五月二十八日・二十九日・三十日@ブダペスト

五月二十八日

今日はお昼前から指導教員二人と面談だが、何だか頭がボーッとして動かない。寝不足でもないが、すごく眠気があって身体がだるく、頭痛が少しするという感じである。私はあまり身体の不調がないほうだが(無理しないので)、こうなると大体生理前だなぁと思って憂鬱になる。

二十代半ばまでぐらい、自分は別に身体的に男性と差がないなと思って生きていた。というのも字面だけ見ると嘘だが(明らかに男性の体ではないので)、生理のせいで体調が悪いこともほぼなかったし、気分のムラとかイライラとかそういうものも特に感じず生きてこれた。

それが二十代後半になると、一般的に言われてるような生理の辛さリストみたいなところに全てチェックが入るほど酷いとは言わないが、それでも今回のようになんか頭がボーッとするとか、お腹が痛いとか、明らかに普段と違うなぁということがわかるようになってきた。昔からもしかしたらそうだったけど気づいてなかっただけなのかもしれないが、最近は自分の身体について考えることも多いので自ずといろいろ気付き始める。

とはいえ別に立ってられないとか起きられないとかそういうレベルではないので、特に何事もないように生活している。休日だったらこの程度の感じで問題ないなと思うから、何か休む理由にできるほどの状態ではない。しかし毎週のミーティングでこういう日(週)が当たると、ミーティング自体億劫だし(わざわざ貴重な教授の時間を割いてもらって恐縮だが)、付随してアウトプットも少ないか何もないことが多い。

もう少し若い時はアウトプットがないことを恥じたり罪悪感を感じたりしてたが、何だか年々どうでもいいやという気持ちになって、ただあるがままを先生に見せるようになった。別によく見てもらおうとも悪くみてもらおうとも思わない。変な感じだ、ヨーロッパにいて個人主義(?)になりすぎているのだろうか。

そんな感じで十一時からミーティングするが、思いの外長くなり一時間半ぐらい喋る。私と先生のミーティングはどちらかというと二人で作り上げるというものであって、確かに話のネタは私が持っていくんだけど、どういうミーティングになるかの半分は先生の反応にもよるなぁと思う。昔はもっと真面目に、全部質問に答えれるように下調べをしておこうとか、まとまった結果を報告しようとか色々準備していたのだが。そして多分準備した方がいいと思うが。

まぁなんだかんだアイデアをもらってもう少し考えてみようと思う。幸いあまり第一指導教員があまり急かしてくるタイプではないので、自分が「なるほど、これがいいかな」と納得がいくまで辛抱強く待ってくれる。まぁだから必然的に遅いプロセスになるけど。

五月二十九日

今日は昼から音楽の輪読会なので、朝に二時間ぐらいで読んであとは学期末に提出の文章を書こうと思ったが、思った通り全然集中できず、チンタラ読んだり料理したりしながら気づいたら輪読会の時間になる。

特に可もなく不可もないという感じの輪読会であった。音楽を聞いている時の喜び(ドーパミン報酬系)の話で、音楽の予測可能なパターンがあることと適度にそれが裏切られるのがどうも人間には快楽になるようであるという近年主流の考え。これはベイジアンのモデルに音楽の分野ものせてみようということで流行っているが、結局人間はその報酬のために音楽を聞いているのかどうかはよくわからないなと感じる(音楽をコンサートなりSpotifyなりで個人が完全な受動者として聞くようになったのは最近の話で、昔はむしろグループ内で一緒に奏でることが主流だったわけだし)。

夕方、ふと随分前に投稿した論文が少し前に編集者に回りました("With Editor")という連絡がきたのを思い出し、その後どうなったのか(何かあればメールがあるはずだが)と思いながら論文のステータスをチェックしにいくと"With Editor"から"Under Review"という状態に変わっていた。

また一連の論文投稿が終わったら流れを書いておきたいが、私にとってはこれが初めての論文投稿なので何がどうなっているのかさっぱりわからない。ただ、投稿したジャーナルは"With Editor"から"Rejection"(掲載拒否)の連絡がすぐにくることもあると聞いていたので、とりあえず査読に回ったというだけでも誰か研究者が読んでくれているのだと思う(多分)。

おそらく"Under Review"からも掲載拒否の連絡になることはあるのだろうが、うまくいけばそこからお直しをして("Reivision")、さらにうまくいけば雑誌に載る("Acceptance")のだろうから、なんだかんだうまくいったらいいなと思っている。不思議と自分の研究に執着もこだわりもないので(よくないが)、この雑誌がダメだったら別の雑誌でいいやという気持ちである。とはいえ自分の思い入れがある雑誌なので、一番最初の論文がここに乗ったら気持ちが良いだろうなとは思う。

夜はいつも読書会に参加してるけど、今日はやめておく。特に何もせずに料理して、SNSをして、ボーッとしていたら一日が終わっていた。二週間後には課題の提出なのにまだ三割も終わっていなくて本当にやばいのに、何だか時間感覚がやられていて焦りもこない。深夜に麻雀に誘われてつい半荘二回してしまって久しぶりに二時前に寝る。

五月三十日

体調はよくなったが、昨日の寝不足で眠い。しかし朝に市場に行きたかったので、早起きして買い物を済ませる。久しぶりにランゴシュという揚げパンにサワークリームとチーズをのせたハンガリーのソウルフードをテイクアウトし(いつもは揚げたてその場で食べるのだが、今日は初めて持ち帰って)家で食べる。とても美味しかったが日頃食事量を控えていたので、昔ぺろりと食べていたこの量も、今日食べるととてもお腹一杯になった。炭水化物のせいだろうが、油もすごい量なので、その後ずっとお腹がすくことはなかった。

お昼はボードゲームで新しいゲームに挑戦する。テラフォーミングマーズという火星を地球のように住める土地にしていくというゴールのなかなか重量級のボードゲームで、ルールを読み解きながら三人でやり、一回するのに四時間かかった。しかし色んな戦略などが考えられるゲームで、やり込むほど面白くなってきそうなゲームだった。

朝のランゴシュが重くて特に何も食べたくなかったが、一応前作った残りのチャナマサラ(雛豆のカレー)、茹で卵、コールラビを食べる。お腹の調子がよくない時はコールラビが良い感じがした。何となく。