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あいづちをうってくれるAIが欲しい(母の介護)

夜11時、携帯電話が鳴る。
老人ホームにいる母からだ。

母は95歳。
老人ホームに入って4年半になる。
年相応の物忘れはあるが、
ボケてはいないはずだった。

「こんなに夜遅くに
人の家に行くなんてだめでしょう」
と電話に出た途端に叱られた。

そういえば、
「はるちゃん(あつこの長女)が だんなさんの
実家に行く」と話していた。
日帰りで行ってきたのだが。

それが、なぜか母の頭の中では、
夜11時に
はるちゃんが夫の実家に行ったことになっているらしい。
「こんな夜遅くだと危ないし、あつこが気をつけてあげないと」

真剣に心配している。

ああ、やはりボケが始まってしまったのか。
母はしっかりとしている方なので、どこか安心していたが。
意識がしっかりとしている時と
そうでない時が出てきてしまったのだろうか。
(いわゆる、まだらボケ)
ーーー

思い当たる事はある。

母には折りたたみ式の携帯電話を持たせてある。
(うまくスマートフォンが操作できないので、いまだにガラケー)

コロナもあり、2年以上面会が制限された。
その頃から、母からの電話が増えた。
夜中の2時位に何度もかかってきたこともある。
不安なのだろう。
そうは思っても、こちらの体も持たない。

平日の電話もふえた。
同じことを何度も言っていたり。
老人ホームの職員が、きちんとしてくれないと文句を言っていたり。
(後から、職員に確認してみると
確かに似たような状況はあったが、
母が話を盛っていた)

ある日のこと、
たびたびの電話に
私も切れて
言葉強く言い返してしまった。

それから電話はほとんどかかってこなくなった。
(1週間に一回は面会に行くようにしている。
面会時間はまだ15分だ。)

ーーー

そして、今回の電話のような軽い混乱が起きた。
人と話さない時間が増えたのが原因なのでは?
と疑っている。

「こんな夜遅くに人の家に行くなんて考えると、心の中がイライラする」
「防犯も心配だし、ちゃんとあつこが管理してあげないと」

やはり話をしないと
ボケてきてしまうのだろう。
できるだけ毎日電話しようと決めたのだが。
ーーーー

実は
「簡単でもいいから、毎日電話しよう」
以前にもそう決意したことがある。

続かなかった。
理由は簡単だ。
母の話が非常にとりとめがない。
●今ご飯が終わって送ってきてもらった
●職員さんがこうだった
●お医者さんが親切に話を聞いてくれなかった
●夜、コールボタンを押してもなかなか職員さんが来てくれない
●自分の好きな服が購入できない
●体がつらい、寂しい、
(なくなってしまった)お父さんに会いたい
●寝たきりになったので、体の面倒を人に見てもらうのがつらい

要するに、非常に話がとりとめがなく
わがままだったり
どうでも良い話だったり、
聞いているだけで、私の心もずーんと
沈んできてしまう話だったり。

何かを訴えたい時もあるのだが。

あっちこっちに飛ぶ話を
ずっと聴いているだけの
心の余裕が私にないのだ。

母からの電話を
「そうだね」
「わかるよ」
「そんなことがあったの」
自動応答してくれるAIが欲しい。
そして、母の話の要旨を後で教えて欲しい。
体の不調や
職員さんにお願いしなくてはいけないことなど、何かヒントが隠れていることもよくあるからだ。

『母との電話に
あいづちを打って
話の内容をまとめて後で教えてくれるAI』
実用化されたら少しくらい高くても
ぜひ購入したい。
誰か開発してくれないだろうか。

親の老いと向き合うのは
心が重い。
自分の行く先を
見せてくれるせいなのだろう。

うーん、やはり毎日電話するしかないのかなあ。

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