十月二日・三日・四日・五日@ブダペスト

十月二日

今日は他大学で修士の学生に授業。資料は前日にできていなかったが、発表練習が十分でなかったので朝にする。四日に自分の研究発表があり、まだ頑張らないといけないので、あまり自分にプレッシャーをかけすぎないようにほどほどの練習にした。

まず私の先輩が喋って、授業を聞いているとかなり話が面白くてなんだか自分の授業の内容の薄さに申し訳なくなってくる。自分より三つ学年が上の先輩だから今から考えたら当然なんだが、いきなり自信がなくなってきて、あまりうまく授業をすることができなかった。もし来年また機会があったらリベンジしたい。

帰ってから四日の発表の準備に集中する。スライドはもうだいぶ前にあらかたできていたが、発表原稿を書いていなかったので考え始めるとやっぱり悩むところが多い。

十月三日

今日は新学期になって初めてのラボミーティング。新しくきたポスドクの先輩のジョイントアクションと音楽学習の研究計画の話。リサーチクエスチョンと実験計画がうまくあっていて、さすがだなぁと思う。二年生になったけどまだ議論についていけなくて発言することができない。しかしながらこのポスドクの先輩が来てくれて本当に私はラッキーだ(私も音楽の研究をするため)。

午後からは同期と発表練習。進級試験の時にもみんなで練習したが、それなりにみんな中身をアップデートしていた。それぞれ研究室に配属されてからみんなで集まることも少なくなったのだが、やっぱりみんなと会えると落ち着く。私も有益なフィードバックをもらって、直前だけど結構大きな変更をする。

夕方は毎週恒例のコロキアム。情報量が多くて、昔一度聞いた話もあったのに全然頭に入ってこなかった。明日のことが気がかりだったのもあった。

夜は緊張してきて、身体がだいぶ気分が悪かったのだが、たまたま開いたマストドンで、ほんとひょんなことでそこの人と通話したりしているうちに、ただただ時間が過ぎていき、不思議と肩の力が抜けて楽になる。

十月四日

朝早く起きて発表の練習をする。発表の練習はしたけどとにかくやり過ぎないようにする。進級試験の時は一言一句間違わないように暗記した上ジェスチャーとか喋るスピードとか考え過ぎた。今回は試験じゃないので、むしろ自分が楽しめる余力を残しておきたい。

九時半から学部全体(一年生からポスドク、教授陣まで)に向けて発表会。私は苗字のアルファベット順で一番最後。みんな質疑応答など立派にこなしていてすごいなぁと思う。

いよいよ自分の番になってきたが、不思議と落ち着いて発表できた。もちろん途中詰まったところもちょっとあるが、割と全体の人を見ながら話せたと思う。質疑応答は思ったよりたくさんの質問をいただいて、何を言ってるのか正直わからないものをあったが(英語力と思考力のなさを痛感)、自分のわかる範囲内で返答した。

発表後、先生の空いてる時間にミーティング。進級試験後にちょっと研究計画の方向性を変えようという話を先生としていてが、結局私のもともともアイディアの方が食いつきがよく、技術的にも実験のセッティングが簡単なので、とりあえずそれから実験していくことで話が固まった感じである。

十月五日

朝は確率の授業。確率のことはまた別の記事で書きたいけど、実験心理学ではだいたい確率を求めて実験結果を示すことが多いのだが、正直私は博士に進んだ今も確率がよくわかっていない。学部生の時に確率は心理統計で触れて、そこから働いてる間は確率のことはもちろん忘れ、また修士の時にイギリスで英語で頻度統計を勉強し直して、さらに博士で頻度統計とベイズ統計(の超入門)を勉強し直して、どんどん確率というものに興味が出てきた。今とってる授業は、数学科の先生による授業で、それこそ高校の確率ぐらいから二項分布、正規分布、ポアソン分布などなど一から勉強し直している。

数学科と言っても経済学のための確率の授業なので応用よりなのだが、確率を数学的な式から理解していくことが、時間はかかるけれど今は本当に楽しい。割と心理統計を理解する時に自分の感覚みたいなのに頼って理解していたのだけど、一つ一つ式で確認していくと自分がなんとなくわかっていたところが、もっとクリアになる感覚がある。とはいえまだまだやり始めたばかりで時間はすごくかかりそうだが。クラスが三人しかいなくて質問しやすいのも良い。

いつもは確率の授業だけなのだが、木曜日の計算認知科学の授業が今日にずれ込んだので、このあとさらに二時間授業。こっちはさらに確率などを含めた応用計算モデルの話で本当に何を言ってるのかわからなくなってきた。まだテキストを読めていないので、来週までにはなんとかしたい。

夜は久しぶりにピアノのレッスン。すごくたくさん宿題もらったのに結局二曲しかできず、でも先生は暖かく迎えてくれる。一曲から学ぶことが多くて、本当に面白い。面白いがやることは理解できていても、実際に自分が弾けるかどうかはまた別のことで、練習を相当しなければいけない。

突然だが友人が泊まりに来る。三日ぐらい?いる予定のようだ。一緒にイタリアに行ったアメリカ人の子で、夜はお互い疲れていたが夏にあったこと、お互いの恋愛観のこと、などいろいろ話す。ぱっと見全然違う二人なんだけど多分どこか似通っていて面白い。