二年生になりました。

時が経つのは早いもので、去年の九月に博士課程の学生としてから丸一年が経ち、この秋から二年生になりました。とりあえず一年生の最後の試験に通って正式に博士学生になれた喜びと、その後四ヶ月近く何も出来なかった悔しさと、ここのところ感じる何とも埋めがたい孤独感ですごく複雑な気持ちです。

思えば学士を修了した時に、自分は人一倍研究関係の仕事にはつかない、それ以前に修士課程にすら絶対進まない、と固く決めていたことがある種のフラグだったかのように、結局アカデミアに戻ってき、特になんの取り柄もないのに周りの人だけには恵まれて、修士・博士と進んで来ることが出来ました。

研究は私の憧れの営みであって、自分はむしろサポートする側になりたいなぁと思っていたんだけど、結局自分が研究する側にいるのが何でなのか、自分でもよくわかりません。研究に関する深いところでのサポートをするには、サポートする側もある程度学術的な鍛錬が必要だと思うので、何の仕事につくにせよ博士を取ることに十分意味はあると思うのですが。自分では研究に向いてると思わないんだけど、何か不思議な力でここに居させてもらっているような感じがします。

試験が五月末にあって、六月から九月までの四ヶ月ほどは、もう実験を初めてしまえばよかったのかもしれないけど、なんだかんだ計画に納得出来なくて論文を読んだりしているうちに、なんとなくダラダラしてしまい、ろくなアウトプットをすることなく時間が過ぎてしまいました。

少し前の日記にも書いたけどその間にイタリアのキャンプに行ったり、ハンガリーの田舎に行ったり、ブダペストで日本からの友人を迎え、アムステルダムに行ったりして、研究とは直接結びつかなくても自分なりには、自分の人生を模索していたのかなぁという気はします。全部娯楽じゃないかと言われればそうですが、慣れない国に行ったり、異国で知り合ったばかりの人々と行動を共にすることは、よく考えれば無意識的にいろんな問題解決を行っていたのではないかという気がしています。何もしていないように思えて意外と脳も身体も疲れていたのかも。

八月末に日本に帰国して、家族と長期旅行したり、学会に行ったり、東京と名古屋に行って本当にたくさんの人々に会い続け、それは本当に楽しい日々でした。特に名古屋の大学で私の研究についてトークさせていただく場を設けてくださった先輩には本当に感謝してもしきれないです。この場を借りてお礼を言いたいですし、また近々お会いするので何かしら恩返しがしたい。

九月頭に台風が来た影響もあり、関西国際空港が使えなくなってしまったため帰国が遅くなったのですが、何とか中旬にはブダペストにつき、そこからまたウィーンに行ったりブダペストに知人を招いたりして、やっと今自分だけの時間になった気がします。ホッと落ち着いて穏やかな気持ちと、一人になってしまった孤独感が共存する面白い時間だなぁと思っています。夜になると孤独感が多くなってしまうんだけど。

研究がうまく行ってるか行ってないかなんていうのはわからないんですけど、少なくとも自分の心の状態が(研究に関してのことで)よくなくなったのは、明らかに指導教員との定期的な面談がプツリと途絶えてしまったことのような気がしてきました。進級試験の前は必須で週一の面談があったのですが、試験に通ったあとは学部自体が夏休みモードに入ったことと、先生も常にブダペストにいないことから、何か問題があったら話しましょうというような感じになったのです。

私は自分の中でたくさんやらなければいけないことがあるとわかっていたし、それを数ヶ月単位で達成して成果を先生に見せれると思っていたけど、結局全然出来なかった。優秀な方はそれを完全なる甘えだというでしょうが、とにかく私は怠け者なのでこんな状態になっちゃった。

もうすでに四ヶ月無駄にしたなという罪悪感と後悔に苛まれてさらに負のループに入っていたのですが、逆にすごくポジティブな見方を無理やりすると、一年生の最後に気づけてよかったね、ということにしましょう。先生にミーティングのスタイルをもう一度来週相談しようと思う。

自分は誰かと一緒に行動してないと計画的に物事を進めることができないというのは、ほぼ浪人時代からそうだなぁと思ってわかっているのに、なかなか行動として達成できないのは本当に恐ろしい。浪人時代からもう十年以上経っているというのに。

と、思いのままつらつら書き続けてたら結構長くなってしまいました。今は明日他大学の修士の学生さんに自分の研究トピックについて30分ほどお話しする機会があるので、スライドを大まかに作り終えてちょっとホッとしているところ。とはいえまだ完成してないので、午前中いじくりまわして、午後は木曜日の学部全体に向けての発表スライドの方へシフトしたい。あと確率の勉強も…

インプットとアウトプット、両方あるのが博士課程は楽しい。どっちも手をつけるまで何だか嫌な気分になるんだけど、やり始めると楽しいのだ。歯を磨くのも、お風呂に入るのも、どっちもやるまですごく億劫になる私なので、やりたくない時は病んでいるというより単純に面倒臭がりなだけかもしれない…