冬休み2020

今年の冬休みはいつもと違ってゆっくり家にいることになった。別に私に限ったことではなくてみんなそうだったと思う。ヨーロッパは普段は国境なく移動できるが、コロナのせいでほぼどの国に行くのにも検査の陰性結果の提出が必要になり、以前ほど気軽に国境が渡れなくなってしまった。

去年はエストニア・フィンランドに、その前はボスニアで冬休みを過ごした。日本でお正月を過ごしたのは2017年が最後だと思う(別に帰ってもいいのだが、大体夏に一時帰国するので夏も冬も帰ると三ヶ月ぐらいしか期間が開いておらず、飛行機代も高いのでそのうち帰らなくなった)。家にずっといるのであれば日本の方が炬燵もあるしテレビ番組も面白いから日本に帰りたいと思った。

今年は夏休みも帰国できなかったし、休みはあったけれど引越しや滞在許可の手続きで全く心が休まった気がしなかったので、冬休みはいつもより意識的に何もしない(=研究しない)時間を作ろうと思って、一応二週間期間を決めてなるべくパソコンを触らずに過ごしてみた。とはいえメールを返したりブログを書いたりして完全にパソコンから離れるということは出来なかったのだが、それでも数日間は美術館に行き(今また閉鎖になったけど)本を読みNetflixを見るという自分にして比較的文化的な生活が送れたように思う。

美術館は前の日記にも書いたが、第三の男ミュージアム、Kunsthaus Wien(フンデルト・ヴァッサーミュージアム)、レオポルド美術館、Kunsthalle Wienに行った。私は現代美術の方が好きなので古典的なところは全く回っていないのだが…また美術館が開いたら行きたい。

本は『ゲンロン戦記-「知の観客」をつくる』という本がいつも聞いてるResearchat.fmでお勧めされていたので読んでみた。興味関心がある話だからか、著者の東さんの話の流れやインタビュアーのまとめがわかりやすいのか、するすると読めて色々考える種になった。後はゆゆ式を適当に読み流したり、寺田寅彦のエッセイとか谷崎潤一郎の『陰翳礼讃』を読み返したりしている。『陰翳礼讃』は口調が偉そうだなと思うことが昔からあったが、中身はやっぱりうーんなるほどなぁと何回読んでも面白い。今はネットの友人が教えてくれた『面白南極料理人』を読んでいる。

Netflixはドキュメンタリーの『The Social Dilemma』が印象的だった。他は長らくみたいと思っていたものを少しずつ消化していった(今もまだしている)。春から見ていた『陳情令』を見終えたのと、なんだか流行ってるような『The Queen's Gambit』も見たがそこまで面白さがわからなかった。他にもドキュメンタリーも映画もドラマも何作か見たが、見るとは受動的な態度のせいか本ほど一作のことを覚えていない。

季節の変わり目は風邪にかかりやすいが、今年はコロナもあって余計に気をつけたいところだったのに、日本に帰国できなかったので頼みの綱の葛根湯がもうなくなりそうである。葛根湯であらゆる病気が治るとはもちろん思わないが、私の場合は「なんとなく風邪をひきそうな予感(まだひいていない)」あたりで葛根湯を飲むと大体元気になることが多かったので、なんだか葛根湯がないと心許ない。しかし去年(2019年)に帰国した時に行きつけの美容師さんに教えてもらったサマハンという葛根湯の代用になりそうなアーユルヴェーダティーを教えてもらい、これを一日に二・三回ぐらい飲めば葛根湯のような働きをすると知った(葛根湯はこちらでは手に入れづらいし高いがサマハンはアマゾンで買える)。

ヨーロッパにも風邪薬はたくさんあるけれど、こういう予防医学的な緩やかに効く漢方的なものがあまりない(専門の店に行けばあるだろうけど、ドラッグストアとかにない)。強いて言えばハーブティーぐらいだろうか。

その他にやりたかったドイツ語は一切手をつけていないし(私は多分言語を使うのは好きだが、根本的にやる気がないんだと思う)、マイクラも思ったより全然しなかった(もっとしてもよかったけどパソコンを開きたくなかったので自然とやらなかった)。食事に関してはほぼ自炊だったのだが、ここまで朝昼夜とずっと家で食べてるとお金をあんまり使わないんだなと思った(とは言えそんなに溜まらないので何に消えているのか不思議だが)。

大学は正式には来週から始まるが、そもそも博士学生は授業などはほとんどないので私の周りは今週あたりからぼちぼち働き始めているようだ。依然ハードロックダウン中なので家から働くことがデフォルトだが、なんだか最近また緩んできてまともに研究するかとても不安である。とりあえずやることを新たに整理するところから始めなければならない。