十二月六日@ブダペスト

明日で正式には秋学期が終了するので、目前に仕上げないといけないことが多く、とりあえず自分の実験のことは後回しにする。

今日は最後の論文輪読会の日なので、朝にパンを食べながら論文の続きを読む。人はなぜ全く知らない他人(つまり今後の交流が予期できない人)を助けるのか?ということを、その他人がどれくらい助けを必要としているかどうか(the level of need)、その他人がどれくらい自分(実験参加者)対してコストを支払う気持ちがあるか(willingness to sacrifice)という二つの独立変数を操作して、参加者がどのように金銭的な意思決定をしうるのか、という話だった。

正直トピック的にはあまり興味がないのだが、なぜかスラスラ読めて質問も思いついたのである程度まとめておく。今日はディスカッションで喋れそうな気がした。

十一時からは、来年度の私の大学に出願したい学生たちを集めてのパネルディスカッションに参加する。各学部から必ず一人でなければならない。この仕事は五月に一回やって、自分が聴衆の前で学部の宣伝をするのがすごく下手くそなので、もうやりたくないと思っていたが、なぜか二回連続でまた私が指名された。もしかして事務の人が私がこの仕事を好きだと勘違いしているんじゃないかと思って、今回はやりますけど、次回以降はやりたくないと言ったら、ランダムで決めてるからしょうがない、やりたくなかったら他の代役を探してと言われる。

私の学部の博士の学生はみんな大学から奨学金をいただいているので、ある程度こういう行事に参加するのはやむ終えないというか、義務かなとは思っている。なので、私も学生委員をやっているし、それは別に構わない。

しかしどう考えてもランダムで決めてると思えなく、なんだか納得しない。同僚に話すと、私はきっと断らないからいいように使われてるんだよ、そして日本人だから大学の(人種的)多様性を見せるために使われている、と言われてああなるほどなと思った。

確かにパネルディスカッションにいる人は、ハンガリー人もいるけどむしろ少数で、ナイジェリアとかインドとかケニアとか…決してうちの大学でのマジョリティーでない人たちが駆り出されている気がする。もっとも、彼らは私と違ってかなりやる気満々に見えたが。東アジア人は私一人。

結局パネルディスカッションに参加して、特別に私に対してもらった質問だけ答えて終わる。事務の人が見に来ていて、Good jobと言ってくれたが、なんとなく冷めた目をしていたようにも思える。

パネルディスカッションの後は、論文輪読会。なぜかいつも声が大きい助教の先生などが喋らないので私もディスカッションに参加する。やっぱり議論に参加できると楽しいので、忙しくても論文はちゃんと読まないなぁと学期末に痛感する。来学期はもっと発言したい。

その後はひたすら明日の発表のためのプレゼンの準備。確率の授業なので、心理学でどのように統計学が使われてきたか、何が問題で今どうやって解決しようとしているか、などをまとめる。

去年受けたベイズ超入門の授業の資料を見返して、それを参考に話を組み立てる。ああやっぱり方法論のことを勉強をしている時が一番楽しい。そもそもなぜ大学院に戻りたいと思ったのか、一番最初の動機を思い出した。

一時ぐらいまで作るが、朝九時からの発表なので流石に寝たほうがいいと思い、寝る。