四月二十一日@ブダペスト

今日の朝もまた寝起きが優れない。なんでだろうと考えて、最近夜ご飯に食べている豚肉が悪いのかという気がしてくる。別に豚アレルギーでもないし、おなかを壊しているわけでもないのだが。今日で最後の一枚を食べ終えるので、次回からは牛肉か鶏肉に変えようと思う。

午前中にラーコーツィ市場に行って野菜と砂糖なしジャム(ラズベリー、カシス)を仕入れる。いつも買うところは同じ。今日の野菜はしなしなしてるのが多かったので、ラディッシュ、ズッキーニ、葱(スプリングオニオン)だけ買って帰る。値引きされていたジュクジュクしたトマトもスープ用に買っておけばよかったかもしれない。

午後、大学に行ったら同期のルーマニア人の男の子がキッチンで論文を読んでいた。その子は私の学年の中で明らかにずば抜けて賢く、もちろん成績もいい。研究は何をするのかまだ聞いたことはないけど、きっと面白いことをするんだと思う。博士一年生はみんな彼に注目し、彼に嫉妬しているようだ(特に男性陣)。そして彼も自分が一番であることにまんざらでもない様子である。

欧米の人は独立志向で他人を気にしないみたいな話をよく聞くし、自分もそうだろうなと思っていたが、競争社会においては非常に他者に対する敵対意識が強いと思う。日本の大学院に行ったことはないが、学部時代に院の先輩を見た記憶を辿ると、個々に淡々と研究している印象を受けた。もちろん誰それの論文がいいジャーナルに掲載されたやら、誰それの就職先が有名なところだとか職位がテニュア(任期なしの仕事)だとか、そういう一時的な感情はあるに違いないが、絶対的な一位みたいな競い合いは感じられなかった。所詮学部生だった私には伝わってこなかっただけかもしれないが。

個人的に競争は苦手である。にも関わらず幼い頃から競争ばかりに晒されて(ピアノのコンクール、中学・高校・大学受験)、心が疲弊しきっている。しかしながら、アカデミアで生きていくにはそういう競争することへの物理的・精神的体力と、かつその結果に影響を受けないレジリエンス(ストレスを跳ね返す心の強さ)が必要なんだと思う。アカデミアというよりは、分野問わず第一線で活躍するには、と行ったほうが正しいか。

少し脱線したが、ルーマニアの彼は地頭もいいだろうが、圧倒的に努力しているのは間違いない。それをあまり見せたがらないが、知識の量だったり溢れ出る自信というのはやはりそれだけの努力からきているのだと思う。博士過程にきている学生で、いわゆる本当に何もしない怠け者は少なく、皆それなりに努力しているが、やはりその中でさらに努力できるというのは、訓練の賜物である自己制御とあとは純粋な好奇心によるものだろうか。