五月十日・十一日・十二日@ブダペスト

五月十日

コロナ以後、日曜日は毎週家族と喋ることになっている。今日は親がGoogle Classroomの使い方を教えて欲しいと言うので、自分も使ったことはないが簡単に調べておく。

外出規制が始まってから一度も外食(デリバリー・テイクアウト)をしていなかったが、もうさすがにいいかと気が緩んでしまい、近くのピザWoltで頼んで取りに行く。徒歩八分に本格ナポリピザの店があるのは嬉しい。奮発してマルゲリータD.O.P.を頼むが、今フォリントが激安なので、日本円だったら1000円以下である(ピザの相場に詳しくないが日本だったら倍ぐらいしてもおかしくなさそうだ)。

食生活を見直してカロリー管理アプリを使い始めてから食事の量が減ってきたので、ピザ一枚食べるのは食べれるのだがお腹一杯になって、夜ご飯はきゅうりといちごだけになる。やっぱり胃袋は膨らんだり縮んだりするのだろうか。それを慣れとか習慣というのかもしれないが。

私はなんだかんだ毎週Zoomで色んな人と話すしSNSもしているからコミュニケーション不足とは感じてないのだが、親の世代(還暦)で他の人とオンライン飲み会もそんなにするわけでなく、結局二人でずっといてストレスが溜まっているようだ。私と喋ることで解消されるとも思わないが、たまに誰か違う人と喋ることも必要だろうなと思う。

夜は大学の先輩に、コロナのせいで博士学生の研究の一部が完全に止まってしまったので、学部の中での問題をまとめどう教授にどう相談したらいいかを話し合う。学部でなく大学全体のPhDワーキンググループが主張しているのは、一律六ヶ月の奨学金及び期限の延長だが、私の学部でもそのアイデアをサポートできるか、または学部独自に何か措置がとれないかどうかなどを考える。

コロナで明らかになった問題の大半は昔から存在していたもので、なんだかんだなあなあにしていたものが本格的に浮き彫りになっただけだ。今回の奨学金の延長はそもそもうちの大学は合格したら全ての博士学生に三年間の奨学金(+研究費や渡航費)を提供すると言うのを売りにしているのに、実際どのプログラムも三年で終わるように設計されていなくて、早くて四年、長くて八年かかる人もいる(よって博士号取得まで平均の取得年数が六年ほどである)。

アメリカの大学院をモデルにしているから、日本やヨーロッパの博士課程と少し違うのはわかるが、それにしても三年しかお金が出ないなら三年で出れるようにするか、それか四年か五年か知らないが博士をとるのに妥当と思われる期間のお金をサポートすべきではないかということは、これまでもずっと主張されてきた。

うちの学部の場合は、幸い研究費を勝ち取っている先生が多いので、三年以降は各指導教員が生徒を雇うことで解決されてきたが、研究費は大体五年単位なので、次の研究費がなければ先生にもお金がなく、どうするんだということである。そんな状態にまさになろうとしているのがうちのラボなのだが。

自分自身は色んな研究費をかき集めて多分四年と九ヶ月ぐらいまではお金がありそうであるが、それまでに終わるのかどうかはわからない。うちの学部は卒業要件が良くも悪くも決まっていないので、学生はずっと先生のイエスが出るまで待ち続けるような状態になっている。お金の次に問題なのはこの卒業要件の不明確さで、一体何をどれぐらいすればいいのか全くもってガイドラインがないのだ。

うちの学部は色んな方法論を使っている人がいるから、一律の基準を決めれないと言うのはよくわかる。赤ちゃんの研究をしている人と大人の研究をしている人でもデータの収集方法や速さも違うし、数理モデルの人は実験じゃないからまた違った基準があるだろう。よく日本の大学院である「論文二本出したら博論が出せる」と言うのも、分野によって論文二本の意味が違う&何でもいいから論文さえ出せばいいとなりかねないのもあって、採用されていないのもわかる。

だからと言って議論しなくていいと言うのは違う気がして、なんだかんだそれぞれの指導教員の方針を尊重しているのか、気まずいから話し合いたくないのか、教授の間でも議論されているのか不明瞭で、そこが学生の不安とストレスの種となっている気がする。今回はお金と卒業要件の話を改めて学部長の先生に聞いてみたいという結論になった。

一緒に話し合ってくれた先輩はもう五年生で、修士号を二つ取っているのもあって年齢も高めで、人生プランも考えて予定通り来年の四月に卒業したいという。この先輩の場合は奨学金の延長はいらないが、今の状況を考慮して(お金と期限の延長以外に)どう卒業要件が変わるのか聞きたいとのことだった。

自分でも不思議だが、こう言うことに一切興味がなかったのに、何だか今とても大切な気がして、研究もせずに研究周りの政治活動に首を突っ込んでしまう。

五月十一日

張り切って月曜日だがびっくりするぐらいだるくてやる気が出なくて何もできなかった気がする。先週ミーティングをキャンセルしたから今週こそは何か出さないといけないが、そう思えば思うほど身体が動かない。

少し前主食をパンから米に切り替えて、またパンに切り替えてみたが、これをすると何だが少し太ってだるい感じがすると気づいた。アレルギーではないと思うが、食事に気をつけ始めると体の少しの変化も気になるようになる。多分パンというより付け合わせで食べるもの(バターとか)のせいで太りがちになるのだろう。先週アジア食品店で米を入手したので、今後はなるべく米にして様子を見たい。

午後は他大学の後輩とやっている輪読会みたいな感じのミーティング。お互い興味あることを読んだり動画を見たりして話し合う。修士の子だが好奇心旺盛ですごいなぁと思う。好奇心旺盛なんだけど、好奇心を通して自分の能力を見せつける(show-off)という感じではなくて、私はこういう純粋な気持ちが欲しいんだと思う。

夜は昨日話し合ったことなんとかまとめてメールの下書きを書いて、一緒に話した先輩ともう一人の学生代表の後輩に送って見てもらうことにする。丁寧に書きつつ必要なことを主張する文面は非常に難しい。

五月十二日

今日は何だか知らないが朝からやる気があるわけでもないが、黙々とプログラムを書く。何でこれまでやってこなかったのかわからないぐらい、特に問題もなく進む。結局手をつければやり出せるものの、手をつけれないのが問題なのである。運動もお風呂もみんな同じだ。

日常生活と一緒でなるべく余計なことはコードに書きたくないし頻繁にファイルの構造を整理してしまう癖があって、それはそれで後々役に立つからいいんだけど、その場だけ見ると進む速度が落ちて困る。整理ながらゆっくりとやるか、ある程度全部作ってからあとで整理する方がいいのか、どっちが結局早いのか悩ましい。Gitで管理しているとどちらかと言うとその都度細かに整理する方を好んでしまう(その方が整理が細かいが、そこまで細かくする必要があるのかは謎)。

外に歩きに行きたかったが天気が悪いのでお家で運動する。Pamela ReifのWorkoutシリーズはかなりしんどいのが多くてやりがいがある。