できれば)。

四ヶ月ぶりに美容院の予約を入れる。だいぶ長い髪にも慣れたし切らなくてもいいんだけど(死なないし)。一人で営業している方なので、ちょっとお金の支援をしたいと思った。マスクとグローブをしてきてくださいということである。コロナに関してどういう風に付き合って行けばいいのか自分でも戸惑う。

学校が閉鎖になったり国境が閉まったりした三月、ハンガリーは(数字的な意味では)そこまで悲惨な状況ではなかったが、何せ検査数も多くないし政府も信用できないし、何より世界中がどうなるのかわからない不安に包まれていたから、私自身もなるべく動かないようにして人との接触を絶って過ごしていた。生産性は上がったのか下がったのかわからないが、特に健康を害すことなく過ごせただけでもありがたいと思う。

そんなこんなでブダペストはもう街が開き日常が戻りつつあるのだが、アメリカの先輩などと話していると、このブダペストの感覚が呑気に見えるようである。まだワクチンが完成してるわけでもないのに、人が動けば感染者が増えるじゃん!という、その通りなわけだが、でも累計四千人ほどの感染者の国と累計二百万人を超える国の感覚が同じな方がおかしいし、マスクをつけて対人距離を守っていれば、過度に自粛する必要もないのではという気にもなってくる(私の頭がおかしいのだろうか)。

夕方、散歩に出かけて色々考える。ここのところイライラすることがあって自分らしくないので、なぜイライラするのかと考えるようになった。イライラの原因は人間関係なのだが、幸い大学界隈の話ではないので、今の環境からストレスを受けてるわけではない。それなのに最近なぜイライラしてしまうのかと考えた。人生の中で嫌いな人はほとんどいないが、それでも少数の嫌いな人たちの特徴を並べてみたりして、私にとって一体何が嫌な性質なのかなど考える。

大人になると、別に嫌な人と一緒にいる必要はないので、そこまでいちいち向き合って考える必要もないのだが、こういうことを一つ一つたまに考えるのは、言うと変だが楽しい。それなり結論は出たが、このイライラはどうも無駄に体力を消耗するようで疲れてしまった。結局イライラする人とは距離をとって生活するのが一番心の健康には良いなと思う。ブダペスト南駅の公園で寝転がりながら草を眺めてボーッとする。中学や高校時代は人間関係(友人関係)の悩みでもやもやする毎日だったと思うが、それだけ体力が有り余ってたんだなぁと感じる。

家に帰ってTeXのアップデートをする。いつもbasictexを入れていて、そこから必要なパッケージをインストールするやり方でやっているが正しいのかよくわからない(フルパッケージのTeXはファイルサイズが大きいので)。これまで公式HPからpkgファイルをダウンロードしてからインストールしていたが、そういえばHomebrewからもbasictexをインストールできると言うので、とりあえずやってみる。"brew cask"を使用するようで、今までも使ったことはあったけど何のことかわかっていなかったが、まぁ要するにグラフィカルアプリケーションのインストールをコマンドラインでするという拡張機能のことのようだ。と言うわけで実質公式HPからpkgをインストールしようがbrewでインストールしようが同じ結果になる(当たり前すぎて何言ってるんだと突っ込まれそうだ)。ただbrewで管理できるので便利そうだなとは思った。

basictexをインストールしてもtlmgrは2019から2020に切り替わらなくて、tlmgrとTeXの関係もよくわからない…(tlmgrがTeXのパッケージマネジャーだとはわかるが、つまりそれぞれ別個の存在なのか…?)。調べればすぐわかりそうだが、疲れたので今度やることにする。とりあえず新しいTeXの場所を追加しておいたらtlmgrも最新版となり更新できるようになった。

六月十四日

朝から梨泰院クラスという韓国ドラマを見る。今まで韓国ドラマを見たことがないので、一般的なものがどういうものか知らないが、毎回毎回視聴者がえええええっとなる展開になっており、なんだかんだ見てしまう。五月末から少しずつ見始めて今半分ぐらい見終わったところだろうか。ネットで色々感想をブログに書いている人がいるので、見終わったらそれらも読んでみたい。

朝ご飯を食べたら朝散歩に行く。後にわかるが昼から豪雨だったので朝出かけておいて正解だった。歩きながら、ふと自分は太っている(=悪)ので痩せている(=善)人のことを無意識褒めたり貶したりしていることを改めて思い返し、「痩せてるのいいな」ということを発言することによって数多の人を傷つけてきたのだなと反省する。特に何かあったわけではないが。自分(や自分の文化圏)で良いとされている価値観が、他でも同じかというとそうでない。途中コーヒー屋でコルタドでも買って帰ろうかと思ったがそういえば今日は日曜日で閉まっていた。

家に帰って昨日買ったサワーチェリーでサワーチェリーの冷静スープを作る。冷静スープなんだが甘い。サワーチェリー、シナモンスティック、クローブ、砂糖、水を煮込んでスープを作り、サワークリーム(tejfölという日本のサワークリームより酸味を減らした濃厚ヨーグルトみたいなもの)を溶かして冷やして食べる。スープなんだが食事なのかデザートなのかわからない(日本人的な感覚ではデザートの味)。さっぱりしていて美味しく、これは酸っぱめのサワーチェリーだから程よく仕上がる料理だと思う。果物は糖度の高さで勝負している日本だとこういうサワーチェリーは売ってないだろうなぁ。

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昼からは二週間ぶりに両親とZoomご飯。大阪も日常が戻りつつあるようで、それぞれの生活など聞く。結局お互いいつも同じ話をしている気がして、家族って刺激もないしつまんない存在だなと思いつつ、だからこそ安心できるんだなと思う(つまり褒めている)。

夕方は昨日インストールしたTeXを試そうと思ったが、結局グダグダしていて夜になる。一体何をしていたのかわからない。『ハリーポッターとアズカバンの囚人』を見始める。明日からは大学に通う日々だ(とはいえラボで一人なので誰とも合わない予定だが)。